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再生回数7回のラブストーリー  作者: 市善 彩華
第16章 ブルースター ── 幸福な愛、信じ合う心
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第91話「結婚の決意」

今隣にいるこの人と、これから先も一緒にいたい。

その気持ちは、もうずっと前から変わらなかった。

でも“家族”になるということは、二人の問題だけではなくて――

今回は、結婚に向けて一歩踏み出す大悟と里奈の姿を描きます。

日曜日の昼下がり。

駅前のベンチに、里奈と大悟は並んで座っていた。

手には、それぞれ紙カップのコーヒー。


「……ねえ、大ちゃん」

「ん?」


「ちゃんと話そうと思う。うちの親に、私たちのこと」


大悟は少し目を細め、静かに頷いた。


「そうか」


「前に言ったよね? 同棲のこと、まだ言えてないって」

「うん。覚えてる。カフェで涼也たちと話したときだろ?」


そのときのことを思い出して、里奈は小さく笑った。

結衣が「それいいね!」と笑ってくれたのが、妙に心強かった。


「ほんとはね、ずっと言おう言おうと思ってたんだよ。

でも、“順番が違う”って怒られるんじゃないかって……」


「それでも、ちゃんと話すって決めたんだな?」


「うん。……だって、私、大ちゃんと結婚したいもん」


大悟は少しだけ驚いた顔をして、それから静かに笑った。

その笑みには、迷いのない決意が滲んでいた。


「じゃあ、行こう。俺も一緒に話すよ。文句言われたら、全部俺のせいってことで」


「……ほんとに言うつもり?」


「言うに決まってる。だって、それで里奈がちょっとでも楽になるなら、それでいい」


里奈の目が少し潤んだ。


「……ありがとう。私、頑張る」


大悟は、そっと里奈の手を握った。


「俺も。結婚しよう、里奈」


言葉にされたその想いは、決して軽くない。

むしろ重いからこそ、ちゃんと向き合いたい。


その夜、里奈は久しぶりに実家へ電話をかけた。

「ちょっと話したいことがあるんだけど……今度、時間くれる?」

少しの間の後、母の声が返ってきた。


「いいわよ。あんたがそう言うなら、ちゃんと聞くから」


電話を切った後、里奈は胸に手を当てて、ふうっと深く息を吐いた。


横で見守っていた大悟が小さく言った。


「大丈夫。何があっても、俺がいるから」


里奈は、こくりと頷く。

少しずつ、だけど確かに前に進んでいく二人の歩み。

それは、恋人から“家族”へと変わっていくための、大切な一歩だった。

カフェで交わした何気ない会話――

「順番が違うかも」そんな迷いも、「それいいね!」の一言も。

第68話で生まれたやりとりが、今回の“結婚の決意”へと静かに繋がっています。

あの頃の言葉たちを思い出しながら、繋がりを感じていただけたら嬉しいです。


お忙しい中、今日も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!

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