表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
再生回数7回のラブストーリー  作者: 市善 彩華
第15章 ブルーデージー ── 協力、支え合い
89/108

第89話「新しい命」

日々の中にふと訪れる、小さな違和感。

それが、やがて確かな“しるし”となって心を動かしていく。

今回は、結衣が気づいた体の変化と、その先に待っていた大切な知らせのお話。

そっと、けれど 確かに始まる新しい物語に優しい光が差しこみます。

最近、少し体がだるい。

朝起きたときの気持ち悪さも、気のせいだと思っていた。

でも――やっぱり、どこか いつもと違う。


「……もしかして」


休日の午後、涼也が買い物に出ている間に、結衣は そっと出かけた。

向かったのは、近所の薬局。買ったのは、妊娠検査薬。


家に戻って、深呼吸。

鼓動がうるさいくらいに響いて、手が少し震えている。


――数分後。


窓辺に置かれたスティックに浮かんだ、はっきりとした線。

目を疑って、もう一度見直して、それでも結果は変わらなかった。


「……ほんとに?」


声が、かすかに震える。

けれど その震えには、どこか温かさと喜びが混じっていた。


 *


その夜。


夕飯の片づけを終えた後、結衣は、そっと涼也のそばに座る。


「ねえ、ちょっとだけ……いい?」


「ん? どうした?」


「……今日、検査したの。妊娠検査薬」


涼也の目が、一瞬見開かれる。


「えっ……! もしかして……?」


結衣は、少しだけ照れたように、うなずいた。


「うん。陽性だった。……多分、赤ちゃんいるみたい」


沈黙。


けれど、それは ほんの数秒だけ。


「……やば、マジで!? え、うわ……すご……!」


言葉が追いつかないまま、涼也は何度もうなずいて、

その目の奥が、じんわりと滲んでいる。


「結衣ちゃん……大丈夫? つわりとか、しんどくない?」


「ちょっと気持ち悪いときもあるけど……今は、なんだか幸せな気分の方が勝ってるかも」


涼也は、そっと結衣の手を握る。


「……ありがとう。教えてくれて。本当にありがとう」


二人の間に、静かで、あたたかな時間が流れていく。

これからの不安も、わからないことも、たくさんあるだろう。

でも今はただ、この喜びを分かち合えることが、何よりも尊くて――


二人の“家族”の物語が、そっと、始まりを告げた。

お忙しい中、今日も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ