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再生回数7回のラブストーリー  作者: 市善 彩華
第15章 ブルーデージー ── 協力、支え合い
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第86話「信じたくなる理由」

「そんなの信じない」って決めつけてたことも、

大切な人の言葉一つで、少しだけ見え方が変わる――。


信じる・信じないの間には、

「信じたいと思える誰かがいること」っていう、

ちょっと特別な気持ちがあるのかもしれません。


これは、そんな心の揺らぎの話。

夕暮れ前の空が、淡い茜色に染まりはじめていた。

人気のない遊歩道沿い、小さな噴水のそばに並んで腰かける大悟と里奈。


水の音がかすかに響く中で、ふいに里奈が口を開いた。


「そういえば、昨日なんとなく占いアプリやってみたらさ、私たちの星座の相性、めっちゃいいみたい」


カップに残ったカフェラテを見つめながら、何気ない口調でそう言う。


「星座占い? 俺、そういうの信じないけど」


大悟は肩をすくめ、わずかに笑う。

いつも通りの、からかうような、だけど少し照れたような反応。


里奈は少しだけ首を傾けたまま、微笑んだ。


「そうなんだ…。牡羊座と山羊座って、お互いにないものを補い合える、ベストバランスだって。でも……大ちゃん信じないんだよね」


その声には、少しだけ期待と、ほんの少しの寂しさが混じっていた。

だけど、返ってきた言葉は、意外なものだった。


「へぇ……。でも――」


言いかけて、少しだけ視線を遠くに向ける。

空を仰いでから、大悟は ぽつりと続けた。


「……里奈に言われたら、信じたくなるな」


「……大ちゃん好き」


小さく、でも確かに届く声。

言葉に込められた想いは、冗談でも勢いでもないことを大悟は、すぐに感じとった。


彼女の視線をまっすぐ受け止めたまま、大悟もまた微笑む。



後日――。

涼也と大悟が、公園のベンチに並んで腰を下ろしていた。


「そういえば、星座占いって……意外と面白いよな」


「え? 人間の運命が誕生日で決まるとか、なんか信じきれないって言ってた、あの大悟さんが?」


「……まぁな。前は、そうだったけどよ」


大悟は少しだけ照れくさそうに目をそらした。


「でも、里奈が言ってたんだよ。“俺たちの相性が抜群だ”って」


「おお、それで信じるようになったんすね」


涼也は、どこか嬉しそうに笑った。


「なんか、らしくないっすけど……いいっすね。

結局、“誰が言ったか”ってことなんすよね、こういうのって」


その言葉に、大悟も小さく笑った。


「そうかもな」


過ぎていく時間は、ただ静かで、どこか温かかった。

信じる・信じないの間で揺れる気持ちも、誰かの一言でふと変わる――そんな余韻を込めました。


「信じたいと思える誰かがいること」って、

それだけで、心が少しあたたかくなる気がします。


第27話との繋がりを感じていただけたら嬉しいです。


お忙しい中、今日も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!

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