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再生回数7回のラブストーリー  作者: 市善 彩華
第15章 ブルーデージー ── 協力、支え合い
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第85話「未来のかけら」

結衣と涼也が甥っ子を預かって過ごした日——その出来事を、里奈は大悟に何気なく話す。けれど、その言葉の端々に滲む憧れや、ふと浮かぶ未来の輪郭。

夕暮れのカフェで交わされる、まだ確かでない“温かなもしも”の物語。

カフェのテラス席。

オレンジ色に染まった夕暮れが、ゆるやかに辺りを包んでいた。


風がそっと吹き抜けるたび、テーブルクロスがふわりと揺れる。

アイスコーヒーのグラスに浮かぶ氷が、小さな音を立てた。


「ねぇ、大ちゃん」


その静けさをやさしく破るように、里奈が声を上げた。

カップを両手で包んだまま、遠くの空を眺めながら、ぽつりと。


「結衣ちゃんたち、この前ね、甥っ子くんを預かったんだって。お泊まりで」


「へぇ、涼也が? あいつ、そういうの得意だったっけ?」


大悟が少し意外そうに眉を上げる。


「うん、意外と子ども得意なんだって。甥っ子くん限定かも、とは言ってたけど。ふふ。

結衣ちゃんと二人で、絵本読んだり、お風呂入れたり……すごく自然だったって。

なんだかもう、“お父さんとお母さん”って感じだったらしいよ」


そう言って、里奈は ふっと目を細める。

何かを思い出すような、あるいは想像するような、少し憧れるようなまなざしだった。


「結衣ちゃん、“また来てほしい”って言ってたの。

あんなふうに子どもと関われるって、すごいなって思った……素直に、いいなって」


大悟はグラスをゆっくりテーブルに置くと、少し黙って空を仰いだ。

風が吹いて、彼の髪をわずかに揺らす。


「……子ども、か」


その一言には、どこか戸惑いと照れ、でも確かな響きが混じっていた。


「うん。……話を聞いてたら、ふと考えちゃった。

もし私に子どもがいたら、どんな子になるのかなって」


言い終えると、里奈は ふいに自分の手を見つめる。

テーブルの下で、指先がそっと組まれる。


「里奈の子どもなら、絶対かわいいだろ」


大悟の声が、さらりとした風のように降ってきた。


「……え」


思わず顔を上げた里奈に、大悟は目をそらすことなく、言葉を重ねた。


「きっと、よく笑って、人のこと思いやれる子になる」


すると里奈も、少しだけ照れながら言葉を返す。


「……大ちゃんの子どもなら、少し不器用でも……優しくて、強い子になるんだろうな」


目を合わせたまま、二人とも少し笑った。


「何より大ちゃんがパパだったら、安心できる、そんな気がする」

里奈は一瞬視線を落としながらも、そっと指先が大悟の指に触れた。


「……俺がパパかぁ」

小さくつぶやいてから、頬をかく仕草。

「なんか……まだ全然想像つかないけどさ。でも、そういう未来、悪くないな。里奈がママなら、きっと自慢のママだな」


まだ具体的じゃない。

でも確かにそこにある、二人だけの、やわらかい未来。


カップの底に残ったコーヒーが、夕焼けの光を反射して静かにきらめいていた。

お忙しい中、今日も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!

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