第83話「二人と、一人の、小さな約束」
甥っ子との何気ないやりとりの中に、結衣と涼也の温かな絆が垣間見えるひととき。
“家族”という言葉が、少しずつ輪郭を持って見えてくるエピソードです。
涼也の家のリビングで、元気な甥っ子が結衣の胸元にそっと手を伸ばした。
「ふわふわ〜」
無邪気な声に、結衣は優しく微笑む。
「ふふ、それね……実は“涼也おじさん限定”……(あ、限定ってまだ難しいかな)
涼也おじさんしかダメなの。だから、ごめんね?」
「えー! なんでー?!」
不満げに顔をしかめる甥っ子。
そんな様子に、涼也が少しだけ赤くなりながら甥っ子を抱き上げる。
「はいはい! おじさんなら、好きなだけ触っていいから」
「えー! やだー! 結衣ちゃんがいいのに〜!」
「おい、もう“結衣ちゃん”って呼んでるし……」
抱っこされたままの甥っ子にぼやきながら、涼也が苦笑する。
結衣は、そのやりとりにくすっと笑って、柔らかな声で言った。
「将来モテ男になりそうだね」
「モテ男ってなーに?」
「ん〜……女の子に“かっこいい!”って思われる男の子、かな?」
「ふーん……それ、いいの?」
「いいこと……なのか?」
涼也が肩をすくめて笑う。
すると、結衣が優しく微笑んで言った。
「モテたいって思う人もいるけど……私は、自分の好きな人にだけ『好き』って思ってもらえるのが、一番嬉しいな」
甥っ子が首をかしげながら聞く。
「それって……涼也おじさん?」
結衣は少し照れながら、甥っ子の頭を撫でて言う。
「正解!」
涼也は赤くなりながらも、優しく声をかける。
「……ママとパパには、内緒な?」
甥っ子は、にっこり笑って指を口に当てる。
「しーっ! ひみちゅ!」
結衣もつられて笑みをこぼす。
「……ほんとに、いい子だね」
涼也の視線も、どこか優しく緩んでいた。
お忙しい中、今日も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!




