第7話「相互になった日」
涼也は結衣とのやりとりに、次第に心を動かされていく。二人の距離が縮まる瞬間が訪れる予感。
(涼也視点)
ポストに気づいたのは、遅めのランチを終えた頃だった。
《社食で優勝してきました(写真)》
相変わらず、“映え”とは無縁の投稿。けど、あの子らしい。そう思った瞬間、目が止まる。
……リプライが一件。
《同じこと思いましたw》
思わず吹き出して、コーヒーをこぼしそうになった。
やっぱり、おもしろい子だ。
この前会ったときもそうだったけど、なんというか、気を抜くと、つい目で追ってしまう。柔らかく笑う表情とか、話すテンポとか、声のトーンとか。全部、耳と記憶に残ってる。
ふと、Xで結衣のプロフィールを開いてみる。
……あれ? さっきフォローしたばかりなのに、もう一度プロフィールを開いてしまった。
「うーん、なんでだろう」
気づいたときには、すでにフォローしていたけど、理由なんて後で考えればいい。
しばらくして、スマホが小さく震えた。
新しい通知が届く。
《いいねされました:結衣》
少しの間をおいて、もう一件。
《リプライが届きました》
「同じこと思いましたw」って、彼女が言ってくれたとき、心のどこかで「通じた」って思えた。多分、向こうも同じように笑ってくれてる。そう思うと、意味もなく嬉しくなった。
彼氏……いるんだろうか。
いや、だから何だって話なんだけど。
スマホの画面を伏せながら、少しだけ、ニヤけてしまった。
お忙しい中、読んでいただきありがとうございました!