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再生回数7回のラブストーリー  作者: 市善 彩華
第12章 ポインセチア ── 祝福、幸せを願う
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第69話「夏の夜、心に咲いたひとひら」

夏の夜、特別な思い出がまた一つ増えていきます。

二人の『今』が、そっと心に灯るような時間になりますように。

夏の夜風がやさしく吹き抜け、浴衣姿の人たちでにぎわう花火大会の会場。

結衣は淡い紫の浴衣をまとい、髪には小さな花の飾りをつけていた。


「うわあ……屋台、いっぱいあるね」

「食べたいの決まってるでしょ、おうし座さん」

涼也がからかうように笑う。


「バレてる。だって とうもろこしの匂い、すっごくするし」

「ほら、焼きそばも買っておいたよ。並ぶの大変そうだったからさ」

「えっ、いつの間に!? ありがとう、涼ちゃん!」


人波に紛れながら、二人は並んで歩く。

何でもない会話、何気ない仕草。その一つ一つが心をあたためてくれる。


「結衣ちゃん、浴衣似合ってる。……っていうか、かわいすぎる」

「えっ、急に何!?」

「いや、もうちょっとカッコつけようかと思ったけど、無理だった」

「ふふ。涼ちゃんの浴衣姿も、すごく素敵だよ。なんか……大人っぽい」

「ありがと。でも、やっぱり結衣ちゃんが一番だな」

二人は照れ笑いしながら見つめ合う。


そのとき──

結衣の視線が、少し離れた場所に止まる。人混みの中に、里奈と大悟の姿があった。


「あっ……あれ、あの二人じゃない?」

「……ほんとだ。偶然だな」

「ちょっと待ってて」

結衣はスマホをそっと取り出し、二人の後ろ姿を静かに撮影した。


「何撮ってるの?」

「ふふ。ちょっと“お返し”」

「お返し?」

「前に、私たちも後ろ姿撮られてたじゃん」

「──あぁ、大悟さんが撮ってくれたやつか」

涼也が懐かしそうに笑う。


「うん。知らないうちに撮られてたのに、すごく嬉しくて。今でも、あの写真すごく好き」

「ノートに貼ってくれてたやつだよね」

「そう。あのときのぬくもり、今でも ちゃんと残ってる気がするんだ」


涼也は、ゆっくりと頷きながら、ふと目を細めた。

「俺も。……あのノート、ちゃんと持ってるよ。あれ、すっごく嬉しかったんだ」

「えへへ、よかった」


大きな音を立てて、夜空に一つ目の花火が上がる。

色とりどりの光が空に広がり、二人の顔をふわりと照らした。


「ねえ、涼ちゃん」

「ん?」

「これからも、こうやって いっぱい思い出作っていこうね」

「うん。結衣ちゃんと一緒なら、何回でも作れるよ」

二人は見つめ合い、そっと手を繋いだ。


その手のぬくもりは、静かに、でも確かに──心の奥まで伝わっていく。

夏の夜空の下で、また一つ大切な記憶が増えた二人。

今回のエピソードには、第40話「転勤前の宝物」で結衣が贈ったノートの記憶が、そっと息づいています。

あの回との繋がりを感じていただけたら嬉しいです。


お忙しい中、今日も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!

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