第67話「どっちが好き?」
昔観たドラマでやってた、“どっちが相手のことを好きか”なんて会話。
ちょっと青くて、ちょっとくだらなくて、でも どこか羨ましかった。
まさか、自分たちがそんなことを言い合う日がくるなんて思ってもいなかった。
休日の午後。窓から柔らかい光が差し込むリビングで、二人は ゆったりとソファに腰かけていた。
結衣が涼也の肩にもたれながら、ぽつりとつぶやく。
「こうやってのんびりする時間、好きだなあ」
「うん。結衣ちゃんが隣にいてくれると、なんか全部満たされてる気がする」
結衣は、ちょっと照れくさそうに笑った後、ふと話題を変える。
「ねえ涼ちゃん。“どっちが相手のことを好きか”って話、昔ドラマで観たことあるんだよね。ちょっと古い感じだけど」
涼也がくすっと笑う。
「あるな、それ。昔は“何あれ”って思ってたけど…」
涼也は、ちょっと照れながら笑った。
「まさか、自分が“どっちが好きか”なんて言う側になる日が来るとは思ってなかったよ。でもさ、言っていい?」
結衣が目を丸くして振り向いた。
「え、何?」
「俺、多分…いや、絶対、結衣ちゃんのこと、世界で一番好きだと思う」
「ふふっ、急に何それ。でも…うれしい。
私も多分同じくらい好きだよ。
…ううん、やっぱり私の方が好きかも!」
「いやいや、それは俺の方だって!」
お互い譲らないまま、顔を見合わせて笑い合う。
「…なあ、こういうの、大悟さんたちもやったことあるのかな。“どっちが好きか”論争」
結衣は目をぱちくりさせた後、笑い出した。
「兄が? うーん…意外と真顔で『俺の方が愛してる』って言いそう」
「で、里奈が『私の方が好きに決まってるでしょ!』ってむきになったりして」
「うん、想像できる。めっちゃ可愛いかも」
結衣が口元に手を当てて、くすくす笑う。
「今度聞いてみようか。ちょっと気になってきたな」
「うん。あの二人なら、普通にノってくれそうだよね」
そんな他愛もない会話に、二人の空気がまた少しだけ あたたかくなっていく。
「でもさ、どっちが好きかなんて、本当は どうでもいいんだよね」
結衣がふっと笑って、涼也の手に自分の手を重ねた。
「うん。一緒にこうして過ごしてるだけで、もう十分幸せだなって思う」
静かな午後。
変わり続ける日々の中で、変わらない「好き」が、そこにあった。
お忙しい中、今日も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!




