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再生回数7回のラブストーリー  作者: 市善 彩華
第11章 レンゲソウ ── 何でもない日が、愛おしくなる
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第66話「二人の歩幅」

新しい名字、新しい暮らし。

大きく変わったようでいて、何も変わらない二人の空気。

少しずつ、重ねていく毎日が、これからの人生になっていく。

「…あ、間違えた」


結衣が書類の署名欄を見て、小さく首をかしげる。


「旧姓で書いちゃった」


涼也は、その様子にくすっと笑った。


「まだ慣れないよな。でも、なんか嬉しいな」


「何が?」


「こうやって正式に“俺の奥さん”になったんだなって、実感する」


「ふふっ、まだちょっと照れるけどね」


結衣はペンを置いて、涼也の方を見つめた。


「でも、これからゆっくり慣れていけばいいよね。一緒に」


「うん、二人のペースで」


休日の午後、二人並んでソファに座りながら、結衣がスマホをいじってふと笑った。


「そういえば、あーちんと仲良くなって…もう“あーちん”って呼んでるんだ」


「そうなんだ。よかったね。素敵な縁じゃん」


「名前のこと聞いたら、“あーちん”だけだと、SNS用の無料姓名判断であんまり良くなかったらしいの。でも、“感謝”ってつけたら大吉になったんだって!」


「SNS用姓名判断?そんなのあるんだ。試したくなるね、なんか。笑」


「あとね、前にあーちんが株の投稿してて…『一人リーマンショックかと思った』って書いてあって。私、株やったことないのにツボっちゃって。

リプでは一応、『一人は一人でも、今なら関税ショックっていうか、トランプショックの方が近いかも』って訂正してたけどね〜!笑」


涼也も思わず吹き出す。


「想像できる。あーーさん、ほんと面白いな」


「そうそう!あーちんね、お米大好きなのに、知っての通りお米の値段が高騰したままでさ。数ヶ月前からホットサンドメーカー使い始めたんだって。それで、聞かれたわけじゃないんだけど、おすすめレシピあったら送りたくて。涼ちゃんも何かあったら教えて!」


「確かに米高いままだもんな…了解!」


涼也は少し考えてから、にっこり笑った。


「結衣ちゃんに、フライパンで作るやつ俺が作って、それ写真撮って送ったら、喜んでもらえるんじゃないかな?」


「フライパンでも作れるんだ?!作ってくれるの?嬉しい!ありがとう!楽しみ♪」


窓から差し込む光が、リビングをあたたかく包んでいた。


変わっていく日々の中で、変わらない笑い声が、そこにある。


新しい名字も、笑いのツボも、何もかも全部含めて。


二人の歩幅で、今日も前に進んでいく。

名前が変わるというのは、大きな節目。

でもそれ以上に、笑い合える時間や、何気ない会話の一つ一つが、

二人の絆を育てていくのだと感じた回でした。


お忙しい中、今日も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!

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