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再生回数7回のラブストーリー  作者: 市善 彩華
第11章 レンゲソウ ── 何でもない日が、愛おしくなる
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第64話「“偶然”という名の運命」

ふとした会話の中で見つけた、心を結ぶ“偶然”。

まるで運命がそっと背中を押してくれているかのように、二人の絆は深まっていく――。

結衣がふと思い出したように言った。

「そういえばね、リプを送った日の花言葉、調べてみたんだ」


涼也は少し驚いた顔をして、結衣の方を向く。


「花言葉? そういうの、結衣ちゃん好きだよね」


結衣は うなずいて、少し照れくさそうに笑った。


「うん。それでね、『恋の訪れ』とか『ラブレター』ってあって……ちょっとびっくりしちゃった。まさに私たちみたいで」


涼也は目を丸くした後、ふっと やさしく笑う。


「マジで? 偶然にしては、できすぎだね。じゃあさ、俺が初めて返信した日も調べてみようかな」


そう言いながら、スマホを取り出して検索を始める。


「えっと……あった。『喜びを運ぶ』とか、『とても幸せです』って出てるよ」


結衣は思わず「わぁ……」と声を漏らす。


「それ、本当にぴったりだよ。涼ちゃんから返信もらえたときの気持ち、そのまま!」


「俺も同じだよ。ほんとに救われたよ。結衣ちゃんの言葉って、なんかあったかくてさ」


静かに見つめ合い、どちらともなく手を重ねる。


「きっとさ、こういうのを“運命”って言うんだよね」


「うん。偶然だけど、ただの偶然じゃないって思えた」


二人の笑顔が重なり、あのときのやりとりが心にやさしくよみがえる。


しばらくして、結衣が小さな声でつぶやいた。


「そういえば、バレンタインにくれたこのキーケース、今でも毎日使ってるんだ。ずっと宝物だから。内側に小さく『Y&R』って刻まれてて、これって私たちのイニシャルかなって気になってた」


涼也は少し照れくさそうに笑う。


「気づいてくれてたんだ。実は……特注で頼んだんだよ。結衣ちゃんの“Y”と、俺の“R”。こっそり、おそろいの証にしたくて」


「そんな秘話があったんだ。もう、涼ちゃんってほんと優しい。私のこと、ずっと想ってくれてて…うれしすぎるよ〜」


涼也は結衣の手元を見つめながら、そっと続けた。


「このキーケース、実はね。あのとき、同棲できそうだなって思って、合鍵が入れられるタイプを選んだんだ」


「そっか…あのときって、まだ転勤が決まる前だったんだよね」


「うん。だから、これから一緒に住めたらいいなって思いながら渡したんだ。でも、まさか その後に転勤になるとは思ってなかったんだけどね」


結衣は驚いたように目を見開き、そして ふわりと笑った。


「そんな気持ちまで込められてたなんて…もう、涼ちゃんって、ほんとにやさしいよね。前からずっと」


涼也も微笑みながら、そっと結衣の手を握る。


「あのときは、転勤になって同棲は できなかったけど…籍も入れたし、これからは堂々と一緒に暮らせるね」


結衣の手を握ったまま、涼也は その言葉にやさしく うなずいた。


「うん。今度こそ、ちゃんと一緒に」


──声が繋いでくれた縁。

小さな偶然は、二人の確かな絆へと育っていた。


ふと、涼也が笑いながら結衣に目を向ける。


「そういえばさ、俺たち、里奈と大悟さんに“同棲早いね”って言ってたけど……出会って一年で結婚した俺たち、わりと爆速じゃない?」


結衣も吹き出して、うなずいた。


「だよね〜。十分スピード婚だし、全然人のこと言えない!笑」


「でもさ、早いとか関係ないよね。俺は結衣ちゃんだったから、迷わなかった」


「うん、私も。こんなに自然に一緒にいられる人、涼ちゃんしかいないから」


二人は、ゆっくりと手を握り合いながら、そっと笑い合った。

その笑顔は、出会ったあの日からずっと続いている“奇跡”を、やさしく物語っていた。

涼也が結衣に渡したキーケースは、第29話「一緒に、ずっと。」での逆バレンタインの贈り物でした。

その小さな贈り物に込めた想いが、二人の絆をさらに深めていきます。

第29話との繋がりを感じていただけたら嬉しいです。


お忙しい中、読んでいただきありがとうございました!

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