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再生回数7回のラブストーリー  作者: 市善 彩華
第10章 ナデシコ ── 細やかな日々に咲く想い
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第59話「早すぎじゃない!?」

大悟と里奈の関係が、涼也と結衣にも ついに明かされます。

休日、涼也の部屋。映画を観ながら、まったり過ごす二人。


「……泣いた?」


「ちょっとだけ。でも、涼ちゃんの方が先に泣いてたよね?」


「うっ…バレてたか。いや、これは泣かせにきてるでしょ、完全に」


二人で笑い合っていると、インターホンが鳴った。


「……誰か来たみたい」


涼也が立ち上がり、玄関を開けると、大悟が紙カップを片手に立っている。


「よっ。急に押しかけて悪いな」


「大悟さん、どうぞ。中、入ってください」


涼也が少し驚いたような顔をしながら、大悟を部屋へ招き入れた。


「それ……エスプレッソっすか? まさか缶コーヒーじゃないっすよね?」


結衣が横から顔をのぞかせ、驚いた表情を浮かべていた。


「はは、そう。最近は、ちゃんと挽いた豆で淹れてるんだよ」


「いやー、珍しいっすね。朝は缶コーヒーじゃないと始まらないって言ってたのに。完全にルーティンだったじゃないですか」


「それな。でも、変わるもんだな。今は毎朝、里奈が淹れてくれるんだよ」


(え、里奈……?)


“里奈”という名前に、結衣のまばたきが一瞬止まる。思わず口をついて出た。

「……誰?」


涼也が間を埋めるように口を開いた。


「里奈って、俺のいとこ。最近ちょっと……いい感じらしいよ」


「それで、実は今、一緒に暮らしてるんだ。いきなりでびっくりさせてごめんな」


「えっ!?」


結衣が驚いたように声を上げた。


「ちょっとどころか、めちゃくちゃ進んでるじゃないっすか。それ、もう“いい感じ”のレベルじゃないですよね」


涼也がツッコミ気味に、笑いながら言った。


結衣がくすっと笑った。

「私たちより籍入れるの早かったりして(笑)」

少し間を置いて、続ける。

「結婚の挨拶も済ませて、今は同棲してるけど……なんか先越された気分」


大悟が照れたように笑う。

「なんか自然でさ。“一緒にいたい”って気持ちが先に動いてて。最初から結婚も意識してたし、ちゃんと向き合いたかったんだ」


(……わかるな、その感じ)


結衣は少し目を伏せ、静かに言った。

「……私も、涼ちゃんと別れ際、帰りたくないって付き合う前から思ってたし。一緒にいたい気持ちは負けなかったけど、同棲するまでの期間は負けちゃった。……まあ、勝ち負けじゃないけど(笑)」


涼也がそっと結衣の手を握った。

「俺も! 順番とか気にしちゃって…でも、結衣ちゃんのことを大事にしたいって思いは、ずっと変わらないから」


涼也が大悟を見て、照れながらも真剣に言った。

「大悟さんは大悟さんで、ちゃんと大事にしたいから同棲なんだよね。……やっぱ兄貴、カッケーっす!」


大悟は照れ隠しのように笑った。

「やめろや、そういうの。背中ムズムズするだろ」


涼也がニヤリと笑う。

「でもさ、それって0日婚みたいなもんじゃないっすか?」


「してねぇって、まだ籍入れてねーから!

ってか、そんな一瞬で結婚するわけねーだろ!」

大悟は笑いながら即ツッコミ。


結衣がくすっと笑った。

「でも、気持ちは もう夫婦っぽいよね」


大悟が照れたように笑いながら、軽く肩をすくめた。

「まあ、そう見えるかもな。でも、俺たちも負けてられねえな」


結衣は呆れたように笑ってから、やさしく目を細めた。

「…まぁでも、本気で好きになった人なら、ちゃんと会ってみたいな」


「ありがとう。今度、改めて紹介するよ。里奈も“結衣ちゃんに会ってみたい”って言ってたし」


「嬉しい。涼ちゃんのいとこなら、絶対いい子確定」


二人のやりとりを見守りながら、涼也はイタズラっぽい笑みを浮かべ、ぽつりとつぶやいた。


「なんか、いろんなところで春、来てますね……」


大悟は少し照れくさそうに、でも どこか嬉しそうに笑った。

大悟の「缶コーヒーがないと朝が始まらない」は、第27話の伏線でした。

そんな彼が“豆から挽いたコーヒー”に変わったのは、たった一人の誰かの存在が日常を変えたから。

第27話との繋がりを感じていただけたら嬉しいです。


お忙しい中、読んでいただきありがとうございました!

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