表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
再生回数7回のラブストーリー  作者: 市善 彩華
第8章:ヒマワリ ― あなたを見つめてる
58/66

第58話「天使と初デート」

初めてのデートで、二人の距離は少しずつ縮まっていく。楽しい時間を過ごしながら、大悟の中で芽生える新しい気持ち。大悟が選ぶ答えとは?

おしゃれなカフェにて


「ここ、前から気になってたんです。ちょっと女子っぽいかなって思ったけど…大丈夫でした?」


「全然。むしろ、俺一人じゃ絶対入れないから嬉しいよ。里奈ちゃんセンスいいな」


そう言われた瞬間、里奈の顔がぱっと明るくなる。


「よかったぁ。大悟さんと一緒なら、なんでも美味しくなっちゃいそうです」


店内は自然光が差し込んでいて、テーブルに運ばれてきたパスタとパンケーキがまるで雑誌のページみたいに可愛らしく映える。


「わぁ〜見てください、可愛すぎません!? 写真、撮ってもいいですか?」


「もちろん。…俺も撮ってみようかな、せっかくだし」


お互いに写真を撮り合いながら、ふと目が合い、その瞬間、二人とも思わず照れ笑い。


「こういう時間、なんかいいな。のんびり話せるし…癒されるっていうか」


「私も。大悟さんと過ごす時間、すごく心地よくて…今日、すごく楽しみにしてたんです」


――どうしてこんなに自然に笑えるんだろう。もう、“天使”って言葉しか出てこない。



ライブ会場付近に移動


「今日のライブ、楽しみすぎて…昨日眠れなかったです(笑)」


「気持ち分かるなあ。まさか、同じアーティスト好きだったなんて、ほんとビックリだよ」


「確かに、友達に言っても“誰それ?”って言われます(笑)」


「分かる(笑)俺も何回か説明するのめんどくさくて諦めた」


「でも、大悟さんが知っててくれて嬉しかったです。ちょっと運命感じちゃいました」


「うん、俺も」


どこか照れくさそうにしながらも、二人の間に自然な笑顔がこぼれる。


「結衣ちゃんには、まだ会ったことないんですけど…涼兄が、何回も“結衣ちゃんが〜”って話してくるから、なんだか私も会ってみたくなっちゃって」


「それ、結衣喜ぶと思うよ。あいつ、異性の友達ほとんどいないタイプで、同性だと安心するって言ってたし」


「そうなんだ…結衣ちゃん、可愛いなあ」


「あいつの話になると、涼也止まんないからな」


ニコッと笑ってから、里奈がちょっといたずらっぽく言う。


「大悟さんも、私のこと…たくさん考えてくれたら嬉しいな」


「……っ!(今の…本気で言ったの!? え、えっ!?)」


思考が一瞬でフリーズする。今のは冗談? いや、笑ってない。これは…反則だろ。



ライブ会場前


ライブ会場の前は、開演を待ちきれない人たちで溢れ返っていた。

熱気とざわめきが肌にまとわりつきそうなほどで、里奈がふと足を止める。


「実は、ライブに行くの初めてで。笑」


「そうなんだ。意外!」


笑いながらも、どこか落ち着かない様子の里奈がぽつりとこぼす。


「人が多すぎて…ちょっと怖いかも」


大悟は周囲を見回してから、そっと彼女の手を握る。


「大丈夫、俺がついてるから」


驚いたように目を見開いた里奈が、すぐにふわっと笑う。


繋いだ手のぬくもりが、不安を溶かしていく。

人混みのざわめきが、二人だけをそっと包んでくれているようだった。

まるで、世界の音が少しだけ遠くなったみたいに。

里奈の鼓動が、大悟にも聞こえてしまいそうで、少しだけドキドキした。



ライブ後、帰り道


帰り道、会場を出てもまだ人混みは続いていた。

ざわつく通りの中、二人の歩幅は自然に揃っていて、肩が何度も優しく触れ合う。

「なんか、夢みたいだったね」

「うん。現実に戻りたくないかも」

人混みの中にいても、二人だけが静かな空間にいるような感覚だった。


「今日、一緒に過ごせて本当に楽しかったです…ありがとうございます!」


「俺も楽しかったよ。なんか、時間があっという間で…」


夜風に吹かれながら、二人の歩幅が自然に揃っているのが心地いい。


「これからも、いろんなとこに行きたいな」


「……ライブってさ、楽しいけど…けっこう体力持ってかれるんだなって思った(笑)」


「えっ…じゃあやっぱり、ちょっと疲れてました?」


「まぁ、ちょっとだけ。でも、里奈ちゃんが笑ってたから元気出た」


「……っ(感動)ほんとは疲れてたのに…それでも一緒に楽しんでくれて、笑ってくれて…やっぱり私の見る目に狂いはなかったな」


足を止めて、ふと大悟が静かに口を開く。


「……里奈ちゃん。その、実は俺も、今日で気づいたことがあって」


「えっ? 何ですか?」


少しうつむき加減に、けれど しっかりとした声で。


「会ってまだそんなに経ってないのに、こんな気持ちになるなんて…自分でも驚いてる。でも、里奈ちゃんのこと、本当に大事だって思った」


ちょっと驚いた表情を浮かべた里奈が、すぐにやわらかく微笑む。


「大悟さん…」


「こんな気持ちになったの、初めてだから…だから、これからも…もっと一緒にいたい。付き合ってくれませんか?」


にっこりと微笑んで、里奈が頷く。


「もちろん…大好きです」

お忙しい中、読んでいただきありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ