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再生回数7回のラブストーリー  作者: 市善 彩華
第10章 ナデシコ ── 細やかな日々に咲く想い
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第57話「新たな出会い」

これまで結衣と涼也の関係を見守ってきた大悟。

でも、彼にもようやく――心が動き始める瞬間が訪れます。

戸惑いながらも、少しずつ動き出す大悟の物語。

どうぞ、彼の一歩を見届けてください。

大悟は、結衣と涼也の関係を見守りながらも、少し複雑な気持ちを抱えていた。


「恋愛に興味がないわけじゃない。

ただ、結衣が結婚するまでは誰とも付き合わないって決めてたんだ。

結衣が幸せになったから、そろそろ自分の番かな…

でも、何から始めればいいんだ?」


そう思いながら、カフェでコーヒーを飲んでいたとき──

ふと、向かいの席の女の子と目が合う。


「めちゃくちゃ可愛い…。でも、話しかける勇気なんてないな…

どうせ彼氏か旦那いるだろうし…」


視線をそらしたものの、内心では まだ動揺が残っていた。


──


視線をそらしてから数分。

気づけば あの子の姿は、もう席には なかった。

席を立ったのか……誰かを待ってたのかもしれないな。


そう思った直後、店の入り口から聞き慣れた声が─


「あ! 大悟さん!」


声の方を振り返ると、涼也が女の子と一緒に楽しそうに歩いてきていた。


「紹介します。俺のいとこの里奈です」


目の前の女の子は──さっき目が合った、あの子だった。


「お名前聞いてピンときました! あなたが大悟さんなんですね! 涼兄の“自慢のお兄ちゃん”って聞いてたので」


「は、はじめまして…!」


里奈は、にこっと笑って言う。


「実は…さっき目が合ったときからカッコイイなって思ってました。まさか涼兄の大切な人だったなんて」


「えっ…ホントに?」


大悟は驚きつつ、すぐに思い出す。


「えっ…勘違いじゃなかったんだ…。めちゃくちゃ可愛いと思って見とれちゃいました…あ、言っちゃった…」


「え…嬉しい。ありがとうございます」


照れたように微笑む里奈に、大悟は ますます動揺した。


「いや、本当にタイプで…心の声、漏れまくってたな…」


そんなやりとりを、涼也は少し離れた場所でニヤニヤしながら見ていた。


──


3人でカフェを出て、しばらく歩いた先の人通りの少ない場所で、里奈がふと立ち止まる。


「大悟さんって…独身ですよね? その…彼女もいませんよね?」


「えっ!? う、うん…(なんで聞いた!?)」


「よかった。じゃあ、チャンスあるかも」


「えっ!?」


「私…大悟さんのこと好きかもしれません」


大悟は目を丸くした。


「えっ、えぇ!? 俺と? まだ会って間もないのに?」


「はい。私、見る目あるんで、間違いないはず!」


「……すごいな。俺、ちょっとついていけてないかも…」


「お返事は、また今度聞かせてください。でも、とりあえず──」


彼女は、まっすぐな目で言う。


「私とデートしてください」


「…えっ、デート? 俺と?」


「私が相手じゃ…嫌ですか?」


子犬みたいにうるんだ瞳で見つめられ、大悟は思わず本音をこぼす。


「嫌なわけ…むしろ、喜んで行きたいくらいだけど…あ…また言っちゃった…」


「じゃあ、決まりですね」


そう言って、里奈はスマホを差し出す。


「LINE、交換してください」


「え…うん……(え、えぇ……まじか…)」


──


「これで連絡とれますね。デートの日程、また相談しましょう」


「うん、了解…(本当に現実なんだよな…)」


──


その様子を、少し離れたところで涼也が優しく見守っていた。


「大悟さん、ついに運命の人に出会ったんですね」


顔を真っ赤にした大悟は、照れ隠しにツッコむ。


「うっせえ」


──


頭の中では、里奈の言葉が何度もリフレインしていた。


「デート…俺、どうすればいいんだ?」


新しい一歩が、静かに、でも確かに、大悟の心に刻まれていた。

第27話「缶コーヒーと占いと」で、大悟が『占いなんて信じない』と言っていたことがありました。

あの言葉が、今日の出会いで少しずつ変わっていくかもしれません。

人の心って、やっぱりおもしろいですね。


お忙しい中、読んでいただきありがとうございました!

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