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再生回数7回のラブストーリー  作者: 市善 彩華
第7章 ハナミズキ ── 永続する愛の証
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第42話「信じたいから、伝える」

大切だからこそ、ちゃんと伝えたい。

誤解も不安も、言葉にして乗り越えた先に見える、二人の確かな想い。

少し照れくさくて、でも真っ直ぐで、優しい気持ちの詰まった回です。

結衣は、驚いたように瞬きをして、それからふっと笑った。

「鈴木さんは、家族思いの優しい上司で、もうすぐ二人目の赤ちゃんが生まれるんだって」


「え?」


涼也が目を見開くと、結衣は柔らかく続けた。


「涼ちゃん、ちょっと考えてみて。私、こんなに涼ちゃんに惚れ込んでるのに、それ以上が出てくるわけないじゃん。鈴木さんは、ただの同僚だよ。心配しなくていいから」


「……」


「それにね、その同僚にも言ってるの。いっつも“私には勿体ないくらい素敵な彼氏なんです”って、惚気てるんだよ?」


結衣は、そっと涼也の手を取った。


「鈴木さんのことだって、何もやましいことないから、涼ちゃんにちゃんと話してるんだよ」

「涼ちゃんが勘違いしたら、そのたびに私がちゃんと言葉で伝えればいいんだよね」


手を握ったまま、結衣は優しく微笑んで続けた。


「思ってることは、ちゃんと言葉にして伝えなきゃ伝わらないもん」


涼也は その言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。

自分がどれだけ彼女に大切に思われているか、信じられる。


「……俺こそ、ごめん。勝手に勘違いして女々しいこと言って」


結衣は、ふわりと笑って首を横に振った。


「うん、誤解だってわかってる。でもね、大丈夫。私は、涼ちゃんのことしか見てないよ」


***


別れ際、涼也はバッグから一つのノートを取り出した。


「これ……前に結衣ちゃんがくれたノート、すごく嬉しかったから。今度は俺の番」


「え……?」


「ちゃんと残しておきたくて、作ったんだ。遠距離の間も、ちゃんと気持ち伝えたくてさ」


ページを開くと、そこには二人の写真がたくさん貼られていた。

手書きの言葉も、絵も、小さな思い出の欠片たちも。


ページをめくっていくうちに、ある一枚の小さなスクショが目に入った。


“蠍座と牡牛座の相性:離れられない運命”


「あ……これ……」


結衣は思わず声を漏らす。


「あのときの……占いのスクショ……」


スクショの下には、涼也の小さな手書きの文字が添えられていた。


《いいことは信じたい派》


「……あのときのスクショ、印刷して貼ってくれたんだ。なんか……感動しちゃった……」


そっとページを撫でながら、結衣の目にじんわり涙がにじむ。


「こんなふうに想ってくれてたんだね……」


ふっと微笑むと、涼也が少し照れたようにつぶやいた。


「だって、俺……この占い、すごく当たってると思ったから」


そして、最後のページには手作りのおみくじが貼られていた。


『大吉』

縁談:涼也と結婚すると吉


「……ふふっ、なにこれ。かわいい」


「……うん。俺の願望、かな。結衣ちゃんとずっと一緒にいたいって」


結衣は、おみくじの紙をそっと撫でながら微笑んだ。


「……これ、ずっと大事にする。私が死んだら棺桶に一緒に入れてほしい。宝物がまた一つ増えちゃった」


「……そんなに大切にしてくれるの?結衣ちゃんにとって、俺とのことがそこまで…嬉しいな」

「……よくよく考えたら、棺桶って。笑 俺より長生きしてね?」


「ううん、涼ちゃんの方が長生きして。私、その分 大事にされたいもん」


「……筋トレ、頑張ろうかな。長生きできるように」


「ふふっ、じゃあ私は野菜……たまには食べようかな!」


「……それでも、ちょっと嬉しい。笑」


***


不安も、距離も、ちゃんと伝え合えば乗り越えられる。

言葉を重ねて、二人の絆は また少しだけ強くなった。

25話・26話のときに密かに残していた「占いのスクショ」どちらのアプリのスクショも大切な思い出。今回は、結衣と涼也の絆を象徴するアイテムとして登場しました。

伏線として楽しんでいただけたら嬉しいです。


お忙しい中、読んでいただきありがとうございました!

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