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再生回数7回のラブストーリー  作者: 市善 彩華
第7章 ハナミズキ ── 永続する愛の証
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第39話「兄弟の会話」

突然の出来事に揺れながらも、支え合う強さがそこにある。

涼也の部屋に、翔平がふらりと訪れた日。突然の来訪に涼也は少し驚いたが、どこか嬉しそうに兄弟の時間を楽しんでいるようだった。


翔平はリラックスした様子で、ソファに腰を下ろしながら言った。

「なぁ、涼兄。結衣さんとのこと、うまくいってるんだろ?」


涼也はソファに座ったまま、はにかむように笑った。

「うるさいな。いきなり何なんだよ」


翔平は くすっと笑い、その笑顔につられて涼也も思わず笑みを浮かべる。

「でもさ、付き合いだしてから ずっと幸せそうだし。なんか、頼りにされてる感じもするし」


涼也は ふっと視線を落とし、少しの間だけ考え込む。

「うん。結衣ちゃんのこと、大事に思ってるから」


翔平はニヤリと口元をゆるめる。

「そっか。頼りにされてるって、涼兄にとっても新鮮だったんじゃない?」


涼也は照れ隠しのように視線をそらし、笑いながら答える。

「まぁ……確かにな。最初は そう思ったけど、今はただ一緒にいられることが嬉しいんだ。どんな困難があっても、結衣ちゃんとなら乗り越えていけるって思う」


そして、ふと つぶやくように続けた。

「……結衣ちゃん、転勤になるんだって」


翔平は少し驚いたように目を見開いた。

「えっ、そうなの? 急じゃん……それ、大丈夫か?」


涼也は真剣なまなざしで、ゆっくり頷く。

「うん。俺たちは、大丈夫だと思う」


翔平は表情を引き締め、力強く頷いた。

「そっか……なら大丈夫だな。涼兄と結衣さんなら、遠距離でも絶対に乗り越えられるよ」


涼也をじっと見つめた後、少しだけ考え込むような間を置いて翔平が言う。

「なら、結衣ちゃんといい時間を過ごしてさ。涼兄の幸せ、ちゃんと守ってやれよ」


涼也は照れくさそうに笑い、軽く頭を下げた。

「ありがとう、翔平」


そのとき、翔平がぽつりと呟いた。

「……結衣さんと話したかったな」


その言葉を聞いて、涼也は思わず笑いながらスマホを手に取る。

「じゃあ、かけるか。翔平が話したがってるって言っとくよ」


少し はにかみながら通話を繋ぎ、しばらく何かを話した後、翔平にスマホを手渡す。


「……結衣さん、翔平です。転勤、大変ですよね。でも――涼兄は今も結衣さんにゾッコンなので、安心してください」


結衣は思わず吹き出して、照れくさそうに笑った。

「ありがとう、翔平くん。遠距離になっても、2人の気持ちは変わらないよ」


しばらくして、涼也がスマホを受け取り、ふたたび声をかける。

「結衣さん、涼也です。……俺は結衣ちゃんにゾッコンのままなので、安心してください」


結衣も笑いながら、冗談っぽく返した。

「ちょっとw 私も涼ちゃんにゾッコンのままなので安心してくださいっ」


電話越しに、2人で笑い合う。その声があまりに楽しげで、翔平が気になったように尋ねた。

「何話してたの?」


涼也は顔を赤らめながら笑い、口元にそっと指を立てた。

「……内緒」

お忙しい中、読んでいただきありがとうございました!

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