第38話「兄弟の時間」
気づけば、少しずつ変わり始めた二人の関係。
「結衣も幸せそうだしな。あいつ、昔からあんまり人に頼ったりしなかったけど…今は涼也の前では違うんだろ?」
大悟はグラスを軽く持ち上げながら、涼也の方をちらりと見る。
「まぁ…そこは、2人だけの秘密ですけどね」
涼也が少し照れたように笑うと、大悟は苦笑しながら からかうように言った。
「はは、調子乗ってたら ぶん殴るからな?」
「はいはい、気をつけます」
そんなやりとりの後、ふと涼也が口を開く。
「最初は正直、心配っていうか…結衣のこと任せて大丈夫かなって思ったりもした。でも今は──」
大悟は少しグラスを回しながら、涼也の方を見て、静かに言葉を継いだ。
「今は、結衣のそばにいてくれるのが涼也だと安心するよ。ありがとな」
涼也は、その言葉に少し照れたように笑いながら、グラスを持ち上げた。
「…ありがとうございます」
「まさか、こんなふうに大悟さんと普通に話せるようになるなんて、正直ちょっと不思議な感じです。でも、嬉しいっす」
涼也が素直に言うと、大悟はグラスを持ちながらニヤリと笑った。
「なんだよ、それ。急に照れくさいこと言うなよ。キモいな〜」
「え、大悟さん…それは酷くないですか?」
涼也が苦笑いすると、大悟は少し笑いをこらえながら、やや照れた様子で言った。
「冗談だよ。でもな、涼也ってほんと、気づけば…結衣のことだけじゃなく、俺にも自然に馴染んでくるからさ。なんか嬉しいんだよ、そういうの」
その後、大悟は ふとスマホを取り出し、いきなり結衣に電話をかける。
結衣が電話に出ると、大悟は勢いよく話し始めた。
「今、涼也と飲んでるんだけどさ、結衣のノロケ話しかしてないぞ!」
結衣は笑いながら、「うるさいな、もう!」と答えるが、大悟は止まらない。
「お前、あいつのことどんだけ好きなんだよってくらいのノロケだぞ?」
「はいはい、もう切るよー!」と笑いながら結衣が電話を切ると、大悟はスマホを見て「うわー、切られた」とぼやいた。
それを見た涼也が大笑いしながら言った。
「大悟さん、やられちゃいましたね!」
大悟は、ちょっと照れくさそうに笑いながら「うるせーな」と言った。
その頃、結衣はスマホを見ながら、少し恥ずかしそうに笑っていた。
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