第36話「これからの二人」
旅の終わり、そして静かな夕暮れ。互いの気持ちを確かめ合いながら、結衣と涼也は少しずつ、これからの時間に想いを馳せていく。
車で結衣の家に到着し、二人は少し名残惜しそうに立ち止まった。外は すっかり夕暮れ時で、辺りが柔らかなオレンジ色に染まっていた。
そのとき結衣は、ふと車の中で思い出したことがあった。バッグの中を少し探りながら口を開く。
「実は、私、お土産買ってきたんだ。涼ちゃんに渡したくて」
そう言いながら、結衣は小さな袋を取り出し、涼也に渡した。
涼也は驚きながらその袋を開け、中からシンプルなデザインのネックレスが現れる。
「わぁ、ありがとう!素敵だね、結衣ちゃん」
結衣は照れくさそうに笑った。
そして、涼也が少し考えた後、ポケットから何かを取り出した。
「実は、俺もお土産を買ってきたんだ」
少し驚いたように目を丸くする結衣。それを受け取って袋を開けると、中には上品でシンプルな腕時計が入っていた。
「うわ、涼ちゃん、ありがとう!これ、すごく素敵!」
涼也は少し照れくさそうに笑いながら言った。
「お互いに、これからも大事に使おうね」
お土産を交換した後、二人は しばらく無言で静かな時間を過ごしていた。夕暮れ時の柔らかな空気が、二人の心をさらに近づけていくようだった。
「ねえ、涼ちゃん、これからどうなるんだろうね。私たち、もっと一緒に過ごすことになるんだよね?」
結衣が少し真剣な表情で言った。
涼也は、その言葉に答えるようにしっかりとした目で結衣を見つめた。
「うん、結衣ちゃん、これからもずっと一緒にいたいと思ってる。でも、急ぐことはないから、少しずつお互いに歩んでいこうね」
結衣は涼也の言葉に少し驚いたが、すぐに優しく微笑んだ。
「私も、急がずに少しずつ一緒に歩んでいけたら嬉しいな」
その後、結衣は家の玄関のドアを開ける準備をしながら、涼也を見つめて言った。
「またね、涼ちゃん。次に会うのが楽しみだよ」
涼也は結衣を見つめながら、手を振った。
「うん、楽しみにしてる。おやすみ、結衣ちゃん」
結衣が玄関の中へ入ると、涼也は少し寂しそうにその背中を見送りながら、心の中で誓った。
「これからもずっと一緒にいたい…」
そのまま涼也は車に乗り込み、家へと帰路についた。心の中では、結衣との未来を少しずつ描きながら――
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