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再生回数7回のラブストーリー  作者: 市善 彩華
第6章 シャリンバイ ── 強く静かに寄り添う心
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第35話「離れがたくて」

旅の終わりが近づく中で、二人は美しい景色とささやかな寄り道を楽しむ。心に残るひとときが、名残惜しさと優しい想いを静かに深めていく。

旅の最終日。

朝から天気も良く、二人はゆっくりとチェックアウトを済ませて、海沿いの市場へと足を運んだ。


「うわぁ、生ウニだって!」

結衣の目が輝く。


「食べてみる?」と涼也が微笑むと、結衣は元気よく頷いた。

新鮮な生ウニをその場で味わいながら、二人は顔を見合わせて笑う。


「美味しい…(泣)」

「ウニの甘みが口の中に広がって贅沢すぎる!」

「飽きるくらい食べてみたい。笑」


(いつか結衣ちゃんの夢を叶えてあげたい!…でも、痛風にしたくないしな…)


「涼ちゃん何考えてるの?」


「結衣ちゃんのことだよ!当ててみて!」


「うーん…もしかして、私の夢を叶えてあげたいけど、そんなに食べたら痛風なるしな…みたいな?」


「大正解!」


「涼ちゃんは、いつも自分のことより私のことを優先してくれるからね!

むしろ、私が涼ちゃんの夢を叶えたいよ!

何か夢教えて!」


涼也は少し照れながらも、真剣な表情で言った。


「俺の夢か……結衣ちゃんが、ずっと幸せでいてくれることかな」


結衣は少し驚いた顔をしたが、すぐに優しく微笑んだ。


「涼ちゃんらしい。笑 ありがとう……優しすぎて、泣けてきちゃうよ」


「結衣ちゃんが笑ってるのを見るだけで、俺は すごく幸せなんだ。変わらず、ゾッコンだからね」


その言葉に、胸の奥がじんわりとあたたかくなる。

結衣は涼也を見つめながら、そっと微笑んだ。


「私もゾッコンのままだし……涼ちゃんが幸せでいてくれることが、私の夢だよ」


二人は しばらく見つめ合った後、ふっと微笑み合い、またゆっくりと歩き出した。


その後、二人は お互いの家族や職場へのお土産を選び、ゆったりとした時間を楽しんだ。


帰り道、涼也が「少し遠回りしていい?」と聞いてきた。


「うん、どこ行くの?」


ナビにはない、小さな入り江にたどり着く。

人気のない、静かで穏やかな場所だった。


「偶然見つけたんだ、前にドライブしてた時に。ちょっと寄ってみたくて」

「素敵な場所…誰もいないね」


しばらく景色を眺めた後、車に戻り、夕方近くに結衣の家へとたどり着く。

玄関前で、二人は名残惜しそうに立ち止まった。


「今日は、ありがとね。すごく楽しかった」

「うん…私も。ほんとに、全部が幸せだった」


ふと、結衣が小さく言った。

「もうちょっと一緒にいたいな…」


その言葉に涼也がそっと手を伸ばし、結衣を優しく抱き寄せた。


「俺も…離れたくない」


抱きしめたまま、しばらくそのまま動かず、二人の心音が重なる静けさの中で、想いを確かめ合っていた。

お忙しい中、読んでいただきありがとうございました!

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