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再生回数7回のラブストーリー  作者: 市善 彩華
第6章 シャリンバイ ── 強く静かに寄り添う心
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第32話「心の傘をひらいて」

初めての旅行。思い通りにいかないこともあるけれど、それすらも二人にとって特別な瞬間になる──

そして、旅行当日。

天気予報に反して晴れた空の下、結衣と涼也は駅で待ち合わせをした。


「晴れてよかったね、涼ちゃん!」


『ほんとに!予想以上だね。でも、結衣ちゃんが言ってた通り、もし天気が悪かったら日帰りにしようって話してたし』


結衣は にっこり笑いながら、思い切って言った。


「でも、こんなに天気がいいし……やっぱり、お泊まりにしようかな?」


涼也は少し考え込んでから、にやりと笑いながら言った。


『おお!実は、二部屋予約してたんだ。もし急に泊まりたくなったらって思って。でも、キャンセル料なんて気にしないで。俺、払いたいから』


結衣は驚きながら、少し心配そうに言った。


「え?涼ちゃん、大丈夫?腹痛いの?」


その言葉に、涼也は吹き出して大笑い。


『確かに腹痛い(笑)でも、違うんだ。“お金払いたい”って意味だから!』


結衣は顔を赤くしながら、恥ずかしそうに言った。


「え、あれ…“払いたい”って、なんか恥ずかしい…」


そんな結衣の姿を見て、涼也は にこにこしながら言う。


『可愛いな、結衣ちゃん。そうやって照れる顔も、全部好きだよ』


結衣は顔を手で隠して、少し恥ずかしそうに笑った。


「もう、涼ちゃん!」


   *


ふと、涼也が思い出したように言った。


『そういえば、この前大悟さんに会ったときさ、「涼也の手料理食べてみたい」って言ってくれて、ちょっと嬉しかったんだ』


「えー、私も食べたい!てか、ひとりじめしたい!」


(大悟さんの言った通りだ……可愛い)


「この前、家に行ったとき作ってもらえなかったもんね。あのとき」


『あ!あの占いで盛り上がった日も、楽しかったよね』


「……うん。でも、あの日は私が色々買ってっちゃって、自分でチャンス潰したかも…」


『いやいや、結衣ちゃんには いつでも作るよ!なんなら弁当でも作って持って行こうか?』


「涼ちゃん、素敵彼氏すぎるよ。いつもありがとう」


『俺の方こそ、だよ』


お互いに目を見つめ合って、ふと、優しく微笑み合った。


   *

今回の「ひとりじめしたい!」というセリフは、第27話で大悟が涼也に言った冗談──

「ダメ!涼ちゃんの手料理は、私がひとりじめするんだから!」の伏線でした。

あのときの涼也の「言われたいっす、それ」が、ついに叶う展開に。

繋がりを感じていただけたら嬉しいです。


お忙しい中、読んでいただきありがとうございました!

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