第3話「たった一言が嬉しくて」
癒しの歌声に惹かれ、思い切って想いを伝えた結衣。届いた返信は、思いがけないタイミングで――。
結衣は、スマホを手にしたまま、まだ心臓がどこか落ち着かないままだった。
思い切って送ったリプライのせいだ。
「私事ですが…
昨日偶然このアカウントにいきついて、プロフに貼られてたリンクから…
つい聴き入っちゃいましたw
(ポケカラ未登録なので再生回数には反映されてませんが…)
なんだか、癒されました。」
控えめな文面を選んだつもりだった。
変に思われたくなくて、「好き」や「感動した」なんて言葉も避けた。
涼也さんの投稿に、ついリプライを送ってしまった。
「私事ですが…昨日偶々このアカウントにいきついて、プロフにこのリンクが貼られてて、つい聴き入っちゃいましたw」
……後から思えば、よくそんなこと書けたなって、自分でもちょっと驚いたくらい。
未登録だからポケカラの再生回数には反映されないけど、あれから何度も聴いてしまっている。
突然、通知が鳴った。
画面に表示されたのは、見覚えのあるアイコンと、あの名前。
「……涼也さん」
まさかの、本人からの返信。
ほんの数秒、時が止まったようだった。
胸の奥が、じんわりと熱くなる。
──画面に浮かんだ、その言葉。
たったそれだけのことで、世界が少し変わるなんて──
ほんの数分前までは、思ってもみなかった。
お忙しい中、読んでいただきありがとうございました!