第25話「占いなんて、信じたいとこだけ」
カフェの片隅、占いアプリをのぞきながら交わした小さな会話。
それは、信じる気持ちの始まりだったのかもしれません。
※ 作中に占いや性格診断の描写がありますが、占いや診断は物語を楽しむための要素です。特定の性格や考え方を決めつけるものではありませんので、どうぞ気軽にお読みください。
カフェの窓際で、涼也と結衣は ゆっくりとコーヒーを飲みながら、スマホを手に取っていた。
「ねぇ、占い見てみてよ」
結衣が笑顔で言うと、涼也は軽く頷いて画面を見つめた。
──牡牛座、今日の運勢 2位。
恋愛運:◎「素直な気持ちが届く一日」
「うわ、恋愛運いいんだ」
結衣は少し嬉しそうに言った。
「よし、俺も見てみる!」
涼也は自分のスマホを取り出し、占いアプリを開く。
──蠍座、恋愛運◎「心を開けば、距離が縮まる」
「おお、これもいいね」涼也が目を細めて笑う。
「ねぇ、相性も見てみよっか?」
結衣が提案すると、涼也は素直に頷いた。
画面を一緒に覗き込みながら、結衣が言った。
「蠍座と牡牛座、相性◎だって。『正反対だけど、深く繋がれる関係』だって」
「ほんとだ」
涼也は少し照れくさそうに笑いながら答えた。
「でもさ、ここに『離れられない』って書いてあるよ」
結衣が微笑みながら言うと、涼也も同じように笑った。
「それ、当たってるかもね。もう、離れられないし」
涼也は少し照れくさそうに言いながら、結衣を見つめた。
結衣は心の中で、ふっと温かい気持ちが広がる。
──男の人って占いとか興味ないと思ってたけど、涼ちゃんは優しいから、こうやって合わせてくれるんだな。素直に信じてみたくなる、こういう瞬間が幸せだな。
「まぁ、もし最悪なことが書いてあっても、笑って終わるだけだよね」
結衣がにっこりと笑うと、涼也も同じように笑った。
「うん、絶対に笑ってる」
「でも、今日は信じたい気分だよ」
結衣は静かにうなずき、涼也と並んで温かいコーヒーを飲みながら、二人の未来に思いを馳せた。
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