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再生回数7回のラブストーリー  作者: 市善 彩華
第3章 マーガレット ── 心の揺れ、恋の兆し
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第13話「──バレてないよな?」

抑えてきた気持ちが、ふいに揺らぐ。

大悟の言葉が、涼也の胸に刺さったとき──

結衣への想いが、静かに試される。

たまたま行き先が一緒だっただけ。

結衣ちゃんと、結衣ちゃんの兄──大悟さんと駅まで歩いた帰り道。


俺は、結衣ちゃんが乗った電車が見えなくなるまでホームに立っていた。見送るように、最後までその横顔を目で追っていた。


まいったな。

バレてないよな──って、何がって話だけど。


あのとき、大悟さんに言われた一言。

「妹のこと、今後何かあったら教えてください。一応、兄なんで」


あの流れで連絡先を交換した。

名乗るときも少し緊張したけど、それ以上に「妹のこと」って言葉が胸に引っかかって仕方なかった。



電車を降り、家に向かう途中。

ポケットの中のスマホがブルッと震えた。


──大悟さんからだ。


『結衣のこと、よろしくお願いします。変な奴とかいたら、すぐ教えてください。』


既読をつけた後、すぐには返事を送らなかった。

というか、何を返せばいいのか迷った。

“よろしくお願いします”って、あの人、どこまで気づいてるんだろう。


ただの“仕事で関わってる人”だし、兄としての建前なのか。

それとも──。


いや、そんなのは俺の考え過ぎだ。

……多分。



それにしても、あのときの結衣ちゃん。

「涼也さんみたいなお兄ちゃんだったらよかったのに」なんて、冗談でも反則だって。


「……それだと、付き合えないからお兄ちゃんじゃなくてよかったかもね」って、喉まで出かけた言葉は どうにか飲み込んだ。

言った瞬間、絶対バレる。俺の気持ち。


ほんと、付き合ってなくてよかった。

“彼氏”って立場で、隣にいたら絶対耐えられなかった。


笑うときの顔とか、眠そうな目とか、どうでもいいLINEに律儀に返信してくれるとことか。

惹かれる要素しかなくて、好きにならない理由がどこにもない。


バレてないよな……?

でも、大悟さんが気づいてるっぽいってことは、ひょっとして──。


告白のタイミング、今じゃない。

もっとちゃんと、結衣ちゃんの隣に立てるって自信を持てるようになってから。


──それまでは、せめてそばにいさせてほしい。


その頃、大悟は こんなふうに思っていた。


「いつか自分にも、こんなふうに心が動く出会いがあるのだろうか」


涼也と結衣の関係を見守りながら、大悟は少し切ない気持ちを抱えていた。


一方で、涼也は その大悟の気持ちを、どこか照れくさく感じながらも、心の中で思った。


「大悟さんには、俺と結衣ちゃんがそんなふうに見えてるんだな……」


涼也は、出会って間もないのに、いつの間にか大悟と頻繁に連絡を取り合い、結衣のことを相談したり話す機会が増えていた。


その流れは、自分でも驚くほど自然で、少しずつ心の距離が縮まっていることに気づいていた。


ふと、あの日の大悟の言葉がよみがえる。


――「結衣と涼也は、出会うべくして出会ったんだろうな。きっと、うまくいくと思うよ」


「こういう出会い、か……」

涼也は一人、微笑みながら心の中でつぶやいた。「確かに、運命みたいなものを感じたかもしれないな」


その後も、結衣のことを思い出しては、涼也は ついニヤニヤしてしまうのだった。

お忙しい中、読んでいただきありがとうございました!

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