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再生回数7回のラブストーリー  作者: 市善 彩華
第17章 バーベナ ── 分かち合う幸せ、家族のカタチ
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第100話「妹は、ぼくがまもる!」

妹が生まれてから数日。

2歳の律は、小さな手を見つめながら“お兄ちゃん”としての自覚を少しずつ育んでいく。

まだ たどたどしい言葉の中に、まっすぐな優しさが光る。

「ママ、だっこしていい?」


朝の光が差し込むリビングで、律が結衣のそばにやってきた。

ベビーベッドの中では、生まれたばかりの麻衣が、小さな声で眠っている。


「だっこは、まだ難しいかな。でも、近くで見てみる?」


結衣がそう言って麻衣を優しく抱き上げると、律は まんまるな目でじっと見つめた。


「てが、ちっちゃ……」


「うん。りっくんも、こんなふうに小さかったんだよ」


律は少し考えるような顔をして、麻衣の手にそっと指を添えた。

ふわりと握り返されて、彼の顔がぱっと明るくなる。


「ぼく、まもる!」


「え?」


「このこ、ぼくのいもうとでしょ? まもるんだよ。えいってするひとから!」


その言葉に、涼也も笑いながら顔をのぞかせる。


「えいってする人、いるかなぁ?」


「いたら、ぼくがやっつける!」


真剣な表情で小さな拳を握る律。

涼也は、その姿に目を細めて頭を撫でた。


「頼もしいなぁ。ママとパパも安心だね」


「ほんとに……ありがとう、りっくん。麻衣も嬉しいって思ってるよ」


そのとき、麻衣は小さくくしゃみをして、また すやすやと眠りについた。


「ほら、もう寝ちゃった。きっと、りっくんの声が聞こえて安心したんだね」


律は小さな声で「おやすみ」と囁き、そっと妹の頭を撫でた。



その日の夜。

涼也と結衣は、寝かしつけた子どもたちの寝顔を並んで見つめていた。


「律、しっかりしてきたね」


「うん。あの子なりに、“守る”ってことを考えてるんだと思う。まだ2歳なのにね」


結衣がそう言って微笑むと、涼也も優しく頷いた。


「この子たちと一緒に、俺たちも もっと強くなっていかないとね」


ベビーベッドから聞こえる麻衣の寝息。

隣で眠る律の、小さな寝言――「まもる……よ……」


その声に、結衣と涼也は そっと手を重ねた。


「大丈夫。私たち家族なら、きっと大丈夫」

お忙しい中、今日も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!

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