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再生回数7回のラブストーリー  作者: 市善 彩華
第2章 コスモス ── ふと、重なる気持ち
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第10話「慕われてる素敵なお兄ちゃん」

退勤後、偶然再会した二人。静かな時間の中で、心の距離が少しずつ変わっていく──。

そして涼也からの、思いがけない一言とは。

結衣が退勤したとき、ちょうど同じタイミングで涼也もオフィスを出て、すぐ近くの信号で二人は鉢合わせた。


「……この後、少し時間ありますか?」


信号待ちのタイミングで、涼也がふいに言った。

驚いて横を見ると、やわらかく笑っていた。


「駅前に、前から気になってたカフェがあって。もしよかったら、ちょっとだけ」


私のうなずきを待ってくれる、その感じが優しくて。

自然と、「行きたいです」って答えていた。


───


カフェに着く頃には、夕方の空がゆっくり色を変え始めていた。

窓側の席に案内されて、向かい合って座る。


注文を終えると、涼也は少し照れたような表情で言った。


「ちょっと、弟に会ってもらってもいい?」


「え……?」


突然の提案に驚いたけれど、「すぐ近くにいるから」とのことだったので、うれしくなって、うなずいた。


───


10分後。小さな公園の前に、涼也より少し背が低くて、どこか雰囲気の似た男性が立っていた。


「涼兄!」


「翔平、待たせた」


彼は笑顔で近づいてきて、私の顔を見た瞬間、ふと目を丸くした。


「はじめまして、翔平です。結衣さん……ですよね?」


「はい、はじめまして……」


どこか気恥ずかしくて、ついお辞儀が深くなる。

翔平は、少し笑ってから真面目な顔になった。


「涼兄、昔から真面目で不器用で。でも、俺の学費まで全部稼いでくれて……」


「翔平」


涼也がそっと制するように声をかけたけれど、翔平は構わず続けた。


「いやぁ、涼兄がちゃんと人を紹介してくるなんて、初めて見たかも」


「別に“紹介”ってわけじゃ……」


涼也は照れくさそうに視線を外す。

翔平は、ふふっと楽しそうに笑いながら、さらに言った。


「こんなにしっかりしてて優しいし、モテるのに、彼女もいなくて心配してたんですよ。

結衣さんみたいに素敵な方が彼女で、納得です」


「えっ……」

心臓がドクンと跳ねた。視線を落としたまま、言葉が出てこない。


その言葉に、涼也が一瞬固まる。


私も、顔が一気に熱くなった。


「ちょ、翔平……!」


「え? 違った? いや、俺は てっきり……」


「違うって……」


涼也は苦笑しながらも、どこか嬉しそうだった。


翔平が口にした“彼女”という言葉。

それを否定したのは、きっと——

今の関係を急がず、大切にしたいという気持ちの表れなんだろう。


でも、少しだけ。

そう、ほんの少しだけ、心の中で期待してしまったのは……私も同じだった。


───


帰り道。再び並んで歩く私たちの距離は、

さっきよりもほんの少し、近かった気がする。


駅前まで来たところで、涼也がふと足を止めた。


「……あの、よかったら。連絡先、交換しませんか?」


少しだけ照れたように、でも真っ直ぐに私を見るその声に、胸が高鳴る。


「はい……ぜひ」


少し緊張しながらスマホを取り出すと、涼也も笑いながら画面を操作してくれる。


互いの名前が並んで表示されたとき、

胸の奥がじんわりとあたたかくなるのを感じた。

お忙しい中、読んでいただきありがとうございました!

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