22:エピローグ
あとがき
第一章も本話で完結です。
読者の皆様、感想と高評価をいつもありがとうございます。
長くならないように簡潔に述べます。
本作を執筆するにあたって作者が尊敬する「スタジオゆにっとはうす様」様や「樽見 京一郎」様の作品に感化されたのに加えて、妄想した世界を人に読んでもらおう、国語力が上がったら良いなという思いで執筆を始めました。おかげさまで予想以上の高評価をいただき嬉しい限りです。
作者が特に悩んだのは核と原子力エネルギーをどう扱おうというものですが、架空の出来事であるのでリアリティを求めようと登場させました。
作中上、日本がーーという描写も多々見受けられると思いますがそれは全て本作を面白いものにしよう、ひねりのあるものにしようというものであり、日本はこうあるべきという作者の主義主張は入れていないのでご安心ください………。
改めてましてここまでお付き合いくださりありがとうございました。
新章はもう出来上がっております。近日公開です!
これからも引き続き作者アルビオンと本作をよろしくお願いします。
6月26日 午前11時30分ズイル公国 公国中央ホテル前
この新世界において日本が属する地域を極東世界と呼称されるのならば、このズイル公国が位置するのは紛れもない中央世界と言えるだろう。
そう言い知らしめることができるのはズイル公国が位置するのが列強国や大国が集中する地域であることもそうだが、国際外交の舞台となる場がこの中央世界であるからと断言することができるーー。
日本の鳥取県と同等の小さな面積で周辺の強国と比べると大した国力も持たないズイル公国が独立を維持できているのは永世中立を謳うというのもあったが、何よりも新世界有数の中継港としての役割と外交的要因が大きかった。とはいえ独立を維持するのも容易ではなく、数年前には国境部の離島が近隣国の侵攻を受けて紛争にまで発展している………。
そのズイル公国の“公都”にサドレア戦争を終わらせるべく日本政府が派遣した特使、吉田 一茂の姿はあった。
吉田一茂……投票権を持つ日本人であれば誰もがこの男の名を知っている。
『政界の大魔王』『妖怪』などの異名を持つこの老人の素性ーー。
老人を派遣したことについては日本中が理解に苦しんだと言っても良い。
引退目前の衆議院議員にして最大野党 民主党の党首であるこの男を一体なぜ大河内総理は選んだのかーー?
政府と与党 自由党は互いに切り離せない、表裏一体と言って良い関係だ。
去る一週間前、公共放送の速報という形で日本側全権交渉団のトップに吉田特使が指名された衝撃的な内容は日本中を駆け巡り、身内である与党でさえ聞かされておらず詰め寄る報道陣に自由党幹事長はしどろもどろになりながら対応に窮していたことも真新しい。
当初の予定通り閣内の大臣か外務省より特使を選定するはずだったが、大河内の肝煎りでそれは遮られた。
ましてや左派系政党の頭領が、ろくでもない条約を結んでしまえばーーあるいは万が一にでも困難が予想される停戦交渉を成功させてしまえば、自由党の支持率は急落し下手をすれば次の選挙で大幅に議席を失うやもしれないーー。
だが、大河内は周囲の反対を押し切った。
大河内総理が宿敵とも言えるこの吉田特使を派遣するに至った経緯は一週間前まで遡るーー。
「これはこれは首相閣下。わざわざ出向いていただけるなど嬉しい限りですな」
官邸前の正面ロビーで出迎えた大河内総理に吉田党首は慇懃無礼に挨拶をした。
敵対者を呼び出すとは何事ーー?と自身よりも歳を取った政治家、いわば老兵がこちらの魂胆を探ろうと目を細めているのに内心苦笑する。一見、極道の組長と紹介されれば間に受けてしまいそうな厳しい顔つき、というのが人の抱く吉田への第一印象であったが、問題はこの男の中身に違いない。己の野望を達成するのならば身内であろうが目障りな存在を切り捨てることさえ造作のない鬼ーーとある者は言ったが、それでもこの“妖怪”とも評される男が票を集めるのは政治家としての実力と柔軟な思考、そしてカリスマ性に違いないーー。
執務室に招かれた吉田は大河内の許可を得ることもなく、ソファーに身を沈めた。
それを御託はいらん。要件を話せーーと受け取った大河内は口を開いた。
「昨日、我が国と戦火を交えているミレリヤ帝国より停戦交渉を求む打診があった」
意外そうな顔をする吉田を置いて続ける。
「まだ公にはしていないが連中は今、サドレア大陸で我が国と現地人の反乱、異国からの侵攻と三正面作戦を強いられている。おそらくはもうどうにもならなくなって比較的、交渉のテーブルを持とうとするであろうこちらへ打診したんだろうが……政府としてはこれを受諾するつもりでいる」
去る6月18日。
ミレリヤが四面楚歌の状態にあることは政府や自衛隊など関係者の間では周知の事実であったが、まさか傲岸不遜かつ獰猛なあのミレリヤから和平を求めて来るとはーー!と驚かない人間は皆無であった。
日本側としてもこれ以上の戦線の拡大は望むところに在らず、世論はノダ-ヴィアの件もあり厭戦機運が出始めている………。
とはいえ依然、日本が圧倒的に有利であることには変わりなかった。
「吉田 党首、あんたに頼みがある」
目の前の“妖怪”を見据えて大河内は言った。
「全権交渉団の長として交渉団を率いてもらいたい……!」
まるで見えない衝撃波が襲ったかのように執務室は静寂に包まれた。
「お前さん、敵を作り過ぎてついに首が回らなくなったのかーー野党の親分に助けを乞うなど常軌を逸してるぞ」
あの百戦錬磨の吉田でさえ大河内の求めに呆気に取られたのか、皮肉でお茶を濁そうとする。
「吉田さんよ。あんたは裏で妖怪やら糞爺だと散々言われているが、その魂は一点の曇りもない日本人の心を持っている。そして何よりあんたの交渉術はどう探したって霞ヶ関には居ない。それこそ日本全国にもだ……。交渉団の随行員は選りすぐりの精鋭を揃えるし政府としてもあんたを全力で支援する。どうか受けてくれないかーー?」
長い沈黙が訪れた。
仮にも一国の首相であり無駄にプライドの高いはずのこの男が頭を下げに来ている………。
ならばこちらも応じねば無作法というものーー。
「まぁ、言いだろう。ウチが議席を伸ばしても知らんぞーー」
政権交代、とは吉田は言わなかった。現在の政局でそれは不可能であったし、今あるいは直近にそれをしようと企むほど吉田は短慮ではなかった。
詳細を詰め出して30分ーー。
大河内は小休止を挟もうと言い、茶を淹れ始めた。
湯が注がれる音が執務室に響く………。
湯気がもくもくと立つ湯呑みをテーブルに置いた。
そして吉田が湯呑みに手を伸ばそうとした時、大河内はポツリと呟くように言った。
「関係機関がとある通信を傍受したが……奴さんらは相当追い詰められている。窮鼠猫を噛むとも言うが、追い詰められた国は自滅してでも一矢報いようとする。かつての我が国がそうであったようにーー」
何が言いたい、という表情をする吉田の顔を横目に続ける。
「連中は核兵器を保有している。そして今後の成り行き次第ではいつ使用されてもおかしくない、というのが我々の判断だ」
重々しく吉田は瞑目したが、それほどの驚きではなかった。
日本側換算で80年代から90年代相当の文明度であれば、当然そのような忌まわしい部類の兵器にも手を出しているだろうーー。
「核の脅し、か………」
吉田の呟きは正に的を得ている。
この世界に核保有国がどれほどいるのかは判らないが、少なくとも“列強”に分類される軍事大国にして高度文明国家は間違いなく保持していると判断しても違和感はないーー。
そして日本にも核武装論はあった。
これは日本が混迷を極めた冷戦期から唱えられたものであったが、冷戦終結で一度鎮まったが転移後は激変した安全保障環境から国会内においても真剣に議論されるようになって来ている………。
ふと大河内の顔に目を向ければ彼の眼は底の知れぬ何かを見据え、表情を消しているーー。
「まさか!」
思い至った一つの“事”に吉田は皺に塗れた顔を歪めた。
「言っておくが万が一の時は交渉のカードに使って良い。随行員も全てを知っている者を選ぶが……もしあんたがコレを漏らせば、誰であろうが例外なく“消去”することになっている。内閣ですら知っているのはこの私だけで防衛大臣すら知らされてない」
吉田は思わず天を仰いだ。
「ろくでもないことを知っちまったじゃねぇか……」
それを運用する自衛隊ですら限られた人間しか知っていないと大河内は言った。
「在日米軍の置き土産ってやつか」と吉田。
「詳しく言わんし、言えんが……“事”が勃発してしまった場合にはすぐさま反撃できる用意ができている。そうなれば死の戦争まっしぐらだーー」
これが決して外に漏らしてはならず、墓場まで持っていかねばならない会談の内容だった。
公国中央ホテルのエントランスでズイル公国政府職員の出迎えを受けた代表団一行は警備隊に阻まれる記者団を横目に会談場となる迎賓室に直行した。
「やれやれ、記者団の中にいつも見かける顔が居たよ。こんな所までご苦労なもんだ」
「全くだ」と背後でボヤく随員だったが、吉田特使はただミレリヤ人なる“敵国人”は一体どのような価値観を持ち、交渉に臨むのかを考え続けている………。
そして小学校の体育館並に広大で色鮮やかなステングラスや壁画で埋め尽くされた荘厳な趣のある迎賓室で吉田特使らはミレリヤ側交渉団と対峙した。
敵国人いえど我々と変わらない、同じ人間だなーーと感慨を抱いた吉田特使。
ミレリヤ側交渉団の面々は数名を除き、己らが不利なるが故に身体中に虚勢という防具を巻きつけていた。
双方の挨拶もそこそこに交渉が始まるが、先陣を斬ったのはやはりミレリヤ側であった。
「ーーそもそも今次戦争が起こったのは全てニホンの責任である。身勝手にも帝国の植民地政策を妨害するばかりか奇襲という卑怯な手に出たのは到底許しがたい。故に相応の賠償と謝罪とを要求するものである」
虚勢と共に発言する同僚をミレリヤ側代表団随行員の一人となったハンナ-ニレヴェル-ラルは内心ため息を吐いた。
こんな調子では先が思いやられるーー。
ハンナがこの場に加わったーーというよりは強引に加えられた経緯ーー。
「今次停戦交渉の随員には末席で良いから我が娘ハンナを加えていただきたい」
帝都ヴェリオンの某密会場でゼネウスは民衆同盟の頭目にして国家に忠実なる部下のハンナの父君であるこの男と対峙していた。
「なるほど、それであれば当方も頷けるものですな。彼女の今後の見聞にもなるでしょう」
元より権力への執着が強いゼネウスとて、あれほどの大敗北を決してもなお現政権を維持できると考えるほど愚かでない。
何よりも優先するべきであるのはとにかく我らが偉大なる帝国にとって有利な条件を極東の蛮族から引き出し、次期政権を率いるであろうこの男へのささやかな助言と老婆心ながらの忠告を与えることだろうーー。
「してケンドランはどうするのだ?私からするとこれ以上帝国の資源を積み込むよりは国内や重要度の高い植民地に回すべきだと考えるが」
放棄しろーーという言い回しであったがゼネウスは頭を振った。
「棄てるーーと言えば簡単ではあるが、あそこは皆が思っている以上にミレリヤにとって必要な植民地だ。権益上も安全保障上も……過半近くを失地したとはいえ何とか維持をしたい」
莫大な金を投じたタランドと北部諸地域を喪失したことは痛かったが、ヒガリを維持できている限りミレリヤの将来を保証できるーー。
話を変える必要性を感じたのかゼネウスの目の前に座る男は口を開いた。
「ところで……我が娘ハンナをどう思う。アレには政治家を務められるだけの器があると思っているのだが……」
「彼女には物事を冷静に見通すことができる力があると思っている。運が良ければ帝国初の女総統になる可能性だってあるやもしれませんなーー」
再び停戦交渉に戻る。
「ほう、四面楚歌の状態にあっても抵抗の意思を見せますか。我が国が圧倒的に有利であることはあなた方もご存知のはず。直ちに軍に命令し、ケンドラン全土を”解放“しても良いのですぞーー?」
では何を望むのだーーと問うた額に汗を滲ませるミレリヤ側交渉団の代表。
「日本語、共通語、ミレリヤ語の三カ国語に翻訳された文書を官僚が手渡した。
要求事項に記された項目は十個以上ーー。
日本側としてはある程度譲歩したつもりであったが、ミレリヤ側代表団にとっては衝撃的かつ屈辱的であり文字通り激昂した。
「極東の蛮族め!良い気になりおって……!」
感情を露わにする随員たちとは違い、ミレリヤ側代表団の特使は吉田特使らを前に口を開いた。
「帝国がサドレアにおいて苦境の状態にあるのは我らも認めざるを得ない。しかし帝国陸海空軍には未だ十分な戦力があり戦争を継続する国力も残っている。島国である貴公らにとって戦争の長期化は望むところでないと考えるが………」
実に洞察力に優れた指摘であったが、吉田特使は一蹴した。
「ご安心召されよ。戦争が経済に与える影響は微々たるものであり過日に行われた世論調査では9割の国民が戦争の継続を支持している」
「……貴公らの文明度がどれほどのものか分からぬが、ニホン軍がサドレア大陸を越境し、ケンドランに侵攻するようであれば反応兵器を使用すると我々の指導者である総統閣下は明言している。反応兵器とはーー」
予想された脅しだった。そのような意味では吉田特使ーーというよりは日本の情報収集能力の方が何枚も上手だった。
“核の脅し”を続けようとするミレリヤ側を吉田特使は手を前に出して遮った。
「なるほど随分と核の脅しに自信がお有りのようだが、我が国もそれができるということについて思い至らなかったのですかな?」
「何だとーー?」と動揺を見せたミレリヤ側に追い打ちをかけるように吉田特使は言った。
「貴国が核兵器、あなた方の言葉では反応兵器を我が国あるいは独立軍臨時政府に対して使用したならば直ちに報復する用意ができている」
どよめくミレリヤ側代表団の面々ーー。
「何も我が国はケンドラン全土を明け渡せとは言っていない。ケンドラン独立軍臨時政府と独立軍が完全に掌握するタランド地域を認めて、我が国と停戦すれば貴国はディトランドに注力出来るのではないのかーー?」
ミレリヤ側の苦悶に満ちた表情ーー。
実際のところ日本ーー自衛隊の現能力ではこれ以上の戦線拡大は不可能にあった。
戦死者の存在もあるが年間防衛費をとうに上回る戦費が費やされ、それは見えない魔の手となって日本の喉元を少しづつ絞めあげつつあった………。
だが、日本にとっては幸運にも。ミレリヤにとっては不幸にもそれを察するだけの“力”は無く、こちらの手筈通りに物事は進んでいるーー。
「……ニホンが提示した停戦条項を受諾する方向で本国に伝達するーー」
翌日の新世界歴7年6月27日。
日本はミレリヤ帝国と停戦協定を締結。
更に翌日より講和条約の締結を目指す交渉が始まった。
世に言う『サドレア戦争』は終わったーー。
だが、戦場に身を投じた自衛隊員、ミレリヤ軍将兵らの“戦争“は終わることなく、これからも彼らの中で続いていくことだろう………。
その一幕に目を落としてみるーー。
戦争があれば戦後もある。
停戦が成立し、休戦状態にあるとはいえ事実上の終戦を迎えた自衛隊は進駐部隊を残し、続々と”復員“を始めていた。先に内地へ帰還した負傷兵、そして戦死者に続いて「何気ない平和」を守った自衛官たちもまた民間の旅客機や大型フェリーを伝い、各々の故郷へ帰還しているーー。
ノダ-ヴィアで連隊長代理として中央即応連隊を率いた小原2佐もまた復員兵たちを満載したB747大型旅客機で国内空港に無事辿り着き、特別列車に揺られながら家族の待つ宇都宮へ帰る途上にあった。
車両内に居るのは皆、連隊員であったがあの”地獄“を経た後では随分と数を減らしている………。
死者78名、負傷者は復帰不可能な隊員から軽傷な者も含めて300名近く。
テレビでは無言の帰還を果たした隊員に家族が泣き腫らした目で迎えるのが映され、四肢のいずれかを欠損した隊員も多く居た。
だが、見た目からは窺えない傷ーー心的外傷後ストレス障害。つまりはPTSDを発症したのは陸自隊員にも、当然ミレリヤ兵にも居た。
小原2佐もその一人であった。
不眠症こそならなかったものの、常に悪夢に魘され寝起きには全身から滝のような汗が滴っている………。
とはいえ自分はまだ恵まれた部類だろうーー。
死んでしまったらもう二度と家族と話すことは出来ないのだからーー。
減速し、そして停車した列車ーー。
ホームへ降り立った隊員たちを出迎えたのは隊員らの家族ーー。
狭いホームから溢れんばかりに殺到する人々の中に小原2佐は俺の家族は来ているのだろうかーー?と目を凝らした。
「パパーーッ!」
何処だ……?
「此処だよ!こっちーー!」
紛れもない娘の声ーー何処にいる?
必死に辺りを見渡す中、見えたのは群衆の中から顔を出そうと飛び跳ねる娘の姿ーー。
「凪沙!」
再会を分かち合う群衆を掻き分けるように小原2佐は足をもつれさせながら進んだ。
「パパ……お帰りなさいーー」
小原2佐は泣いた。
ノダ-ヴィアのあの日以来、初めて流した大粒の涙だった。
「無事に帰って来て良かった……!」
心からの安堵の声ーー。
抱きしめ合うその姿は感動に包まれるホーム上を彩る一つの光景であった。
人の数だけ人の営みがある。
そしてまた、この感動の再会を出来なかった者も多かったということを心に残しておくべきだろうーー。
ーーー
……年後 某月某日 未明 ミレリヤ帝国近海 深度20m
海面を溢れん限りの大雨が叩きつけているのとは対照的に、海中はただ暗闇が支配する静寂な世界であった。
その海中に静止するのは鯨を思わせる巨大な物体ーー。
いや、その表現は適切だった。
鉄の鯨の異名を持つその名は潜水艦………。
識別番号など一切の表示はなされず、不気味なまでにその姿を浮遊させている。
コポコポコポ………と微かに聴こえる注水音。
数秒の後に魚雷発射管の外扉が泡を立てながら重々しく開いた。
そして姿を現したのは幾人もの人ーー。
潜水服と酸素ボンベを付けるその素顔を伺い知ることは出来ず、彼らは手で何やらを合図したのちに浮上を始めた。
よく注視してみれば彼らの身体には小銃や手榴弾といった武器が括り付けられ、それが彼らの正体をより一層怪しいものにさせていた。
軽い飛沫を上げて海面に顔を出した者たちーー。
目の前に見えるのは切り立った断崖絶壁を思わせる孤島の姿があった………。




