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デッドクエスト/アンダーテイカー

作者: RN・マーチヘア

 ダンジョンに潜るその男は、冒険者ではなかった。

「違う、要らない、これじゃない」

 冒険者に狩り殺された魔物、あるいは魔物の犠牲となった冒険者。その死体を漁る男。

「違う、要らない、これじゃない」

 その男は、ギルドや冒険者からの依頼で、ダンジョンから帰らなかった冒険者達の遺体回収を行う《アンダーテイカー》と呼ばれる男だった。

「違う、要らない、これじゃーー」

 そして男は、それを見付けた。

 引き裂かれた冒険者達の遺体。その中に埋もれる少女。

「ぁ……ぅ……」

 まだ息があった。鮮血の中に埋もれる少女は、力無く男を指差し、

「ぅ……しろ……!」

「GaaaaaaUッ!」

 巨大な虎のような魔物は必殺の間合いから咆哮を上げて男に飛び掛かり、

 死体を漁る棒が一閃。中に仕込まれた細く長い刃が、魔物を一刀の下に両断した。

「対象を発見。保護する」

 男は何事も無かったように刃を納めると、その腕で少女をダンジョンから救い出した。


 少女が目を覚ましたのは、薄暗い部屋のベッドの上だった。

 手足には痺れたようなぎこちなさがあり、それが包帯を巻かれているせいだと気付くと、安心して緊張が解ける。

 身体を起こすと、その姿は負傷した部分に包帯を巻かれているだけで、慌てて裸身をシーツで覆った。

 鼻につく青臭さは、薬草の匂いだろうか。その中にふわりと優しい匂いを感じて、それに誘われ部屋のドアを開ける。

 すぐそこの囲炉裏で、男が鍋をかき回していた。

「気が付いたか」

 その男にはなんとなく見覚えがあった。

「あなたが、助けてくれたんですか?」

 うなずき、手振りで火の傍に促される。

 スープを差し出され、一口。質素な野菜のスープだが、温かくて優しい味がした。

「もう少し休め」

「……はい」

 にっこり笑うと、ぽろりと一筋涙が溢れた。


「あの娘は手が綺麗ね。そう、右手がいいわ」

 彼女の言葉にうなずいて、部屋のドアを開けた。

 物音に気付いたか、冒険者の性か、少女は半身を起こし、

「えーー」

 一刀の一閃が一瞬で少女の首を刈り取り、ごとり、とそれが床に転がる。

 それになんの興味も示さず、残った身体に、ガラス瓶に詰められた彼女の首を置いた。

「ああ、ダメだわ。この娘右腕に変な筋肉が付いてる。やっぱり他のがいい」

「そうか」

 彼女の首を抱き上げて、

「またがんばってくれる?」

「もちろんだ」

「ああ、愛しているわ。早くあなたを抱きしめてあげたい」

「俺もだ」

 愛おしそうに彼女を抱え、ガラス越しにキスをした。

 

 最初はハートフルかつサイコホラー、って感じでしたが、短くまとめるにあたってサイコホラーのみになりました。

 なろラジに送った時にちょうどヒロインが生首のアニメをやっていたんですが、構想自体は視聴前からあったのでパクりではないです。

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