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冬月シバの事件簿  作者: 麻木香豆
図書館の女
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第四話

 とある市内の図書館の絵本コーナー前の広場で子供たちに本を読む女性。まだ30代前半。

 大きすぎず優しい声でリズム良く発音する。


 図書館だが騒がしかった多くの子供たちも不思議と動きを止め真剣に物語に入っていく。子供向けの絵本だが大人たちも後ろの方で彼女の口から出てくる話に聞き入る。


 


 そんな彼女の正体を知るのはその場ではシバたち警察だけだろう。彼のバディである帆奈とともに私服でそれぞれ違う場所から彼女を見ている。

 帆奈からの視線を感じ我に返った。ついつい仕事を忘れてシバは聞き入ってしまうところだった。


 そしてそのあと、シバと帆奈は別々のタイミングで捜査車に戻る。

「たく、何聞き入ってたのよ。たしかに……魅力的のある人よね。男の人たちは鼻の下伸ばして。あなたもその一人」

 シバはそこまでも見られていたのかと頭をかいてやれやれという顔だ。

 帆奈の手には本の入ったエコバックが。


「いくら利用者に紛れたとはいえ業務中に本借りすぎだろ」

「いいじゃん、近くの図書館よりも在庫多いし。つい」

 シバは勝手にエコバックを開けて本のタイトルを読み上げる。帆奈は顔を真っ赤にする。

「なになに、『男にいつまでも好かれる本』『魅力的な女性になるには』こんなの読むのかよ。こんな俺がそばにいるし、ベッドの中では魅力的だとは思うけどな……あの司書に比べればちょっとなー」


 帆奈は本エコバックをシバから荒々しく奪う。


「プライバシー侵害よ、このデリカシーなさすぎ男」

「るっせーよ!! 冗談もかわせねぇやつ!」


 2人はバディとして組んでいるのだが、実は恋人同士である。警察では交際している相手に関しては上司に報告しなくてはいけないのだがバディを組む以上、そういう関係はバレてはいけないと思ったが周りにはバレバレであった。

 同い年でもあるためすぐに気も合い、長年の付き合いでもある。


「署に戻って報告書まとめて、そっからどうすっか?」

「私は柔道場で訓練してくるから……先に部屋行ってて」

「……おう」


 お互い別々に暮らしてはいたが二人で会うときは帆奈の部屋にシバは入り浸っていた。


 2人は署に戻って上司に報告してシバは先に外に出た。どうやら帆奈は他の男性刑事に負けぬよう日々鍛錬を重ねバリバリと働きたいようだ。

 だがまだこの当時の女性刑事は少なく、次々と結婚、出産していくことが多かった。それだけは避けたいというのだが、さてどうなるやら、とシバは笑うがそんな彼もまだ結婚は考えていない。


 ちなみに当時のシバには高校の時から交際しているまさ子がいた。メインは彼女だが、サブは帆奈。主にこの2人の家を行き来し、時に他の女性とホテルで落ち合うという無類の女好きである。



 

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