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冬月シバの事件簿  作者: 麻木香豆
花屋の女
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第二十三話

 シバは爆弾魔の事件に巻き込まれて生死を彷徨う重傷を負った。他にも数名の警察関係者も巻き込まれたが幸い死傷者はいなかったことは奇跡に近い。


 その爆弾魔と人質になった女性は不倫関係にあり、さらに女性は暴力を振るう夫と姑と舅は爆弾と一緒に巻かれており、ほぼ原形をとどめなかった。数日ほど新聞やテレビなどメディアは大騒ぎ。週刊誌にとっては不謹慎ながらも大歓喜な内容である。


 この事件をシバが関わったきっかけは、その人質の女性……草壁麻美がとある警察署内に来ていたことであった。シバがその署へ応援に来ていて1人悲観に暮れて帰っていく彼女の姿を見て声を掛けたのだ。全く知らないもの同士であった。


 シバは昔の経験から少しの違和感でも拾いとる刑事となっていた。そして多くの人を救い、事件を解決をしてきたが今回のその偶然の出会いがこんな大事になるだなんて、シバどころか誰も思わなかったであろう。

 

 ついに退院となったシバ。半年ほどでの退院も奇跡であるが最後の検診を終え明日の午前中に病院を出る。そこにはシバと女性看護師。


「明日退院ですね」

「だなぁ、寂しいー。もうリンリンにお世話してもらえないのって」

「わたしも寂しい、シバさんのお世話できないの……ここのお世話も……」

 看護師の琳はシバの一部をジトッと見つめて次は瞳を見つめる。

「ほんとなにからなにまでお世話になりました……琳ちゃんのおかげで心も体もあそこも元気になったしな、へへっ」

「やだぁ、シバさんー」


 2人は笑う。本当にこの男は半年前に生死を彷徨った男なのだろうか。

 琳を自分の横に座らせ肩に手を回してキスをした。その手は次第に下の方に行き……。


「ダメです、ダメ」

「なんだよ……最後だよ?」

「時間ないですよぉ」

「すぐ終わるから、もうガチガチやでさ」

 琳は黙る。が眉を下げて彼女からキスをして二人の舌は絡ませあってそのままシバはベッドに押し倒した。





 事が終わり、琳は手慣れたように下着を上げる。ストッキングを脱いだのは穴が空いてしまったようだ。裸足のままナースサンダルを履く。シバはその彼女のお尻を触りちょっかいを出す。彼はまだだらしない下半身を出したままである。


「もういくのか」

「時間だから……」

「お疲れ、琳ちゃん」

「おう、でもこれ」

「……もう時間ないわよ」

「ええ、最後までほらほらぁ」

「今夜は婦長もいるし七海さんもいますわ」


 シバはギョッとした顔をする。他にも手を出していたことはも暴れていたようである。 

 やれやれと自分でウエットティッシュを使って拭き取る。琳は去ろうとするが振り返り


「わたしは諦めていません。いつでも連絡くれればホテルでもどこででも行きます。退院おめでとうございます、明日はお会いできないので」


 と少し涙を浮かべているようだった。


「シバさんのシモのお世話したのは私なんです……カテーテル通したのもわたし……なんですから」

「はい、おせわになりましたっ。色々と管理も……」


 と言い掛けたところでカーテンは勢いよく締められた。


 シバはふぅ、とため息をつく。このだらしなさがあの爆弾魔の事件のきっかけにもなる訳だが今に始まった事ではない。


「そろそろ寝るか……」


 とシバはベッドに横たわった。頭に何か触れる。手で探ると琳が忘れていった髪の毛のゴム。

「なんで女は男のところに物を置いていくんだろうな、マーキングかよ」

 と笑いながらゴミ箱に捨てた。


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