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冬月シバの事件簿  作者: 麻木香豆
一緒に食べるか?
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第十四話

※お食事中はお気をつけください 



 これはとある事件現場検証の後のことであった。


 昼時なのに、お腹は鳴るのに自分の口が全く何も受け付けなかったのは午前中にシバは凄惨なバラバラ遺体現場を担当したからだった。


 何年も刑事をしていて遺体はよく見るが、慣れないもしない。慣れてはいけない。新人の頃はよく吐き、しばらく肉も食べられないほどであった。今でも時に吐く。


 しかし午後から周辺の捜査、聞き込み、会議、下手すると日を跨ぐかも知れない。食べなくては体力は持たない、と彼は上司からもよく聞かされていた。


 現場近くの商店街にある昔ながらの大衆食堂にシバは寄り、店員のおばちゃんに対面でざるそばを頼んだ。これなら口当たりさっぱりして良い、と思ったようだ。


 昼だから混み合ってて、ほとんどの客が肉をくちゃくちゃと食べ、食い散らかす姿だらけである。自分の食欲を満たすだけ。返却されたお盆の上は汚い。


 シバは午前中のことを振り返る。今日の遺体もとても綺麗に切り刻んでいて芸術のようであった、しかし人間は芸術品ではない。人の命をなんだと思っているのか。しかし雑でぐちゃぐちゃの遺体よりかはマシかも知れないと。


 空いてる席の横には先客がおり、見覚えのある顔だとシバは思ったら事件現場の入り口に立っていた若い警官だった。

「お疲れ様です」 

 へこへこと頭を下げる。

「おう」

 とシバは返した。


 彼は魚料理を食べていた。流石にこいつも肉は食べれ無いだろうと様子を見ていると、味噌汁が熱すぎるのか、猫舌すぎるのか、ふうふう言ってる。


「また同じ奴の犯行ですか?」

 あまり現場以外でそのことを言われても、とシバは思ったが答えた。

「そうだな。やり方も同じだ。若い男性を狙った犯行のようだ。30中盤……独身……体力もあって働き盛りの男たちをどう襲ったか。て、俺も30だけどな。ははっ」

「警部、気をつけてくださいね」

「まぁ俺を襲う奴はアホだな。警察の剣道大会全国優勝の俺に少しでも危害を与えることをしたらどうなるか……て、体格の良い被害者もおったからなぁ。相当相手は強いぞ」


 話に夢中になりすぎてシバはワサビ入れすぎた。つい辛すぎて咳き込むと、警官は笑った。


「結構お茶目なところあるんですね、警部」

「るせぇ、ワサビには勝てん、」


 お茶を流し込む。警官はまだふうふうといいながら味噌汁をすする。猫舌すぎるのだろう。


「いつになったらこの事件の犯人は捕まるのですかね」

「だよなぁ。全然つかめんのだわ。犯行時刻も不規則、被害者も接点無し。鳶職、銀行マン、ホスト……今回は大手の営業マン。この食堂に居そうな奴らばかりだ、なんつって」

「いろんな職種の人いますからねー。すぐ食べられるし、安いし、美味いし」


 ……唐揚げとか美味しそうで結構な率で食べてる人ばかりである。


「ここは夜もやってるのか?」

「やってますね。朝も早からやってますし、夜も遅くまでやってる。ただ、客層は変わりませんよ」

「そうなんや。まぁなんかの縁だしまた飯でも食おうな」

「はいっ。奢ってくださいね」

 とさらっと言われてシバは笑った。

「馬鹿野郎が」

「それでは、僕は先に」


 警官が去った後に、着信が鳴った。部下の茜部からだ。

「お疲れぃ。ちょうどよかった。あのさ、ちょいと調べて欲しいんだ」


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