0章ギルド結成秘話その5:リンとミユの出会い前編①
前回のあらすじ:冒険者のヒーローとマロンは新たな仲間を探しに飛行都市マギニアを訪れていた。そこで、3人組のリン、ミユ、ミントと出会う。しかし、ミユの正体がウロビトと判明し、化け物扱いされてしまいミユがその場から逃げ出してしまう。マロンはウロビトを馬鹿にした相手に謝罪させるよう試みるもその人物は過去にウロビトに家族を殺されたという複雑な過去を持っていた。そんな中、ミユを追うため、ヒーローとリンはミユを探すのだった。
君はこの物語の続きを読んでもいいし、読まなくてもいい。
「はぁはぁちょっと早いですよ!ヒーローさん、貴方の体どうなってるんですか!」
息を切らしながら、なんとか必死に走っているのは眼鏡子ことリンであった。流石に街中を駆け回り、この裏通りまで全力疾走するまでの体力は既になく、脚に限界を感じていた。
それにしてもヒーローさんはよく、ミユがいなくなってから、咄嗟に動けたものだ。ヒーローさんは子供ぽい所はあるけど、何処か子供らしさを感じない達観した所があるわよね。
あの時も咄嗟に動けていたし、....
(ミユが街中に消え始めた瞬間に時は遡る)
「ちょっとそこの君!ウロビトの可愛さがわからないなんて、ナンセンスだよ!僕がお仕置きしちゃうぞ!」
マロンがナイトシーカー女に言い放った瞬間、僕はマロンならそうするだろうなと思い僕にできることをしないといけないそう思いゾディアックの女の子に語りかけた。
「ゾディアックさん!僕はあのミスティックウロビトの子を追うよ。だから、マロンが熱くなった時は止めて欲しい。」
僕に今できることはウロビトの少女を追うことしかできないと思った。本来なら、一緒にいた眼鏡子とゾディアックの少女が探しにいくべきなんだろうけど、僕は何故かわからないがここで2人を行かせてしまったら、もうこの人達に会うことはできないんじゃないかと脳裏によぎり、誰かをこの場に残すことで、再び会えることを期待したいという望みがあったということは否めない。
「わ、わわわわかりました。ミントも...い、いい行きたいですけど、マロンさんは私に任せてください。ミユちゃんの事お任せしますぅ。」
ちょうどマロンがナイトシーカーの俺っ子少女にミユを馬鹿にされて、許せないとばかりに口論をしている時であった。
あまりにも展開がシリアスかつ迅速に行われているせいかミントは状況を整理するのは容易かったが、反応するのに一歩遅れてしまった。
「ミント、私もミユの事は心配なので、ヒーローさんと一緒に行きます。ここは任せましたよ。それにこの方陣師の杖も渡さないとミユは何にもできないと思うので。」
眼鏡子さんの頼もしい一言に僕は頷いた。ウロビトの子に会うにしても知ってる人が一人でもいた方がいいだろうなとは思ってたいたし、何より大事な方陣師の杖があるなら、尚更ついてきて欲しかった。
「はいですぅ。」
ゾディアックの子も理解してくれていたみたいであった。
「それじゃあ行こう。ミスティックウロビトの子が消えていった先はこの方角だと、街の裏取りに消えてったはずだ。」
「わかりました。ヒーローさん行きましょう!」
_________________そして時は今に戻る
「僕の速さに追いつけないなら、眼鏡子はそこでおとなしくしてなよ。僕は今の彼女を一人にしておくのは危険だと思うから、急いでるだけさ。」
口調には難癖がある様に思えたがミユを心配しての発言だった。
「はぁはぁ私だってヒーローさんと気持ちは同じですけど、体が追い付かないんですよぉ。それに私は眼鏡子じゃなくてリンです!!」
「眼鏡子のペースに合わせてたら、追い付けないし、見つからないからさ。それにここに集まってきているのは冒険者以外もいる。特に希少な種族は闇市で売価されることもあるんだよ。さっきのナイトシーカーがそういうグループなら、ウロビトが逃げた方に手下を向かわせてるかもしれない。」
そうえいばハイ・ラガードの街外れってヤバイ極悪人とかもいるって風の便りで聞いたことあるわね。でも会ったばかりの私達に素直に向き合ってくれると思うと嬉しいわね。
正直ヒーローさんの体力が羨ましい。でもそろそろ脚の感覚もなくなってきたし、肺にも新鮮な空気が行き届いている感じはしなく、呼吸も荒くなってきて、限界が近そうね。
「それは確かにそうですけど、、、体とはぁはぁはぁもう脚が....きゃー⁉」
リンは脚と体力についに限界が来て地べたに座りこんでしまった。
ほら、言わんこっちゃない。頭はよく動くが身体がついてこないとはまさにこの事なのよね。とリンは脳裏によぎった。
脚はまるで蜂の大群にぶっ刺されたかのように腫れ上がっており、脚にまとわりついていいる毛細血管が破裂した様だった。
『一般に脚をつる原因は、水分不足だったり、筋細胞にある塩分イオンを循環しているチャネルとの塩濃度に偏りが生じているからなのよね。』
と頭では冷静に分析を始めるリンであった。
「いててて、ははは、何やってるんでしょうね。私がしっかりしないといけないのにどうして大事な時に限って…」
私は情けなく自分の事がやるせ無い思いだった。
「皆んなを引っ張っていかないといけないのにどうしてリンが困ってる時に動けない私なんて!」
そうだあの時も確か...
リンはミユとの出会いを思い出していた_________。