表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お願いだから死なないで  作者: 亜琉須 真愚奈
3/13

序章2 ②

すいません! 終わると思ったのに。

 少し時間を巻き戻す。

 皇帝たちが、剣闘奴隷を先頭に出すことを決定した3日後、闘技場では、その話をどこから聞きつけたのか。剣闘奴隷たちは嬉しそうにその話をしていた。


「これで手柄を挙げれば、俺たちは解放されるんだような?」

「ああ、これで俺らも自由だ」


 普段の暗く、重い雰囲気の牢屋は、そのときは明るい声が響いていた。


「・・・・・・」


 そんな彼らをよそに、〝彼〟は1人ベッドで横になっていた。

 すると、向かい側の牢屋にいる男が声をかけてきた。


「おい、お前は嬉しくないのかよ?」

「・・・・・・・・」

「親や村の連中に顔向けがやっとできるんだぜ?」

「・・・・・・・・」

「けっ無視かよ。そりゃ、あんたは何回も勝ってるし、傷は回復するしな。こっちのほうが合ってるのかもな?」

「・・・・やは」

「ん?」

「俺に親はいない」

「⁉」

「故郷もない」

「そ、そうかすまなかったな」


 男はそれっきり話しかけてこなかった。

 ベッドに横になりながら、〝彼〟は話している彼らがうらやましかった。


(親か。いったいどんな人なんだろうか)


 親という存在自体知らない彼にとって、そもそも親の意味が解らなかったのだ。


「お前たち!!」


 突然大声がした。見ると、豪華な甲冑を纏った男と、彼よりは豪華ではないが、しっかりと甲冑を着込んだ者たちが見えた。その中にはこの闘技場の管理人もいた。


「ふん。奴隷どもが。俺が来るところがこんな見すぼらしい者共のところに来なければならんとはな」


 中央の赤毛の男が顔をしかめる。


「第1王子殿下である。全員首を垂れよ」


 管理人の男が言うと、奴隷たちは各々のやり方で頭を下げた。


「礼儀がなっていない、な!」


 そういうと、王子は近くで膝間づいている奴隷の顔面を蹴り上げた。


「申し訳ありません。しつけがなっていませんでした」

「よい。早く済ませろ」

「御意」


 管理人は再び彼らの方に顔を向けると。


「皇帝陛下の慈悲により、この戦闘での勝利すれば、貴様らを解放してやる」


「おお!」と奴隷たちが顔を挙げて嬉しそうに声を挙げた。


「1か月後。陛下は王子殿下を総大将に、再び反乱軍を討つために軍を動かされる。貴様らはそこで戦うのだ!」


 管理人の言葉に奴隷たちの多くが強く手を握り締めた。


「自由のために戦え。以上」


 そう言うと、王子と管理人たちは去っていった。


「おっしゃーーーーーー」

「本当だったんだ!」

「やるぞ、やってやる」


 彼らが去った後、奴隷たちはさらに沸き立った。

 中には涙を流すものまでいた。

 自由になる日は近い。そのためにも勝とう。そう思いながらだ————1人を除いて。


 一方で、


「首輪の魔術は残しておけ」

「もちろんでございます」

「馬鹿どもめ。誰が自由なんぞを与えてやるか」

「当然でございます」

「奴隷は、最後まで奴隷なのだ」


 彼らの気持ちをよそに、王子たちはにやりと笑った。


  

修正します。後2話で本編です。すいませんm(__)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ