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お願いだから死なないで  作者: 亜琉須 真愚奈
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序章2 ①

長いです。すみません。

 帝国歴210年。それは必然だった。

 圧政による民への高い税金、汚職の蔓延、気に入らないものがいたら粛清し見せしめにした。

 200年以上の統治はこれといった変革の無いまま、ただ時が過ぎて行ってしまったのだ。

 おかげで人は腐り、国が腐ってしまった。

 唯一、当時の皇帝の息子である、第二、第三王子が腐っていなかったのが救いであったのだろう。

 彼らは秘密裏に皇帝の政策に不満のある貴族や軍部の者たちと連絡を取り合い、そして挙兵した。


 それに怒ったのは皇帝と次期皇帝となっていた第一王子であった。

 彼らは直ちに軍を編成すると、王子二人の追討するために派遣した。その数10万以上。

 対する、王子たちが率いる軍は、5万程度。当初2倍の相手に勝ち目などないとみられた。


 こうして開戦したのが第一次ガラル荒野の戦いである。数の上で不利であるように見えた王子軍は驚くことに皇帝の軍を圧倒したのである。

 その理由は単純だった。1つに士気が段違いで王子軍が高かったのである。王子軍の中には皇帝によって妻子を奪われたものも多く存在した。彼が中心となって軍を盛り立てたのである。

 また、皇帝の圧政からの解放を謳った王子側は、「彼らを倒せば自分たちは解放される」という思いを強く持っていた。それが彼らを掻き立てのだ。

 2つ目に、王子側には有能な者たちが多く参加していた。それは皇帝に意見するも追放させられたり、位をはく奪された者たちもいた。

 王子たちは才能のある者たちを国中からかき集めたのである。

 その結果、戦争では彼らの立てた作戦が成功。皇帝軍は大損壊の内に敗走したのである。


 結果を聞いた皇帝はさらに憤慨。さらに軍の数を増やすように命令したが、時間が無いと側近たちが口々に言った。

 皇帝の怒りは収まらず、さらに声を荒げた。

 すると、宰相がこういった。

「陛下。闘技場の奴隷たちを使ってみたはいかがでしょうか?」

 皇帝はそれを受け入れると、先ほど無理だといったものたちを処刑するように命じたあと、宰相の言うことを実行した。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 1か月後。皇帝軍の侵攻を受けて、彼らも迎え撃つように出撃した。

 1か月の間に王子は、秘密裏に皇帝側近の人々に近づき、王宮への侵入ルートの確保や、帝都までの侵攻ルート、作戦などを練っていた。

 その中で届いた知らせは、王子とその周辺の者たちを驚かせた。

 先の戦で、皇帝側についた有能な武将は全て始末したはずである。

 部下の知らせを受けて、マキシウスは考えた。

 なぜ、彼らは侵攻したのか。何か策でもあるのか、と。

 

「兄上」


 第三皇子であり、腹違いの弟であるルキウスが近づいてくる。


「どうした?」

「物見からなのですが、どうやら父上は闘技場の奴隷たちを兵士としているようです」

「なんだと⁉」


 驚きを隠せなかった。父と兄がそのようなそこにまで手を出していたのかと。

 彼らの軍の中にはもともと剣闘奴隷だが、脱走したものが含まれている。マキシウスたちはこれを黙認していた。

 それは少しでも人員が欲しかったためである。

 そのため、マキシウスは、勝った後の公約として違法奴隷の禁止を掲げた。剣闘奴隷の中には帝国内外から違法に取引された、または誘拐されたものが含まれていることをしてったこともある。

 脱走奴隷たちもそれに惹かれて、彼らの軍に多く加わっている。

 しかし、現在も現役で戦う剣闘奴隷たちは、脱走した者たちよりもはるかに個々の戦闘能力が高かった。それは皇帝の趣味で、より野蛮に、卑劣になった闘技場を生き抜いてきた者たちであるからだ。

 もし、皇帝が、彼らを解放することを条件に戦うように仕向ければ、それは大きな戦力となる。


「父上は解放する気は全くないだろうな」

「ええ、あの人はそんな優しいことはしないでしょう」

「しかし、これで合点がいった」

「ええ」

「彼らの強さがあれば、巻き返せるかもしれんな」


 兄弟は顔を見合わせて頷く。その戦力を加えたうえでこちらにぶつけるのだろう。


「しかし、人数的にはごくわずかだと思いますが...」


 話を聞いていた貴族の1人が口を開く。


「ああ、しかし、あの闘技場には、飛び切りの化け物がいる」

「化け物!?」


 貴族や武将たちがざわつく。


「貴殿らは自分たちの領地や遠征で知らないものが多いか」

「いえ、私は存じております」


 一人の男が声を挙げた。


「トラクス伯爵か」

「はい」


 彼は深々と首を垂れると、


「闘技場には1000以上の戦いを無敗で制した男がおります」


「1000⁉」「そんなバカな⁉」「ありえるのか⁉」など、口々に驚きの声が挙がる。


「そのものは、鈍らな剣では傷をつけることはできず、できたとしても傷はすぐに癒え、魔術はおろか、毒さえも効かないものだと」


 伯爵の説明に、一同が戦慄する。


「なんだそれは⁉ 本当に人間なのか⁉」

「ええ、私も一度しか彼の戦いを見たことがありませんが、それは恐ろしいものでした」

「一部噂のところもあるだろうが、それでも...」


 マキシウスは黙り込む、彼がいるなら、たった一人でこちらの軍は追い込まれてしまう可能性もある。


「兄上」

「なんだ?」

「私に考えがあります」

「言ってみてくれ」


 ルキウスは、兄に考えを述べた。マキシウスはその作戦を聞くと


「なるほど、では、そちらはお前に任せたぞ。ルキウス」

「ええ、お任せを」


 こうして、彼らは再び軍を動かした。場所は前回と同様に、ガラル荒野であった。



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