お昼寝の方がいいですわ
「アイネ、ちょっといいかな」
「ずっといいですよっ!」
「そっかぁ、ずっとかぁ」
今日、10月10日はアイネの誕生日。という事で、先日話した通り俺はアイネをデートに誘うことにした。
今日のシュエリア達は朝から誕生日会の準備で忙しくしているので、今日はゆっくり昼までアイネと自室でダラダラしてからのスタートだ。
「今日はアイネの誕生日だ」
「?! 出会った記念日ですね!!」
「うん。で、まあ、記念すべき日なのでデートでもしないかなぁと」
「嫌ですっ!!」
「おっと、出だしから詰んだ」
何故か知らんがドヤ顔で俺の提案を断られてしまったんだが。俺アイネに嫌われるようなことしたかな……いつもなら喜んでくれそうな気がしてたんだけど。俺の思い上がりだっただろうか。
「そんなことより兄さまとしたいことがありますっ」
「ん、なるほど」
そうか、俺が嫌なんじゃなくてデートがね……まあ今日の主役はアイネだし、ここは本人の要望に沿うべきだろう。
「で、何がしたいんだ?」
「日向ぼっこしたいですっ!」
「……うーん」
日向ぼっこ……お昼寝……かなぁ。
「えっと、良いのか? それで」
「? はいっ」
「そ、そうか」
なんていうか、まあ。アイネがそれでいいんなら、いいか。
という事で、俺とアイネは外に出て程よく日の当たる芝生を見つけて座り込んだ。
「本当に寝るだけでいいのか?」
「他に何か要るんですかっ?」
「え、いや、むしろ要らないのか」
「兄さまだけ居ればいいですっ!」
「あー、うん」
アイネって基本的にはこんな感じだよな。俺さえいればいい、っていう。
「じゃあ、ゴロゴロするかぁ」
「はいっ」
そう言って、俺達は芝生の上に横になる。アイネも珍しく人の姿で俺の横に寝ている。いつもは猫の姿で俺の上なんだが……今日はそういう気分なのかな。
「兄さま兄さまっ」
「んー? どうした?」
「えっちなことしますかっ?」
「ぶふっ!!」
急過ぎる下発言に俺はつい吹き出してしまった。
「どうしたんですか兄さまっ! 風邪ですかっ?!」
「い、いや。アイネが急に変な事言い出すから……」
「えっ? 何も変な事なんて言ってないですよっ」
「うーん……」
どうやらアイネ的にはアレは変な事を口走った内には入らない様だ。これが屋内とかならまだ納得できなくもないんだけど、野外でこれ言われたら流石に変というか……アイネも結構変わってるよなぁ……。
「アイネ、一般的に野外ではあんまりしないぞ?」
「にゃっ?! 普通外でしますよねっ!?」
「え?」
「えっ?」
なんだろう、アイネってそれなりに一般常識ある方だと思ってたんだけど、どうしてこうなった。
「近所の子達も皆外でしてますよっ!」
「近所の……? って、あぁ……そういう」
なるほど、今の発言でようやく話が視えて来た。
「アイネ、俺達は人間だから、猫とは違うぞ」
「私は猫ですよっ?」
「い、いや、人でもあるだろ?」
「ですねっ!」
「うん、だから、俺も人だし、人の一般常識に合わせてもらえると助かる」
「でもアシェさんも外でするって言ってましたっ!」
「アイネ、阿保のアシェと馬鹿のシュエリアの真似はしない方がいい」
「そうなんですかっ?」
「どっちも移るからな」
昔は言葉での意思疎通ができなかったとは言え、優しくてまともな可愛い妹だったアイネが、最近ではちょいちょい変な子な気がするのもきっとシュエリアの悪影響だろう……。
まあ、元々若干腹黒というか、あざとい感はあるけど、それでもアイネが阿保の子っぽい気がする時があるのはきっとシュエリアの所為だ。多分。
「でもせっかくこうしてゆっくり日向ぼっこするので、何かお話でもしたいですっ」
「そうか、そうだなぁ」
こういう時どんな話をするのが良いんだろうな。
「あ、誕生日プレゼントなんだけど」
「んにゃ?」
「何がいいとかあるかな? 今日はアイネとデートして、その時リサーチする予定だったから……」
「なるほど……今年はチャオチ〇ールじゃないんですかっ?」
「チャオ〇ュールが良かったか?」
「嫌ですっ!」
「う、うん」
そうか、嫌だったか。去年上げたときは喜んでいるように見えたけど……無理させてたのかもしれない。
「首輪とか?」
「それはそれで嬉しいですけど……」
「けど?」
俺の言葉に反応してアイネはもぞもぞと体を動かしている。
「何というかその、首輪は兄さまに隷属し、所有されている感じがしてとても嬉しいのですが……誕生日とは別に頂きたいですっ!」
「え、あ、おう……」
なんか今凄く変態チックなこと言われた気がするけど、気にしないでおこう。まさか俺の妹にそんな性癖があるとは思えない。あってもいいけど。今は……うん。
「じゃあ、何がいい?」
「うーんっ……」
俺に問われると、アイネはうんうん唸って考え始めた。さて、何をねだられるのかな。
「兄さまが欲しいですっ」
「い、いやあ、一応俺はシュエリアの物だから……もっと言えばハーレム全体の物って言うか」
「むむぅ……あ、ではアレが欲しいですっ!」
「ん? アレ?」
「はいっ、私も不老不死になりたいですっ」
「あー……それはアシェがくれるんじゃないかな」
「にゃんとっ、では……そうですね…………はっ!」
と、そこで、アイネは何か妙案を思いついたのか表情が明るくなったが、直ぐに眉を顰め、何か悩み始めた。
「どうした?」
「い、いえ、そのっ。これはお願いして良い物かとっ……」
「何でもいいぞ? それに言うだけならタダだし、意外となんとかできるかもしれない」
「そ、そうですね、それではっ」
アイネはそこまで言うと、体を起こして俺に向き直った。
「たまにでいいので……その、兄さまと人の姿で寝ても、いいですかっ?」
「え? いいけど」
「良いんですかっ?! あの、いつも兄さまの上で寝てますし……その、人が上に乗ってると寝苦しいですよっ?」
「そのくらいどうってことないよ、アイネ軽いし」
「にゃっ……そ、そうですかっ? よかったですっ!」
「うんうん」
というか、そんなのが誕生日プレゼントでいいのか、という疑問がある。
もっとこう、特別感のある物の方が良いと思っていたし、これなら別に誕生日とかでなくてもお願いされたら了承したに違いない。
「なあ、アイネはそれが誕生日プレゼントでいいのか?」
「はいっ! 嬉しいですっ!!」
「……そっか」
俺はアイネの満面の笑みを受けて、これ以上何か言う必要は無いと感じた。
アイネがここまで喜んでくれているならいいよな。
「さて、プレゼントも決まったし、後はアレだな……日向ぼっこだけど……これ眠くなるな」
「そうですね……はっ、兄さまっ! 早速兄さまの上で寝てもいいですかっ?!」
「ん? おぉ、そうだな、いいよ」
という訳で、アイネを上に乗せて横になること10秒。
「くー……くー……」
「ね、寝ている」
アイネは猫の状態でもそうだが、基本的に物凄く寝つきがいい。だからこうなるかもしれないとは思っていだが……いや、爆速かよ。
「……まあいいか。アイネがこれでいいんなら、うん」
とは言えアイネを祝いたくて……もとい暇つぶししたくてアイネの誕生会を開く気の阿保エルフも居るし、一応それまでには起こす気でいるけど、まあ今はいいだろう……。
「ふぅ……うん、俺も寝るか……」
たまにはこういう惰眠を貪るだけの休日もないとな。うんうん。
という事で、俺も目を閉じて寝ることにした……。
……したのだが。
「ユウキ、何やってんですの」
「……なんでお前がここにいるんだ」
目を閉じてしばらくして、若干眠気が来た頃に聞き覚え十分な阿保エルフに起こされた。
「デート行ってるはずじゃないんですの?」
「あぁ、アイネが日向ぼっこしたいって言うからさ。お前は誕生日会の準備はいいのか?」
「それなら終わりましたわ。で、暇だからユウキを探してデートの観察でもしようと思ったら庭に居るでしょう? 何してるのか気になって来てみたらコレですわ」
「サラっとデートを観察しようとしてんじゃねぇよ……」
というかコイツ、俺が何処にいるかとかわかるのか? まあ魔法使ったら何でもありだしな……コイツ。
「というかデートでプレゼントリサーチするはずなのに、こんなことしてていいんですの?」
「良いんだよ、プレゼントは決まったから。というかアイネが寝てるからそこんとこ気を使ってくれ」
「あー……そうですわね」
そう言って、シュエリアは何を思ったのかしゃがみ込んで、アイネの肩に手を掛けた。
「アイネ、おやつの時間ですわよー」
「起こすんかい」
「んにゃっ?」
気を遣えと言ったはずだが……この阿保にそれは無理だったか。ホントに勝手な奴だな。
「アイネ、おやつですわ」
「おやつですかっ? チャオチ〇ールですかっ!」
「そこはチャオ〇ュールでいいのか」
思いの外おやつに食いついているアイネだが、それ猫用のおやつでは。
「そう言うかと思ってチャ〇チュールですわ。わたくしの部屋でおやつタイムですわ」
「はいっ! 行きましょう兄さまっ!」
「お、おう」
アイネを無闇に起こした訳じゃないし……今回はまあいいか。あんまり自分勝手だと注意すべきだろうけど。今回はな、アイネを想ってのことだと信じよう。
という事で、アイネとシュエリアと共にシュエリアの部屋に到着。
「アイネ、先にどうぞですわ」
「にゃっ? えっと……はいっ」
シュエリアに先頭を譲られ、ドアに手を掛けるアイネ。
そうか、誕生日の準備は終わってるんだもんな……シュエリアなりに考えては居たようだ。よかった。ただ起こしただけの暴君でなくて。
『アイちゃん誕生日おめでとう!!』
「……っ!!」
部屋に入るなり準備万端で出迎えた義姉さん、アシェ、トモリさんの三人が同時に花火をぶっ放す。
…………うん。阿保かコイツ等。
「屋内でなんてことしやがる」
「クラッカーじゃインパクト無いかと思ったのだけれど、駄目ですの?」
「駄目だろ……」
「魔法だし安全は考慮してるわよ?」
「そうだよ! ちっさかったでしょ? これくらいなら火事にならないし、なってもシュエちゃんの部屋が全焼してから消火するし!」
「なんか今酷いこと言われた気がしますわよ?」
正直シュエリアの部屋はどうでもいいが、アイネの誕生日が火事で終わるのはな……。
「まあ安全考慮してるならいいけど、相変わらず魔法の使い道が地味だな」
「誕生日のお祝いなんだから良い魔法の使い方ですわよ?」
「まあ、それは否定しないけどさ」
にしても小さい花火でお祝いか……まあシュエリアらしいといえばそうだけど。
「ありがとうございます皆さんっ! それで、おやつは何処ですかっ?」
「おやつ? あぁ、シュエリアが用意してたアレね。テーブルにあるわよ」
「頂きますっ!」
アイネは部屋の中に駆け込むとソファに座ってチャオチュ〇ルをすすり始めた。
「さて、主役も来たし、まずはプレゼントから行っちゃいますわ」
「シュエリアさんが何かくれるんですかっ?」
「えぇ、このコート……『コートオブミ〇ドナイト』を」
「……SA〇ですっ?」
「ですわ」
何故か胸を張ってドヤ顔のシュエリアなんだが……聞いていた話と違くね?
「もっとこう、普段使いにいいコートを送るはずじゃなかったのか?」
「……そういやそんなこと言ってましたわね?」
「オイ」
コイツ……どうせまたノリだろ、これ。
「というのは冗談で、普通に外で着れるコートも用意しましたわ。はい、どうぞ」
「にゃんとっ!」
アイネに手渡されたのはクリーム色のトレンチコートだった。本当に真面目に贈り物っぽいな。
「これは……ネタですかっ?」
「何でそうなるんですの……」
「シュエリアさんがまともなのでっ!」
「え、わたくしマジでどう思われてるんですの?」
「いつも変な人ですっ」
「雑かつ酷い認識ですわね……わたくしだってたまには真面目ですわよ……」
自分で「たまに」とか言っちゃう辺り基本的にはふざけてる自覚はあるんだな。まあただ、たまに見せる真面目が基本的には職場なんだろうから……俺らには見えてこないんだよな。
「そ、それより、わたくし以外は何を贈るんですの?」
「逃げたわね……私はアイネが好きな薬を贈るわよ。ほらアイネ、このリストから選んで?」
「ふむふむっ!」
今度はアシェの番、アイネにリストを渡してその中から好きな薬を作るそうな……。
「この不老不死の薬が良いですっ!!」
「まあ、言うとは思ってたけれど。いいの? 他に身長が伸びたり、胸が大きくなる薬とかあるけど?」
「むしろそれを使ってしまったら兄さまの妹としてのステータスが消えかねないですっ! 兄さまはっ、小さくて、儚げな生き物が好きなんですっ!! 特に病気で死にそうな子とか大好きです!!」
「なんだろう、凄まじく誤解を受けそうな発言をされた気がする」
確かに可憐な病弱キャラとか好きだけど、言い方なんとかならなかっただろうか。
「じゃあ不老不死だと健康過ぎない?」
「前提として若い子が好きなのでそこはそれですっ」
「なんだろう、俺はアイネに愛されてるか心配になって来たよ」
これだと俺、ロリコンな上に病弱趣味とかいう凄まじく歪んだ奴だと思われてる気がするんだけど……?
「そんな兄さまでも大好きですよっ!」
「でも……ってことはそうじゃない方がいいわけだ……」
「ロリコンは良いですけど弱ってる人を性的に狙うのはどうかと思いますっ!」
「言い方。それじゃあ俺完全に鬼畜じゃないか」
でもまあ客観的に見たらそういう風に見える……のか。う、うーん。
「で、話してる間に薬出来たわよ?」
「頂きますっ!」
言うや否や、アシェから受け取った薬をぐびぐび行くアイネ。躊躇しないなぁ。
「マズかったですっ! 次は美味しいのが良いですっ」
「ま、まあ味はね……ていうか次は要らないでしょ……」
「という~こと~で~わたし~からも~」
「おぉっ」
アシェの次はトモリさんがプレゼントか。大丈夫なんだろうか……色んな意味で。
「この~木彫り~の~」
「木彫りですかっ?」
「はい~木彫り~の~木刀~を~」
「それは木刀と何が違うんだろう」
余りの事についツッコんでしまった。いや、だって、木彫りの木刀って、それ木刀だろ? なんで敢えて木彫りのって言うんだ?
「木刀……ですかっ」
「はい~木彫りの~」
「……木彫りの……凄いですっ!」
「それでいいのか妹よ……」
なんか思ったより俺の妹が喜んでいてびっくりする。なんでだろう。それ木刀だぞ。
「兄さまっ、これ物凄いマナが宿ってますよ!!」
「え? そうなのか?」
「材質的に世界樹っぽいですわね」
「え……まさか」
もしかしなくてもこれはこの世ならざる武器なのでは……。
「一度~元の世界~に~戻って~作ってきま~した~」
「マジか」
なるほど……それで、世界樹で作った、木彫りの木刀……か。
「へぇ、良いわね、生半可な魔剣、聖剣よか強いわよそれ」
「でもアイネは戦わないし……要らないんじゃ」
「そういう武器は魔法の触媒にもなりえるから、一概に戦闘にしか使えないと言うことも無いですわよ。と言っても、そもそもアイネが魔法を使えるからそれを追加で使うような大魔法は要らないだろうけれど」
「うーん?」
つまり、結局要らないのでは?
「これで兄さまがストーカーに襲われてもブンブンできますっ!」
「えぇ……」
使い道が物騒だな……まあ武器なんだから当たり前とも言えるかもしれないが。
「皆アイちゃんを喜ばせるプレゼントを贈ったみたいだけど……お姉ちゃんが一番喜ばれるのを贈っちゃうよ!!」
俺らのやり取りを見ていて我慢できなくなったのか。声を張り上げる義姉さん。大丈夫だろうか、義姉さんにアイネの喜ぶプレゼントができるだろうか。
「お姉ちゃんからはこれ……『等身大・リアルダッチゆう君』だよ!」
「義姉さんそういうとこだからな?!」
このクソ義姉、結局昨日の案のままプレゼント選びやがった……!
「ね、姉さまこれはっ……」
「ふっふっふ。余りの嬉しさに上手く言葉が出ない様だね!」
……いやあ、違うんじゃないかな……こんなもの渡されたら気持ち悪いだろ……。
「これは…………2021年版ですかっ?!」
「ん?」
なんだろう、今変な言葉が聞こえた気がする。やけに嬉しそうな、妹の……変な……。
「そうだよ! 最新版だよ!!」
「にゃんとっ! ありがとうございまうっ!!」
『えぇ…………』
義姉さんとアイネ以外が思いっきりドン引きしていた。しかもなんか、アイネは噛むほど興奮しているようだ。いっそ今日一嬉しそうである。
「あ、あの、アイネ?」
「? はっ!! 違いますよっ、本物の兄さまが一番ですよっ!」
「い、いや、そういう事じゃ……」
「はっ!!!! 大丈夫ですっ私はこういうのに偏見は無いのでっ!」
「……あ、そ、そう……」
うん……なるほど。まあ、それなら、良いのかな。
「俺が一番なら……いいか」
「諦めましたわね……」
「まあ、この現実は直視し辛いわよ」
実際アイネの眼をまっすぐ見れない……なんかチラッと見た感じ瞳孔ガン開きだし。ちょっと怖い。
「さて、プレゼントも終わったし、これからパーティですわ!」
「はいっ! ありがとうございます皆さんっ!!」
まあ、喜んでるみたいだし……良いんだけどさ。アイネがそれで幸せならさ……。
とは言え流石に自分似の等身大人形にあんなギラついた眼で興奮されると怖いわ。
まあそれでも、今日はアイネの誕生日だ。最後まで楽しく、祝ってやらないとな。
「アイネ、俺の膝の上座るか?」
「はいっ! あっ、後で人形の方と座り比べてみますっ! 絶対兄さまの方が良いですけどっ!!」
「あ、うん」
……うん、頑張ろう、なんか精神がガリガリ削れる音するけど。頑張ろう。
「さあ、まずは皆でお菓子でも食べながらゲームしますわよ!」
「せっかくだからパーティゲームが良いですっ!」
「良いわね。でも誕生日だからって花を持たせたりはしないわよ?」
「真剣~勝負~です~」
「望むところですっ!」
どうやら最初はゲームのようだ。まだまだ時間は夕方に差し掛かったばかり、これから騒がしくなるなぁ……。
そんなことを考えながら、俺はそっと、膝の上のアイネの頭を撫でた。
「にゃ? どうかしましたか兄さまっ」
「んや…………アイネ。誕生日、おめでとう」
「? はいっ!」
この中じゃ一番マトモで、素直で優しく、可愛いアイネだが……ちょっと変なところもあったり、意外と下ネタとかエロ要素に興味津々だったり……。
それでもやっぱり、俺はこの妹が大好きで。
「出会ってくれてありがとう」
「こちらこそですっ」
「聞こえてんのなぁ」
聞こえないように言ったつもりだったんだけどな、恥ずかしいし、照れ臭いから。
まあ、ある意味俺達らしいか、こういう方が。
こうして俺達の出会いを記念した誕生日は始り。皆で盛大にアイネとの出会いを祝ったのだった。
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次回更新は来週金曜日18:00です。




