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娯楽の国とエルフの暇  作者: ヒロミネ
91/266

愛されたいとか想われたいとか。ですわ

今回はちょっと長めです。

「わたくしって普通にオカシイですわよね?」

「そうだな――いたっ?!」

 いつも通りの休日にいつもの様にシュエリアと横並びに座りながらダラダラして過ごす昼。

 いつも通りのシュエリアといつも通り話していたら、まあある意味いつも通り殴られた。

「何故殴る?」

「なんか素直に肯定されたらそれはそれでムカツクでしょう?」

「否定して欲しかったと」

「嘘つくのはよくないですわねぇ。心読んだらわかるし」

「どうしろと……」

 それだと殴られる未来しかないのでは。

「素直に殴られておくしかないですわね……哀れですわ」

「そう思うなら手を上げなければいいのでは」

「まあほら、軽いスキンシップですわ」

「うん、まあ。そうなんだろうけども」

 実際いつも軽いおふざけと言うか、そういう感覚で行われる行為だし、別にすっごく嫌だったりとかもしないし、どちらかと言えばこういうじゃれあいもできない関係だと堅苦しくさえ思うから……いいんだけどさ。

「で、今日はまたどうしたんだ? 言っとくがお前が変なのはいつものことだぞ」

「そうなんですわよねぇ」

「自分では肯定するのな」

「事実ですもの。っていうか、その話をする為に振ったのだから、否定していたら始まりませんわね?」

 そう言いながらシュエリアはある一冊の本を取り出した。

「これのヒロイン、可愛いんですわよ?」

「へぇ」

「素直で明るくて優しい、学業成績こそ並みだけれど家事は優秀で普通に可愛いヒロインですわ」

「ふーん」

「興味なさそうですわねぇ」

「だってなぁ。普通過ぎてつまらなくないか?」

「わたくしの夫って感じですわね。まあでもそれは置いといて、ですわ」

 シュエリアはそういうと、漫画をそっと前のテーブルに置き、話を続けた。

「今日はヒロインの話をしようと思って」

「というと?」

「わたくしってほら、ぶっちゃけ普通じゃないでしょう?」

「そうだなぁ、まあ、並みでもないし、普通でもないな」

「でしょう? それにほら、わたくしって、面白いこと優先で興味ないことにはとことん無い性格でしょう?」

「そうだな、ついでに割と沸点低くてよく手が出る」

「脚も出ますわよ?」

 そう言って俺を軽く蹴るシュエリア。うん、失言だったな。

「……そうだな」

「となるとアレですわ」

「アレ?」

「ヒロインらしさが死滅してますわ」

「…………まあ」

 確かに正統派ヒロインではないのは間違いない。っていうか何なら割と嫌われる要素すらある。主に暴力面とか、家族に対する塩対応とか。

「このままだといつかはアイネがメインヒロインとか言われかねないですわ。そしてわたくし達のこのゆるい生活も変人エルフから愛する兄を奪い返す略奪愛の物語になってしまいますわ……!」

「いやあ、うーん。そこまでは無いと思うが……」

「ぶっちゃけわたくしって絶対人気無いですわよ!!」

「自信満々にとても悲しいことを言うな……まあでもほら、俺はお前の事好きだし」

「それは嬉しいけれど、やはりできるだけ多くの人に愛されるキャラクターでありたいですわね?」

「せめて人物と言おうか、キャラクターってお前」

 まあ今時、人は皆一種のキャラを作って生きていると言える部分もあるにはあるし、間違っても居ない気はするが……。

「せめて表面上人気を取れる余所行きのキャラクターが欲しいですわ」

「……ようは外面を良くしたいと」

「ですわ」

 なんか妙な話になってきたな……。

 自分の嫁の対外的な人気の為にするキャラ作りの話……なんて乗り切れない話だろう。

「と言う事で、キャラ付けをしていこうと思うのだけれど」

「けれど?」

「わたくしって正直完璧じゃない?」

「言ってることの矛盾が凄すぎて既に付いていけそうにない」

「何を直したらいいんですの?」

「とりあえず暴力をなくして、皆に優しくしてみたらどうだろう」

「ツッコミは暴力ですの?」

「お前はツッコミでなくても暴力振るうけどな」

「むぅ……できるだけ自重してみますわ。今日だけ」

「今日だけ。明日から本気出すの次くらいに意味のなさそうな言葉だ」

 っていうか何故今日だけなのだろうか……。

「優しくって言うのはどうするんですの?」

「お前は身内……特に血縁に当たりが強いから、もうちょい優しくするとか」

「リセリアとか母様にですの?」

「そうそう、例えばほら、結婚式来てくれたの気づいてないとか、ああいう発言はしないようにして、あと気づけ」

「っていうかそれ、ここじゃ実戦できないですわよ」

「……まあそうだな」

「今日限りだから意味無いですわね」

「なぜ今日限りなのか」

 さっきも言っていたが、なんで今日だけなんだ……長期的にやらないと意味ないのでは……?

「長期的にやってしまったらキャラ変わってしまうでしょう?」

「おや、愛されキャラに変わるという趣旨の話だったはずでは」

「ぶっちゃけ今日この場だけのノリだからこれで後日良い子になったりはしないですわ」

「ぶっちゃけたなぁ」

 いやまあ、いつもノリで生きてるような奴だし、そういう事もあるだろうけど。

「せっかくだから良い子になったら駄目なのか?」

「良いところも悪いところもあった方が人間らしいでしょう?」

「それでいいのか愛されキャラ」

「というか正直、マジでユウキ以外からの評価って割とどうでもいいんですのよねぇ」

「また話を根底から覆すようなこと言うし……それじゃそもそもこの話意味ないだろ」

「無いですわね?」

「おーい」

 そこは否定するとか……いやもう、コイツにそういうの期待した俺が間違ってる気がしてきた。

 ……あ、でもそうか、俺の評価なら気にするのか。

「俺としては、ノリっていうか、じゃれて手が出るくらいならいいけど、暴力は止めて欲しいし、家族も大切にして欲しいけどな」

「……そういうのズルいですわ」

 シュエリアが困ったような顔をする。これは面白い。

「駄目か?」

「仕方ないですわね。無闇に暴力や力で支配しない、家族も大切にしますわ。できるだけ」

「そうだな、そうしてくれ」

 これでやたら力で脅したり家族に対する塩対応も無くなるといいんだが。

「それで、それ以外って何か無いんですの?」

「俺としてはそれで十分だと思うぞ」

「何でそうなるんですの」

「だってそれ以外は俺にとって理想的だし」

「…………そーいう事言うんですのね」

「え、なんか駄目だったのか、今の」

「駄目じゃねぇですわ」

「うん?」

 なんかうちの嫁さんが顔真っ赤にして照れてらっしゃるんだが、俺そんな照れるようなこと言っただろうか…………言ったな。自然に出てき過ぎて気にしてなかったけど、これ普通に恥ずかしい奴だ。

「今日も仲良くイチャついてるわねぇ。二人でイチャってる暇あるんなら呼びなさいよ」

 そう言いながら現れたのはアシェだった。

「ん、おぉ、来たのか」

「二人でイチャ付きたいから呼ばなかったという考え方は出来ないんですの?」

「二人っきりになりたかったんなら鍵しなさいよ。してないってことは混ざっていいんでしょう? なら呼びなさいよ、最初から混ざりたいじゃない」

「そりゃそうですわね。っていうか何、アシェって暇なんですの?」

「アンタにだけは言われたくない言葉ね。暇だけど」

「暇なんじゃない……」

 どうやら結局のところ、アシェも暇だからこっちが暇してるんだったら誘って欲しい、という話のようだ。そうか、暇なのか、アシェ。

「誘うと言えば、アイネとトモリもさっき帰ってきてたわよ」

「じゃあここからはフルメンバーですわね」

「義姉さんいないけどな」

「あー。そういや居ないですわね」

 そう、義姉さんは前日の一件以来、ストーカー行為の一切を止めたため、今この家に『たまたま』居たりはしないのだ。

「呼び出しますわ」

「そうやってホイホイ呼び出すのもどうかと思うけどな……」

「まあそれもそうですわね……でも一応声かけないと後でほら、またストーカーされても困るでしょう?」

「まあ、そうだな」

「ってことで送信…………って返信はやっ! なんか滅茶苦茶暇だったみたいですわよ?」

「絶対嘘だろ……」

 それが本当なら家に来てない方がおかしい。絶対誘われたから暇になった、というか、しただろ、あの人。

「ふむ、シオン待ちするのもアレだし、回収行ってきますわ」

「おお、いってら」

 俺が返事をしたのを聞くと、シュエリアは瞬間移動で義姉さんを回収しに行った。

さて、そうと決まれば俺もアイネとトモリさんに声かけとくか……。

と言う事で、5分後。

「ってことで、皆が集まったところで話を始めたいんだが」

「シュエリアさんがどうしたらもっとモテるかですかっ」

「ちょっと違うな。正確には万人受けする人当たりのいいキャラになる方法だな」

「でした~ら~妙案~が~」

「おぉ」

 トモリさんの案か……若干不安な気もするが、同時に期待もある。

 なんだかんだ言ってこの中でもマトモな上に頭が切れる部類だしな、トモリさん。たまに、真面目な時だけだが。

「私服に~和服を着~ましょう~」

「どーしてそうなっちゃったかなぁ」

「ダメ~ですか~?」

「駄目……ではないんですけどね」

 それだとトモリさんとガッツリキャラ被るし、っていうかそれ多分、万人受けはしない。

「まあでも面白そうだから一応、暫定的に採用しますわ」

「そして着替え速いな。どこから取って来た」

「実はこんなこともあろうかと作っておいたんですわ」

「お前本当に器用だなぁ」

 何かと色んな服を持っていたりするけど、結構自作が多いし、案外あの変な語録Tシャツもコイツの自作とかあるかもしれないな。

「で、他に案は無いんですの?」

「はいはいっ! 提案がありますっ!」

「……何でかしら、妙に不安ですわ」

 シュエリアの催促に答えたアイネに不安を隠さないシュエリアだが、正直なところ俺もちょっとどころでなく不安だ。

 こう、アイネの眼がおもちゃを見つけたように爛々としている辺りが特に。

「猫耳キャラで行きましょうっ!!」

「そんな気してましたわ……これ絶対そういう流れですわよねぇ?」

「そういう流れですっ?」

「わかっててやってんのが目に見えてるから白々しさがヤバイですわ。この猫マジで真っ白ですわねぇ」

「白猫ですからねっ」

「ブレねぇなぁ……」

 アイネはなんかもう、凄く白々しいのと開き直るのが強すぎて無敵に見えて来る。

 俺の妹強すぎて嫁で遊ぶ気満々だ。

 しかしまあ、シュエリアも意外と乗り気なので、魔法でさっさと猫耳を生やしている。

「じゃ、お姉ちゃんもてーあん!」

「はぁ……何すれば良いんですの?」

「姉キャラで行こう!」

「一応わたくし4姉妹の長女ですわよ……」

「あれ……そうだっけ?」

「そうですわよ! リセリアのこと忘れたんですの?」

「酷いよシュエちゃん、シュエちゃんじゃないんだから覚えてるよ! むしろシュエちゃんが姉らしくないのが悪い!!」

「ぐぬっ……妙に言い返し難いこと言いやがりますわね」

「姉らしくない自覚はあったか」

 まあ、シュエリアが姉らしくないのは間違いないが、俺もなんだかんだ言ったがシュエリアがリセリアの頼みで家族を、同族を救う為にこの世界に移民させたのも覚えてるし、緊急時には手を差し伸べる事もしているわけで、非道な奴ではないと思ってはいるが……それでも姉らしさとは別な気はしてる。

「姉らしく……どうすればいいんですの?」

「うーん、あ、一応ゆう君のお嫁さんならアイちゃんの義姉だし、アイちゃん甘やかすとか?」

「えっ、なんか嫌ですっ!」

「もう既に拒否られててツライのだけれど……」

 義姉さんの提案にシュエリアより早く反応して拒否るアイネに傷つくシュエリア。というかそうか、リセリアが俺の義妹だって話はしたが、それならアイネもシュエリアの義妹か。

 ついでにシュエリアは義姉さんの義妹に……これは言わないでおこう、シュエリアが可哀そうな気がする。

「まあまあ、そう言わずにー」

「兄さま以外に愛でられるのは兄さま専属の愛猫としてのプライドに関わりますっ!」

「思ったよりしっかり理由あって断られたのに安心してる自分が居ますわ」

「まあふわっとした理由で拒絶されたらそれはそれでショックだよな」

 とは言えこれでは話進まないのでは。

「俺としてはシュエリアとアイネに仲良くして欲しいと思うんだけど」

「にゃっ……そ、そう言われてしまうと……うぅっ」

「別に仲悪いわけでは無いですわよ? むしろ仲いいですわ」

「う、うぅっ……そ、そうですね……そうなんですけどっ……うーうー!」

 どうやら俺とシュエリアの言葉に相当心が揺らいでいるのかうーうーにゃーにゃー言って唸っている。

「…………と、とりあえず頭撫でてみますかっ?」

「良いんですの?」

「ど、ドンとこいですっ」

「じゃ遠慮なく」

 どうやら決心した様子のアイネに、本当に遠慮なく手を伸ばすシュエリア。

「どうですの?」

「にゃんというか……兄さま程では無いですが、いい感じですっ」

「まあ愛する男性に撫でられるより良かったらソッチの気がある可能性すらあるから、むしろ安心ですわね」

「そしてお姉ちゃんから言っといてなんだけど、アイちゃん撫でてても姉らしさは全く無いね」

「もうちょっと仲良さそうにしたらいんじゃない?」

「えー、仲いいですわよ。まあでも、そうですわねぇ。膝の上に乗ってみて欲しいですわ」

「にゃんとっ、それは浮気になりませんかっ?!」

「ならないですわよ」

「ならないな」

「なら乗りますっ!」

 と言う事で俺の上に座ってたアイネが隣のシュエリアの膝上に席替え。

「どうですの?」

「あー、うん、少しそれっぽくなったね」

「後はアレね、アイネに義姉として慕わせればいいのよ」

「どうやってですの?」

「呼び方とか?」

「にゃ……シュエリアお姉ちゃんっ! ですかっ!」

「何かしら、わたくし今久しぶりに妹を可愛いと思ったかもしれないですわ」

「4姉妹の長女なのにか」

「4姉妹の長女なのにですわ」

 でもまあ『久しぶりに』ってことは、妹を可愛がってた時期もあったんだな……。

 そう考えると、妹達がコイツを好きなのはその辺に理由があるのかもしれない、そしてコイツが妹に塩対応な理由も……。

「こうなれば、後は私の番ね」

「あー、そうですわね、アシェからは何を提案するんですの?」

「そうね、私からは……………………あれ?」

 シュエリアに案を聞かれて答えようとしたアシェだが、思ったより言葉が出てこない。

「どうしたんですの?」

「…………私ってさ」

「何よ?」

「キャラ……薄くない……?」

『…………あー』

 なるほど、そういうことか…………。

「つまり被らせるキャラが無いと」

「正直……私ってシュエリアと大差ないのよね……」

「その言い方ちょっとムカつくけれど、言わんとしていることはわかりますわ。下位互換よね、アシェって」

「グサッ」

「お前言葉選べよ……」

「わたくしに無くてアシェにしかない点って錬金術と筋肉趣味くらいですわよねぇ。と言っても錬金術はわたくしもやろうとしたら同じことできるし、筋肉趣味とかキャラとして微妙だけれど」

「グサッグサッ!!」

「お前ホントえげつねぇな……」

「そうなるとアシェから真似しようとしたら…………あっ」

「な、なによ……」

「ファッションセンスは好きですわよ、アシェの」

「服はもうトモリの真似して和服着てるでしょ!!」

「あー、そうでしたわねぇ。ヤバイ、無いですわね。なんも」

「ぐはぁっ!!」

 アシェが過度な精神負荷に耐えられずぶっ倒れた。哀れ過ぎる。

「お、お前な……」

「文句あるならユウキから提案して欲しいですわ?」

「う、うん? うーん……」

 俺、俺がか……俺から見たアシェの、シュエリアに無くて、真似できなそうなこと……。

「あ、運動音痴?」

「グサッ!!」

「何でかしら、それに関しては真似出来そうだし確かにわたくしには無いのだけれど、よく考えるとマイナスポイントなだけに追い打ちに見えますわね」

「そ、そんなつもりはなかったんだが……ほら、なんていうかこう、ドジっ子的な」

「あー、そういえばアシェって意外とドジですわね」

「ドジ……」

「大丈夫ですわ、この国ではドジっ子はプラスですわ!」

「全然褒められてる気しない……」

 まあ確かに、あんまり褒めてる感じは無いが……。とはいえ悪いことばかりでないのも事実だとも思う。俺がドジっ子好きかと問われたら別だが。

「ってことで、和服、猫耳、姉、ドジっ子属性を追加したわたくしになればいいんですのね?」

「そういう事になるか」

 個人的には頼りになる甘やかしてくれる姉のが好きなんだが。ドジな姉も悪くない。

「いっそユウキの事も愛称で呼ぶべきかしら?」

「なんだろう、ずっと前に愛称で呼ばれて以来だな」

「今回は姉キャラだから……ゆう君って呼びますわね」

「ちょ! お姉ちゃんと被るじゃん!!」

「被せる趣旨だったでしょう……今更何を言ってんですの……」

「愛称は変えよう?! そこまで被ったらなんか負ける気がする!!」

「大丈夫だ義姉さん、元から負けてる」

「ひどいっ?!」

 とは言えシュエリアから「ゆう君」って呼ばれるのは……うーん?

「以前話した時のように、ゆっ君にしときますわね」

「お揃い~です~」

「ですわ」

「ふむ」

 これで俺は、和服猫耳ドジ姉にゆっ君と呼ばれる立場になってしまったわけだが。

「思いのほか悪くない」

「意外と好感触でビックリですわ」

「ただ気になることが一つ……」

「ん、なんですの?」

「エルフと猫耳って両立できなくね?」

「…………あ」

 どうやらシュエリアは今更気づいたらしい、エルフと猫耳、両立できないはずの物が共存してしまっている事実に。

「エルフ耳と猫耳で耳4つになってますわ……」

「モンスターですねっ!」

「言い方!!」

 確かに耳が4つは人ならざる者だが、モンスターって。我が妹ながら言葉の刃が鋭すぎるな。流石勇者か?

「魔族~です~?」

「耳4つの魔族ってなんですの……」

「んじゃあやっぱ化け物ね」

「……これもうやめますわ」

 言うや否や、猫耳を辞め、服もいつも通りに戻るシュエリア。

「辞めるの早かったねぇ」

「まあ、最初っからキャラ被りで遊びに行ってしまった感はあったから、やむなしですわ」

「だな、それに――」

「んですの?」

「シュエリアはいつも通りが一番可愛いからこれでいいだろ」

「んなっ?!」

 俺の言葉に真っ赤になるシュエリアと、呆れ顔の面々。こうなる気はしてたけど、かといって言わないのも違う気がした。

「あー出た出た、またそうやってイチャ付くんだから」

「イチャついてねぇですわ?! これはユウキが勝手にデレてやがるだけですわ!!」

「シュエリアさんは兄さま大好きですからねっ」

「そっ、そうだけど?! なんか違いますわ?!」

「作戦~どおり~?」

「何のですの?!」

「そっかぁ、キャラ付けしたのも、ゆう君に「いつものシュエリアが可愛い」って言って欲しかったからかぁ」

「ちっ、ちちっちちちちちちちち、違いますわよ?! ただユウキに可愛いって思われたかっただけですわ?!」

「凄いボロの出し方したわね……」

「本当に天才なのか怪しくなってきたな」

「アンタの所為ですわぁああああああああああああ!!」

 ……ということで。どうやら今回の一件はシュエリアが吐いた通り俺の可愛いと言って欲しかったのが原因らしく。

 この後他のメンバーも可愛いと思って欲しいという理由でキャラ付け会議は続き、こんな下らない話でまた、一日は過ぎ去っていった……。


ご読了ありがとうございました!

感想、評価、ブックマーク等頂けますと励みになります。

次回更新は金曜日18時です。


別途、6月1日が丁度火曜日ですので、新作を更新しようと思っています。

最初は数話纏めて更新しますが、そこまで量は無いです。時間は未定ですが、18時までに初回更新分の投稿作業はしておきます。

今後ともよろしくお願いします。

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