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娯楽の国とエルフの暇  作者: ヒロミネ
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流行りとか時事的な話ですわ

「昨年は鬼滅とか人気でしたわね」

「え……おう……」


 いつも通りの昼。新婚になってからというものお互い寄りかかったり、膝枕とかしながらだらだらとする毎日。そして今、いつもよりは凄く普通な会話をしている。

 で、これは。昨年(2020年)を振り返っている……いや、いいのか、これ?


「なあシュエリア」

「なんですの?」

「俺らって2021年に生きてんの?」

「え……?」


 俺の質問にシュエリアの表情が固まる……。


「違うんですの?」

「いや、わからんけど」

「なんでわからないんですの?」

「え、いや……だって……なあ」


 それは作者……もとい、なんかこの世界を作った奴の匙加減なので、正直どうなのか……いや、これもこれでどうなんだろう、いいのだろうか、こんなメタい思考で。


「ちょっと調べてみなさいよ」

「そ、そうだな……グーグルで」


 ということで、調べてみた。


「あ、2021年だ。一応」

「そう。なら一応、年代は同じですわね」

「そうだな……どの程度タイムリーなのかの詳細はわからんが」


 その辺はもしかしたら、数か月前かもしれないし、先かもしれないが……まあ、時事ネタを扱える程度には現実味のある時間軸だろう、多分。


「ということで、年代もはっきりしたのだし、さっきの続きだけれど」

「ん、おう」

「昨年のことを振り返ろうかと思ったんですの。いわゆる時事ネタ? みたいな感じですわね」

「なるほど、それで、鬼滅の話が出てきたわけだ」


 でも今ってもう六月で、つまり今年もあと半分なわけで。今更昨年を振り返るって……まあ暇だから付き合うけど。


「ですわ。他にもあったわよね、2020年と言えば」

「そうだなぁ。嵐の解散とか」

「何かしら、男のユウキから男性アイドルの話を真っ先に挙げられると違和感ありますわね」

「……いいだろ別に」

「まあ、いいけれど。後は何か印象深いことは?」

「え? うーん。稲垣の稲垣とか」

「絶対笑ってはいけない奴ですわねそれ」

「あれは印象的過ぎた」

「まあ、わからなくはないですわ」


 正直結構偏った昨年の印象な気がしないでもない……というか、これでは単純に作者の……もとい俺らの昨年の思い出話では……。


「他にこう、世間的に流行ったものとか無いか」

「コロナ?」

「うん……まあ………」


 そうなんだけど……話題としてちょっと扱いにくいと言うか……こう、不謹慎になると困るんだよなぁっていう。


「あとは……あつ森?」

「あぁ、そういえば、話題になってたな。やってないけど」

「やってねぇですわね」


 俺もシュエリアもほのぼのしたゲームよりアクションとか好むタイプなのでお互い未プレイなので、正直話題に上がることはなかったが。


「正直昨年ってコロナの所為で自宅での生活が長かったし、あんまりパッとする話題も無かった気がしますわね」

「うーん……まあそうなのかな」


 正直なんでもコロナの所為かと言われると……そうでもない気がするが。


「というかアレよね」

「ん?」

「わたくし達って流行りに疎い……というか、乗らないじゃない?」

「まあ、そうだな」

「ぶっちゃけ鬼滅も読んでないし、見てないわけですわ」

「……まあ」

「話すことないですわね?」

「…………確かに」


 つまりアレだ。この『時事ネタ』というのがそもそも俺らに向いていないのだ。

 うちのメンツに誰かしら流行りとかに敏感な人が居たら少しは話が変わるかもしれないが。


「どうしようかしら?」

「いや……いいだしっぺはお前だろ」

「うーん……これからは流行り物にも目を通したほうがいいですわね」

「既に話をまとめに掛かっている」

「だって他に話すことないでしょう?」


 そう言って俺に寄りかかった態勢からズルズルと膝に崩れて来るシュエリア。もう見るからにやる気がない。


「いや……うーん。昨年話題になった話ってもうないのか?」

「んー。そうねぇ……タピオカ?」

「それは……2019年では」

「え? そうなんですの?」

「多分? グーグルに聞いてみるか」


 ということで、またグーグルの出番。

 結果は……。


「2019年だな。っていうかむしろそれ以前に二回もブーム来てるのか」

「へぇ……意外と人気者ね、タピオカ」

「まあ例のごとく俺達は」

「タピったことないですわね」

「やっぱりもうちょっとくらいは流行りに乗ってもいいのかもしれない?」

「ですわね……」


 ホントに、見事に話せることがないもんだな、流行り物になると。


「後は……あ、うーばーいーつ? ですわ」

「あぁ……あったな、そんなの」


 まあこれも、例に漏れず利用してないわけだが。


「これくらいなら今からでも嗜めそうですわね」

「嗜むっていうのか、これ」

「どうかしら」

「まあいいけど。っていうかそれなら、タピオカだって割とすぐ楽しめるのでは」

「……そうですわね。あ、いっそウーバーイーツでタピオカを頼めば一石二鳥ですわ」

「なるほど。それわざわざ頼む必要あるのか?」

「……どうかしら」


 うーん、ウーバーイーツって何、どう使えば便利なんだ。これ。


「いっそ出前館でもいいですわ」

「CMが印象的だったな」

「ですわね」


 まあ、CMは印象的だったけど、利用はしてない。ついでにこっちは流行っていたかどうかすら知らない。


「あっ」

「ん、どした?」

「ウーバーイーツには注文時に最低必要金額が設定されていないからタピオカだけでも配達してくれますわ!」

「……え、頼むのか、それ」


 っていうかわざわざ調べたのか……ウーバーイーツでタピオカ。


「頼まないですわ?」

「ああ……そう……」


 まあ、正直そこまでして頼まなくてもな……というか、流行も終わったであろう今になって頼んでもな……とか、色々思う訳で。


「というか、頼まないなら必要なくないか、その情報」

「一応ウーバーイーツの宣伝しておけばイメージキャラクターになれる可能性を考慮した結果の発言ですわね」

「アホか」


 なんつうどうでもいい理由だ。そんな理由で無駄に文章読まされる読者の気持ちにもなってほしい。

 どう考えても無理だし。


「難しいですわね、時事ネタって」

「どうしたいきなり」

「いえ、だって、流行りに敏感で実際に体験したりしてないと話せないじゃない?」

「ん、まあな」

「乗り遅れたらそれだけ流行に乗るのも大変なわけですわ」

「うーん、ものによりけりだとは思うが」

「そしてこの話、今書いてるの1月だから若干未来の事書いている作者的にはしんどいわけですわ」

「まさかの作者目線」


 というかそれならそれで、作者、ホットなネタは熱いうちに上げるとかすればいいのでは。ロクにストーリーもない話なのだし、間に話は挟み放題な気がするが。


「何が流行るのかしらね、今年」

「もう6月だけどな」

「ほら、作者的には……」

「まて、ホントに待て。これ以上は話がややこしくなるから待て」

「……まあ、そうですわね?」

「うん」


 いやホント、あんまりメタ構造的な話ばかりしていると、こう、いい加減見限られかねないとすら思う。誰にとは言わないが。


「まあ今後は時事ネタの為に流行もチェックするとして」

「うん。うん?」


 なんだろう、若干話をまとめに掛かっているようなニュアンスを感じる。


「時事ネタより未来感のある話をしようと思いますわ」

「未来感とは」


 思ったよりまとめじゃなくて次の話に行くだけだった。いや、オチ付けてから次行って欲しいけど。


「単純に今年流行りそうなものを予測して適当に話しますわ」

「雑談じゃねぇか」


 すっげぇ下らない部類の雑談だろ、これ。


「で、まあ。今年はモンハンが流行りますわ」

「うん。当たりそうだけど。もうちょっとこう、話題性のある予測をしてくれませんかね」

「よくわからないけれど、多分流行るわよ?」

「いや、そうかもしれないけれどな? 割と誰でも予測しそうな話過ぎて、こうなんていうか、面白みがないというか」

「む、それはいけませんわね……じゃあ大胆な予想をしますわ」

「お、いいな」


 さて、大胆な予想とはなんだろうか。ベタなボケならこの作品がヒットする……とか? 無いか。


「ユウキの大好きな声優の金元さんが結婚しますわ」

「お前殺すぞ」

「……今の話題でなんの躊躇もなく妻に殺害予告する旦那ってどうなのかしら」

「言ってもいいことと悪いことがある」

「これ悪いことの部類ですの?」

「万死に値する」

「声優の結婚の有無でここまでマジになる男って普通にキモイですわね、あんた金元さんのなんなんですの?」

「ファン」

「この場合の自称ファンはより一層キモイ気がするのはなんでかしら」


 なんかシュエリアのやつが引いているが、これは譲れない闘いなので、うん。仕方ない。


「他の予想にしろ」

「んー…………わたくしとの間に子供ができる……とか?」

「それは作者の匙加減次第だろ」

「いやそこはわたくし達の努力……ではなんともならないですわね」

「そもそも、エルフは妊娠しにくいんだろ?」

「えぇ。さらに言えば人間との間にとか、本当にできるのかすらわからないですわね」

「ぶっちゃけかなりの運ゲーだよなぁ」

「ですわねぇ」


 まあ、妊娠しにくくても、作者がその気になれば、できるんだろうが。多分しばらくはないだろう。なにせほら、作者子供とかいないわけだし。きっと書けない。多分。


「というか、いつも思うのだけれど」

「ん?」

「わたくし達って当たり前のように、作者居る前提で話してますわよね」

「そりゃな、現実にエルフとか居るわけないし」

「目の前にいますわよー」

「ついでに魔王とか、義姉とか居るわけない」

「サラっと義姉を非現実側に置いたけれど、猫の妹も普通居ないですわよ」

「居るよ。何言ってんだお前」

「うっわー。コイツ腹立ちますわね」


 と言ってはいるが、怒っているというよりはどちらかというと呆れている感じだ。

 いや、呆れられるようなこと言ったか? 俺。


「ま……いいですわ。じゃあ、最後に」

「ん、最後に」

「とっておきの予想をしますわ」

「ほほう」


 どうやらこの話のオチになる部分を今、語ろうとしているようだが。さて、どんな驚きの予想が…………。


「この作品がバズりますわ!」

「…………うん」

「あら、反応が薄いですわ」

「いや……うん」


 なんというか、ここに来てこのテンプレなボケ。うーん。


「正直ありきたりなボケ過ぎてなんとも」

「でも結構に無理のある予想ですわよ?」

「ま、まあ……」


 確かにそれはそうなんだけど……そう……言ってて悲しくならないか、これ。


「まあいいか。じゃあ俺からも一個、予想をば」

「何かしら?」

「閃光のハサウ〇イが映像化する!」

「それもう情報出てる奴ですわ?!」


 とまあこんな感じで……うん。

 俺らにはまだ、時事ネタは無理そうです。



ご読了ありがとうございました!

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次回更新は火曜日です。

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