やりたくなったから、ですわ
前話をちょっと書き換えました。
ブクマの増減に一喜一憂する日々、精進してまいります…………ホントに!
「暇ですわ」
「なんか久しぶりに聞いた気がする……」
いつも通りの日常。我が家に住む四人でだらだらと過ごす昼下がり。
なんか最近聞くことの減った「暇」発言を久しぶりに聞いた気がしたが、よく考えたら別に久しぶりでもない。なんなら毎日聞いている。つまり気がしただけだ。
「なんかするか?」
「んーそうですわねぇ…………あ」
今の「あ」は何かを思いついた感じだが、なんだろう、まともなことだといいのだが。
「そういえば花見の時にアイネとシオンがコントしてましたわね」
「あー、してたな」
確かに二人は花見の余興にコントをしていたが、まさかと思うが。
「やるのか?」
「やりますわ」
「マジか……」
「でもただ二人でコントをやっても空しいだけですわ、そこでシオンやアシェも呼んでコントを披露しますわ」
「なるほど……」
やりたいことはわかったが、しかし、いいのだろうか。
「あれってどっちかというと漫才コントじゃなかったか?」
「……そうですわね、じゃあわたくし達も同じく漫才コントにしますわよ」
「了解」
ということで、俺とシュエリアで漫才コントをする運びとなったわけだが。漫才コントって何、とか、そもそも漫才とコントの違いが判らない人はグーグルで検索してみよう。
でも検索するのが面倒な人の為に言っておくと漫才は出てきたコンビが面白おかしくしゃべくる笑い、コントは芸人達が別の役やシチュエーションで演じる笑いだと思っておけば多分あっている。
「で、まずはコンビ名を考えますわ」
「そこから?!」
「なんで驚いてるんですの……」
「むしろなんで驚かないと思った」
「今後もやるときにあったら便利じゃない」
「今後があることと利便性に不安があるんだが」
「名前だけでも覚えて帰ってほしいでしょう?」
「どこまで本気なんだお前」
なんで思いつきのボケでそこまで本気になれるのか、どういうモチベーションだ。
「ってことで、コンビ名を考えますわよ。できるだけ売れそうなやつ」
「もうその切り口の段階で売れない芸人みたいなコンビ名になりそうな気がするわ」
「そうですわね、鬼滅〇刃とかどうですの?」
「売れてるけど!! そういうことじゃないだろ!!」
「じゃあワンピ〇ス」
「じゃあって失礼だろ!」
「仕方ない、ナ〇トでいいですわ」
「もっと失礼!!」
どれも売れている作品だけど、名前をパクって来るのはどうだろうか……。っていうか「じゃあ」とか「仕方ない」とかよくないと思うんだ、人様の作品の名前を持ってきておいて。
「合体させて鬼滅のナ〇トワンピ〇スでいいかしら」
「売上下がりそう!」
「合体ロボは売れるのに?」
「ロボの要素ないからねぇ!」
どの作品もロボの要素無かったと思う……いや、ワンピ〇スあたりはなんか人じゃないのも居た気がするけれど。
「はぁ。で、結局何ならいいんですの?」
「なんで俺が悪いみたいになってんの……」
「意見はよ」
「……そうだな。ラーメンマンとか」
「それ筋肉〇ンのキャラじゃない」
「いや、サンドウィッチマンとかバナナマンが行けるならこれでもいいかなぁと」
「別のにしなさいよ……キャラ被ってますわ」
「でもスピードワ〇ンもキャラから取ってるぞ?」
「そうだけど……ややこしいでしょう」
「じゃあてんどんマン」
「それはアンパン〇ンのキャラでしょう……」
「でも笑いの天丼とも掛けてる巧妙なネーミングだぞ」
「自分で巧妙とか言い張りやがったわね」
「駄目か?」
「駄目ですわ」
うーん……難しいな。
「とはいえいつまでもコンビ名にこだわってても仕方ないですわね」
「そうだな」
「ということでコンビ名を結城家にしますわ」
「中川家か!」
「みな〇けですわ」
「そっちかぁ……」
「両方売れてるし、あやかりますわ」
「まあ、無難だし、それでいいか」
正直これ以上話が逸れるのも無駄だし、これでいいことにしよう。
ということでコンビ名も決まったし、これでようやくネタに……。
「後は個人の芸名ですわねぇ……」
「もういいから!」
「えー、せっかくだし……」
「いいよ! お前もう芸名みたいな名前してるし!」
「それ結城遊生にだけは言われたくないですわ」
「……確かに」
俺の名前の方が余程芸名っぽいだろうか? いや、そうか?
「とにかく! そういうのはいいから、ネタ造りに時間を割こう」
「……そうですわね。じゃあ早速、何か面白いことやって欲しいですわ?」
「無茶ぶり!」
「ほら、はよ」
「無理無理! っていうかやるんじゃなくて作るんだろ、これから!」
「はぁ、仕方ないですわねぇ」
「頼むよほんと……」
ということで、若干不安が残りつつもネタ造りを始め、一時間……二時間くらい? 経過。
「さて、ネタもできたし、後は観客を集めるだけですわね」
「いやいや、練習とか要るだろ」
「そこはほら、ユウキは慣れっこでしょう、ツッコミとか」
「そういう問題ではないと思うんだが……」
「大丈夫ですわ、ノリで行けますわ」
「不安しかねぇ……」
本当に大丈夫だろうか……まあ、滑ったらコイツの所為ってことでいいか。
ということで、家に居るアイネとトモリさんに加え、義姉さんやアシェも呼んでメンバーが揃ったところで今回の趣旨を説明。
「――ということで、俺とシュエリアで漫才コントをすることになったので、見てもらおうと思う」
「兄さまふぁいとですっ」
「ゆう君が火傷したとき用に氷持ってこよ」
「物理的に冷やすの?……まあせいぜい頑張りなさい」
「たの~しみ~で~す~」
義姉さんは既に期待していないようだが、他三人は応援の姿勢を見せてくれてはいる。
まあでも、うん……期待されても応えられる自信は皆無なんだけど。
「戻ったよ~」
「本当に氷持ってきましたわね……ま、いいですわ。それじゃあ早速始めますわね」
ということで、一旦俺とシュエリアは部屋から出て、入場するところからスタート。
「はいどーも」
「シュエリアですわ」
「ユウキです」
『二人合わせて結城家です(中川家ですわ)』
「ちょちょちょ……まって、今なんて?」
「中川家ですわ」
「違うね? 結城家だろ? なんでコンビ名でいきなりボケんの?」
「入ってきたときのお客さんの様子見て『あっ、これは最初から飛ばさないと!』って思って」
「いやいやいや、練習通りやろう?」
「練習してないけれどね?」
「……まあそれはそれとして、筋書き通りお願いします」
「仕方ないですわね」
「ということでね、はい、こんな二人でやらせてもらおうかと思うんですけどね」
「何を?」
「お笑いだよ。なんでお前が疑問形なんだよ」
「そんなことよりわたくしコンビニの店員をやってみたいんですの」
「キャッチボール不可能か?」
「コンビニでキャッチボールはちょっとどうかと思いますわ」
「違うわ! 言葉のキャッチボールっ!」
「ちょっと何言ってるかわかんないですわ……そんなことよりコンビニ店員。やってみたいのだけれど?」
「はいはい……じゃあ俺が強盗やるから、シュエリアは店員で」
「わかりましたわ」
「まてまてまて」
「なんですの犯罪者」
「違う違う! ボケたらツッコんで? 普通ここは『俺が客やるからシュエリアは店員で』だろ? ツッコんで」
「別に店員できればどっちでもいいですわよ」
「どんだけコンビニの店員やりたいんだよ……とにかく、俺は客で」
「わかりましたわ」
『ウィーン』
「おかえりなさいませご主人様!」
「まてまてまて。オカシイ。そんなコンビニ店員は居ない」
「つい癖で」
「ついってなんだ、なんのついなんだ。普通にコンビニの店員想定してやろうか」
「はいはい……」
『ウィーン』
「らっしゃっせー」
「居るけど!! そう言う店員いるけど!!」
「ご注文はおきまりでしょうか」
「コンビニ知ってる?! コンビニってそういうノリじゃないから!」
「ったく注文の多い客ですわね」
「俺が悪いの?!……あぁ、もういいや。さっさと買い物して出よう……。とりあえず、物色するから、放っておいて」
「FGOでもしてようかしら」
「いや仕事しろよ…………。…………。よし、これでいいや。お会計お願いします」
「はいはい。えー平熱が1点、微熱が2点、高熱が5点で……大体2千円になりますわ」
「まって、本当に待って」
「お金がないんですの?」
「そうじゃない。何? 平熱? 微熱? 何の話」
「熱の話ですわね」
「じゃあ今それ、ピッてやってたの、何」
「体温計も知らないんですの?」
「体温計?! なんで体温計!」
「コロナ禍の流行に乗ろうと思って」
「確かにそういう体温計流行ったけど!! そこ乗らなくていいから!」
「ちょっと何言ってるかわからないですわ」
「困ったらそれで解決しようとするのやめようか!」
「ちょっと何言っ……」
「やめろ!」
「チッ」
「舌打ち?! 態度わっる!」
「態度だけじゃなくて頭も悪いけれどね」
「なにちょっと上手いこと言ってやったみたいな顔してんの?!」
「そしてお客様は顔も悪い、と」
「失礼だな!! 店長呼べ店長!」
「お客様、他のお客様のご迷惑になりますのでお静かにお願いします」
「急にまっとう!……そんなに店長呼ぶの嫌なら最初から普通に、会計してください」
「はい、それではこちら8点で500円になります」
「やっす?! それ本当に大丈夫なの?」
「コロナ禍でただいまワンコイン会計を行っておりまして、差額分は店長の給料から天引きされますわ」
「コロナ禍きっつ!!」
「そして過払いがあった場合はわたくしの懐に――」
「過払いはあっちゃ駄目だろ!!」
「チップみたいなもんですわ」
「日本にチップとかないから!」
「先進的でしょう?」
「そんなこともねぇよ!」
「……ああ、はいはい。さっさと会計してくださる?」
「また俺が悪いの?!……はあ。はい、500円」
「レシートは?」
「初めてレシート欲しいと思ったよ」
「はいはい。それではまたのおこしを心より拒絶しております」
「うん、もう二度と来ないから」
「…………これ、バイトリーダーもいけますわね?」
「んなわけあるか。もういいわ」
『どうもありがとうございましたー』
さて、これで長々と続いた俺とシュエリアの下らんコントは終わったわけだが……これを見ていた皆の反応はどうだろうか。
俺としては最低限滑ってなかったらいいなぁ……という程度なんだが。
「ゆう君、使う?」
「サッと氷差し出さないでくれ、火傷してないから」
「えっ……でも……」
「無いから、無いからな」
どうやら義姉さんから見たら火傷した部類らしい……。滑ってるよりキツイかもしれない。
「あ、アイネはどうだった?」
「兄さまとコントしたいですっ」
「あぁ……そっち行っちゃったか」
「う?」
ネタの良し悪しではなく、俺と一緒に遊びたい……そんな感覚に寄ってしまったようだ。
うーん、これはこれでどうなのだろう。
「トモリさんは――」
「ぱち~ぱち~」
「お、好感触?」
「滑稽~でし~た~」
「これもこれでどうなんだろう」
面白く見てくれたようではあるが、滑稽て。それはそれでお笑いとしてはどうなのだろう、一つの正解なんだろうか?
「で、アシェは……」
「いつものユウキとシュエリアだったわね」
「俺らいつもこうなのか?」
「大体こうでしょ。そういう意味ではコントというよりは夫婦漫才みたいなもん?」
「そっすか……」
総評、すごく微妙。アイネは楽しそうだし、トモリさんも笑ってはいるが、成功とは言い難い。
「ふむ……」
「どうした、シュエリア」
「お笑いの道は険しいですわね」
「そだな……」
「これからも日々精進ですわ!」
「まだやんのかよ……」
俺の嫁、全然懲りてない。結果はあんまりよろしくなかったのに、なんか楽しそうだし。
いや、まあ、楽しかったんならそれでいいんだけどさ。
「アイネもユウキとやりたいっていうし、今度はトリオで漫才もいいですわね?」
「……はいはい、トリオね」
こうして俺とシュエリアの初の漫才コントはすこぶる微妙な評価で幕を開け、これからも厳しいお笑いの道は続いてくようである……。
ご読了ありがとうございました!
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次回更新は金曜日です。




