あのゲームの話ですわ
下要素が微妙にある話です。苦手な方にはごめんなさい。
「冬ですわねぇ」
「冬だなぁ」
「にゃー」
「(だるーん)」
いつも通りの日常に、シュエリアがいつも通り訳の分からん発言をするかと思いきや。
今日はものすごく普通の発言しか出てきていない。
ちなみに今日の席も最近ではもう固定席となってきたシュエリアが左、トモリさんが右、アイネが俺の上という配置で座っている。
……まあ、今日はアイネが猫の姿で俺の「頭の」上だけど。
「冬と言えばアレですわね」
「んー?」
「出会ったの、冬でしたわね」
「あー、俺とシュエリアが、か」
「ですわ?」
そうか、もうコイツと出会って一年になるのか。
初めて会った時は凄くヤバい奴だと思ったが……今では可愛くてヤバイ婚約者である。
ちなみにこの場合の「ヤバイ」とは色々な意味で「ヤバイ」である。別に可愛すぎるとかいう意味ではない。
「短い一年でしたわ」
「そうだなぁ……」
「恐ろしく暇だった昔と比べると、随分と時間の流れを早く感じましたわ」
「確かに俺も、そうかもしれない」
「ユウキもですの?」
「あぁ。お前と出会うまでは楽しみが限られてたからなぁ……」
「楽しみねぇ…………。あっ」
シュエリアは何か思いついたのか「あっ」とか言っているが、俺としてはなんか、嫌な予感しかしない。
「エロゲーの話しますわよ!」
「今日は普通だと思ってたんだけどなぁ…………」
シュエリアの発言に、若干ショックを受けた俺。
今日は久しぶりに(?)まともな日常かと思ったんだけどなぁ。いや、もう既にこれが日常な感じはするけど……。
「というか、なんでエロゲー」
「いえ、なんていうか、出会った時にユウキがエロゲー買ってたからですわね?」
「なるほど。ま、いいか」
昼間から婚約者とエロゲーの話題に花を咲かせるのはどうかと思うが、暇だし付き合おうじゃないか。
「アイネ、降りてもらっていいか?」
「にゃ」
流石に頭の上に猫乗せてると話しにくい……そう思い放たれた俺の言葉を受けて、直ぐに降りるアイネ。まあ、降りるって言っても膝の上なんだけど…………。ついでに言うと膝の上で人の姿になって座ってるから、話の邪魔にはならないが、普通に動けない。
シュエリアとトモリさんに抱き着かれてるからそもそも動けないが。
「えろげーのお話ですか兄さまっ」
「そうそう」
「わたし~やったこと~ない~です~よ~?」
「大丈夫ですわ、やったことあるの、ユウキだけだから」
「なぜそれで話そうと思ったのか」
大丈夫だろうか、これ、俺がただ単に質問攻めにあったりしないだろうな。
「で、ユウキ」
「なんだ?」
「シスコンのユウキ」
「なんで言い直した」
「シスコンのユウキは当然姉萌えだと思うのだけれど」
「まて、まずシスコンのところから話し合おうか」
「え。でも姉萌えのエロゲー買ってたじゃない」
「…………まあ」
「はいシスコン。で、ユウキは何目的でエロゲーやるんですの? やっぱりエロよね?」
「まあ、エロゲーだしな」
「抜くんですの?」
「ド直球だなぁ」
「どうなんですの?」
「ま、まあ、うん」
「うんってなんですの」
「いや、わかるだろ」
「えー。わからないですわー。ねーアイネ?」
「へ? えっ……いえっ…………。はいっ」
「アイネに振るかこの話」
この手のネタをアイネに振るとは、なんと恐ろしいことを。
「っていうかこの反応見るに、アイネはわかってますわね。ヌくの意味」
「えっ? わからないですよっ」
「さっきの妙な間は『知らないことにした方が兄さまの妹としていいかなっ』とか考えてたからじゃないんですの?」
「そ、そそそそ、そんなことにゃいでうっ」
「思いっきり動揺してらっしゃる!」
俺の妹、どうやらそちらの話が意外と分かってしまう子だったようだ。
その上俺に悟られまいと嘘まで吐くとは……。
「そんなアイネも可愛い」
「にゃんとっ」
「あー、ここでも出るのね、猫バカ、いえ、妹バカ」
「いいだろ、実際、アイネがエロい知識持ってようがアイネはアイネだ。つまり可愛い」
「兄さま……っ」
「なんかいい話風にしてるけど、これエロゲーの話ですわよ?」
まあ、確かに、エロゲーの話なんだけど。
「でもエロゲーだっていい話あるぞ?」
「例えば?」
「K〇yのゲームとか」
「あぁ、所謂泣きゲーとかですわね」
「そうそう」
「まあでも、エロゲーよね」
「モノによっては18禁でもエロないけどな」
「えっそうなんですの?」
「あぁ。クラ〇ドとか」
「へぇ。そうなんですの」
「まあ珍しいパターンだと思うけどな」
「ふぅん」
実際他に「そういう」シーンが無いゲームって知らないし。あるんだろうけど、多分。
「トモリとか何か無いんですの、エロゲーで気になることとか」
「そう~ですね~ゲーム~は~関係ないの~ですが~」
「ん? なんですか?」
「ゆっ君は~ノーマル~です~か~?」
「はい」
「サラっと嘘つくわねコイツ」
「どこが嘘だと」
「シスコンはノーマルとは言わないですわ」
「…………マジ?」
「そこ疑問に思う要素あるかしら……」
いや、だって、今時シスコンくらい普通…………じゃないか。
「…………ありきたりではあっても普通では無かった」
「ようやく気付いたんですの?」
「じゃあ猫好きは?」
「普通ですっ」
「まあ、猫に欲情とかしてたら普通では無いけど」
「太もも好きは?」
「変態ね」
「脇が好きなのは」
「キモイわね」
「今の言葉でちょっと嬉しかったのは?」
「マゾですわね」
「つまり俺はキモ変態シスコンマゾ野郎で色物エルフの嫁までいる変質者と」
「なんでそのラインナップにわたくし並べやがったんですの?」
拳を強く握りしめながら笑顔で問うシュエリア。
いや、だって……。
「これだしなぁ」
「失礼ですわね。わたくしはユウキと違って変な趣味なんてしてないですわよ?」
「そうなのか?」
「至ってノーマルですわ」
「Sなのかと思ってたわ」
「なんでよ……」
「すぐに手が出るから」
「それだとわたくし快楽のために暴力振るってますわよね?」
「そうだな」
「あんたホントわたくしをなんだと思ってんですの……」
「ぐうたら暴力駄エルフ」
「言いやがりましたわね。よーし殴りますわ」
「今の流れで暴力に訴えかけるあたりが真実を物語っていると思わないか?!」
俺の言葉に「……しゃーないですわね」と握った拳を解くシュエリアだったが、若干イラっとはしていたのか、軽く足を踏まれた……。
「ってて、手が出なくても足が出るとは」
「喧嘩売るからですわ。一種の愛情表現だと思ってやられときなさい?」
「うーっ、仲良さそうですっ私も兄さまにパンチしますっ」
「なんでそうなる?!」
「まあ~ゆっ君と~シュエリアさん~は~いつも~こうです~から~わたしも~いいです~か~?」
「いいわけないですよ……」
なんで俺の周りは暴力で愛情を表現しようとする人が集まるかな。
あーでも、アイネのパンチくらいなら、猫パンチということで、可愛く済みそうではある。
「ふむ」
「ん? どした、シュエリア」
「わたくし以外から暴力受けたら普通に死にそうよねユウキ」
「……え?」
「いえ、だって、わたくしはほら、手加減慣れしてるからいいけれど、アイネとか手加減絶対できない子じゃない。トモリとか魔王だし」
「いやあ、でもアイネは可愛い――」
「そうね、可愛い勇者よね、太陽落とすようなバ火力の」
「…………」
「ついでにトモリは既に今まで手加減出来てなくてやっちゃってること何回もありますわよね?」
「…………確かに」
スイカ割りで砂浜割ったり、胴上げで俺を吹き飛ばしたり……手加減できない魔王なのは証明されているな。
「そう考えると、超人的な身体能力がありながらも手加減の上手いわたくしって凄くないかしら?」
「そっちに話持っていくのか」
出たぞ、シュエリアの自分贔屓。相変わらず自分大好きだなコイツ。
「っていうかエロゲーの話はどこ行ったよ」
「あぁ…………。そんな話してましたわね?」
「本題だろ……?」
ほんと、気を抜くと直ぐに話が脱線してしまうな、俺達って。
「そしたら、アイネは何かエロゲーで気になることとか――」
「なっ、ないですっ」
「――話広がらないわねぇ」
そうは言ったシュエリアだが、そもそもアイネとエロ方面の話をして話が面白い方に行くとは思っていなかったのか、思ったより落胆はしていないようだ。
「でもアイネ」
「う?」
「ユウキの好みとか知りたくないかしら?」
「知りたいですっ」
「ですわよねー。じゃあ何か考えてみるといいですわ?」
「う? うーっ」
「おいおい」
そんな、エロゲーの話にかこつけて俺の好みを聞き出そうとか、そういう悪だくみは俺の見ていないところでやってほしい……。
「…………兄さまは…………」
「ん?」
「兄さまはっ…………ア〇顔っ好きですかっ?」
「まさかのヘヴィー級の質問!!」
すっごく定点狙いの、重めな質問きた!
「どうなんですの?」
「あ~へ~?」
「トモリさんは知らないんですね……」
意外だ……というかアイネが知ってるのもかなり意外だが。
「ねぇ、どうなんですの?」
「え? あぁ…………まあ、普通?」
「嫌いではないと」
「そうだな」
「好きでもないんですの?」
「んー。どっちかというと、好き寄り?」
「ふむふむっ」
「あへ~?」
「トモリさんは後でググってください……」
流石にこれを女性に説明するのはちょっと勘弁してほしい。
「んー、わたくしがしてたらどう思うんですの?」
「そういうの聞くのどうなんだよ……」
「いえ、夫の趣向は知っておくべきでしょう?」
「…………まあ、うーん。シュエリアは無いかな」
「言い方」
おっと、これだとシュエリアは要らないように聞こえるか?
「じゃあじゃあっ私はどうですかっ」
「えっ、アイネは……そのままで可愛すぎるからする必要ないよ?」
「にゃっ…………。はいっ」
「わたくしに対してだけ対応雑じゃない?」
俺とアイネの話を聞いて、思うところあったのだろう、シュエリアが俺の腕をギリギリと締め付けて来る。
「いや、ほら、シュエリアには伝わるかなぁって」
「言わんとしていることはわかるけれど、もうちょっと言い方を考えて欲しいですわね?」
「お、オッケー」
ここで変に反論しても腕を持っていかれそうなので、ここは謝罪の意味も込めて素直に肯定しておこう。
「わたし~は~どうです~か~?」
「トモリさんは似合いそうですよね」
「あらぁ~」
「トモリ、嬉しそうなところ悪いけど、褒められてないと思いますわ」
ま、まあ。この話題だしな……どちらにしても褒めていることにはならないだろ。
「そういえば、ユウキ」
「ん?」
「最近は何か買ったんですの? エロゲ」
「いや全然」
「あら、意外ですわ?」
「いや、やる暇無いし。っていうかほら、俺にはシュエリアいるじゃん?」
「え。そういう目で見てるんですの?」
「むしろ婚約者をそういう目で見て何か問題でも」
「問題はないけどキモイですわね」
「ひっでぇな」
別によくない? 婚約者だぞ? まだ結婚してないから手も出してないし……。
「っていうかさ。女性から見てどうなの、エロゲー」
「どうって何がですの?」
「こう、やってみたいなぁとか、思ったりする?」
「こうみえて、興味ありますわ」
「どう見られているとお思いで」
「清楚で可憐?」
「ははは」
「なんで笑いやがったのかしらコイツ」
言いながらガシガシ俺の足を蹴って来るシュエリア。痛い痛い。
「いや、だって、お前下の話大好きじゃん」
「……そういえばそうですわね?」
「だからシュエリアが興味あるのは、予想通りなんだよな」
「ふむ……じゃあアイネとかどうですの?」
「私ですかっ?」
「ですわね」
「うー。正直ほとんど興味はないのですが、兄さまがプレイしたゲームというのなら、やってみたいですっ」
「つまりユウキがやってないエロゲには微塵も興味はないと」
「ですねっ」
言うて自分がやったエロゲーだけやられるのってなんかすごく恥ずかしい気もする……。
こう、性的興味を暴かれる感じというか、なんというか。
「トモリはどうですの」
「わたし~は~本物が~いい~ので~」
「エロゲーを完全に抜き目的でしか見てない発言ですわねぇ」
「まあ、実際そういうもんだろ。中にはゲーム性ありありの珍しいのもあるが」
戦〇姫とかヴィーナ〇ブラッドシリーズは結構ゲーム性ある方だが、そもそもそういうゲーム自体珍しく、あくまでもメインはエロなわけで。
「シュエリアはやるとしたら、どういうゲームやりたいんだ?」
「……そうですわね…………。ゴリゴリハードな凌〇物かしら」
「すげぇ、こんな真剣な表情で凌〇とかいう奴初めて見た」
っていうか、エロゲーやったことないくせにいきなり随分とハードなのから入ろうとするな、コイツ。
「アイネは、ユウキのやってるのならなんでもいいんですの?」
「わ、私はっ兄さまの一番のお気に入りがいいですっ」
「う、うーん」
俺の一番のお気に入りと言われてもな……。
「ユウキはいつも使うゲームないんですの?」
「サラっと『使う』っていう表現するのやめろ…………。まあ俺は基本気分でプレイしてたから、特にこれがいい! ってよりは、ホントに気分だな」
「でもパターンはあるでしょう? シスコン」
「…………まあ、姉萌え系ばっかりやってるのはあるが」
「ふむふむっ兄さまは私より義姉さまなんですねっ!」
「なんだろう、今スゴイ誤解を生んでいる気がする」
このままこの話をスルーすると酷い誤解が生まれそうなので、一応訂正。
「姉が好きなのであって、義姉さんが好きなわけでは無いぞ?」
「にゃ? 違うんですか?」
「じゃなかったらシュエリアと婚約しないだろ」
「確かに、なんで義姉さまと結婚しないんですかっ?」
「義姉さんはなぁ……違うんだよなぁ」
「??」
「その話絶対長くなるから割愛でお願いしますわ」
「だな」
俺もうまく説明できる自信が無いし、とにかく違うとしか言いようがない。
「で、トモリはやってみたいゲームは?」
「あへ~が~気になり~ます~」
「……ユウキの持っている中にありますの? あへー」
「まあ、あるにはあるが」
「そう、ふむ……」
シュエリアはチラッと視線を移す。その先にあるのは時計。
なんだ、腹でも減ったのか。
「よし。やりますわよユウキ」
「は? 何を」
「エロゲーですわ」
「…………は?!」
あまりに予想外の言葉に、一瞬何を言われているのかわからなかった。
「わたくしは凌〇ゲー、アイネは姉萌え、トモリはあへーで、何かいいゲーム見繕って欲しいですわ」
「…………拒否権は」
「無いですわね?」
「…………はぁ」
まあ……別にいいけど。
「じゃ、ユウキの部屋行きますわよ」
「にゃっ」
「はい~」
「はぁ」
この後。俺は言われるがままにシュエリア達の要望に合ったエロゲを探し、仲良く四人でエロゲ―をするという奇妙な体験をしたのであった。
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