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娯楽の国とエルフの暇  作者: ヒロミネ
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男女の話……ですわ?

若干の下要素ありですので、苦手な方には申し訳ありません……

「ユウキって付いてるわよね」

「何の話だ」


 いつもの昼。

 いつも通りの意味わからん発言を発するシュエリア。

 付いてるって、なにが。運がいい的な?


「ナニがよ」

「また下の話かよ!」


 コイツなんでこんなに下の話好きなんだろう。

 以前アシェとアウトレットの話をした時も興味深々だったし、コイツ実は好きなのか、そういうの。


「で、付いてるわよね」

「そりゃあ。まあ。そうだろう」

「工事はしてないっと」

「わざわざメモるな」


 俺の言葉をわざわざメモに執るシュエリアについツッコむ俺。

 わざわざ書いて残すようなことでもあるまい。


「というかいつものことだが、何故そんな話に」

「それはですわね。結婚を考えたときに、男女の違いと男女が共生する利害を考えて、男と女ってやっぱり違うのよねぇ。と、思ったからちょっと話してみたくなって」

「つまり、今日は男女の違いについて話して暇をつぶしたいと」

「ですわ?」


 なるほど、理解した。


「それで、早速なんだけれど」

「ん?」

「ユウキってそういうお店。行ったことあるかしら」

「……一応聞いておく、そういう店とは」

「風俗」

「行ったことねぇよ」

「あら、素直……メモメモ」


 俺の返答に満足したのかまたメモするシュエリア。

 何、下ネタだけじゃなくてメモもブーム来てんのかコイツ。


「で、やったんですの?」

「行ってねぇって!!」


 せっかくのメモ、まったく意味をなさず。


「メモの意味は?!」

「え……? あぁ。そうでしたわね。行ってないって書いてありますわ」

「っていうか数秒前に話した内容くらい覚えてろよ」

「いえ『素直、行ってない』としか書いてないから何に行ってないのかさっぱりで」

「メモの仕方が下手!!」


 たまにいたけどね! こういうノートとかメモ取るの下手な奴!!


「こんな使えない物もういいですわ、ポイですわ。ポイッ」

「使えないのはお前の頭の方では……」

「あん?」

「なんでもないです」


 とりあえずポイ捨ては困るのでメモ帳は拾ったが、これ、どうするか……。

 ちょっとだけ、ちらっと見てみようかな。


 一行目。ユウキと話したい。

 二行目。工事してない。

 三行目。素直、行ってない。

 四行目。イってない。

 五行目。飽きた。暇。駄弁りたい、書くのだるくなってき


「飽きちゃったよ!!」

「?」


 ちらっと見たけどこのメモ帳、今日話した内容しか書いてないのにもう飽きちゃってるよ!

 しかもだるくて最後まで書いてないし! 何この無駄使い! 勿体ない!!


「シュエリア、このメモ帳――」

「あぁ、欲しいなら上げますわ。そんなことより話の続きですわ」

「そんなこと……」


 ま、まあ、確かに大したことではないんだけど。


「ま、まあいいや。で、シュエリア」

「ん? なんですの?」

「お前、男女の違いがどうのとか言ってたけど」

「えぇ。言いましたわ」

「男女の違い、お前にわかるのか?」

「は?」


 いや、だって、この阿保エルフに男女の機微が分かるとか、とてもとても。


「男女の機微とか、差異とか、絶対わからないだろ」

「はぁ?!」


 俺の言葉に若干キレた様子で返すシュエリア。


「わたくしにだってわかりますわ! 男は付いてて女は開いてるんでしょう?!」

「今日一最低な発言だな!! 間違ってねぇけど!」

「というかアレよね、プラグとかも結構な下ネタよね?」

「急だな……っていうかどこら辺が下なんだよ」


 どこにも下の要素はないはずだが……。


「いえ、だって。受け口のほうを『メス』差し込む方を『オス』って表現するのよ? メスのどこにオスるのかしらね」

「最低ワード更新されそうなクソ発言だな。なんだオスるって」

「ヤるみたいな?」

「変化球に見せかけた直球だからなそれ! 変換には気を付けろ?!」


 っていうか、これは男女の機微ではない。

 差異ではあるが。


「お前ホントに下ネタ好きだな」

「下ネタが好きっていうよりエロが好きなのよね」

「何が違うんだろう」

「下ネタ好きな女の子だと、ただの下品な子だけれど」

「ゆうて事実だが」

「……エロが好きな子っていうと、なんか愛嬌がないかしら」

「久しぶりに聞いたわ。自分に甘い発言」


 出たよ、コイツの自己評価甘い発言。

 何が愛嬌があるだ。


「愛嬌あるっていうかただ単に阿保で下いエルフなんだが」

「…………ジー」

「……いやまあ、可愛いけど」

「あら、ありがとう。やっぱり可愛いわよねわたくし」

「誉め言葉しか聞き取らないだと……」


 コイツ自己愛がまた増してないだろうか。

 いや……そういうところもちょっと可愛い気がしなくもないが……。


「で、男女の差異は……まあいいとして」

「今の返答でいいことにしちゃう辺りユウキってわたくしに甘いわよね」

「……いいとして。機微はどうだ」

「んー。男女の機微ねぇ」


 うーんと唸り、しばらく考え込むシュエリア。

 大丈夫だろうか、そもそも機微の意味、わかっているだろうか。


「つまり男女間における繊細な関係性の話よね?」

「お、わかってるじゃないか」

「えぇ。つまり体の相性の話ですわ」

「変化球!!」


 まさかの斜め下の変化球だった。

 これにはキャッチャー兼ツッコミの俺もビビった、ついツッコミが直線的になってしまうくらいにはビビった。


「間違ってたかしら?」

「微妙に間違っていると言い辛いのがまたなんとも」

「ストライクゾーンギリギリでしょう?」

「狙ってやっているだと?!」


 まさかの変化球はノーコンゆえの下方向ではなく、狙って放たれた下だった。


「こういう話、アイネには聞かせられないですわね?」

「そこも狙ってたか」

「完璧な計画的犯行でしてよ」

「最低な計画だ……」


 まさかとは思うが俺のツッコミまでも計算通りとかないだろうな……。

 ここまでの話が全て計算通りなら俺はコイツの掌の上で踊らされていたというのか。

 そこまでして、下の話がしたかったというのか。


「こうして旦那と下の話をするのをピロートークというのでしょう?」

「微妙に違う!!」


 しかしここに来てまさかの知識の欠如。

 まあ確かにしないこともないだろうが、何もそれに限った話しかしないということでもないだろう。


「童貞なのに知ってるんですの?」

「すみませんねぇっ、知識だけあって!!」

「かわいそうですわね、よしよし」

「頭撫でるのやめてくれる?! 悲しくなってきた!!」


 というか、俺が童貞ならお前も処女だろとツッコんでやりたい……。


「あ、そういえば」

「……ん?」

「いえ、男女の違いといえば、と思って」

「何が?」

「ユウキとシオンって姉弟なのに、全然似てないわよね?」

「そりゃ血は繋がってないからな」

「……それがよくわかりませんわ?」

「あぁ……エルフだとそういうの無いのかな」


 そう思い、俺はシュエリアにちょっと無いくらい丁寧に説明を重ねた。

 俺が義姉さんと血の繋がりがないことや、何故姉弟になったのかなど……。

 日本の法律なども交えながら、俺がわかる範囲で、できるだけわかりやすく。


「つまりユウキはシオンに選ばれて、シオンと結婚するために結城家に引き取られた孤児で、養子ですの?」

「そう」

「それわたくしと結婚しちゃ駄目じゃない」

「まあ」

「いや『まあ』じゃないでしょう……」


 そうは言われても、俺とて義姉さんとの結婚は望んでいるものではなく、勝手に決められたことだしなぁ……。


「義姉さんもそこは理解してくれてるよ。今は」

「今はってなんですの」

「昔は絶対結婚するってつもりだったからな、あの人」

「そうなんですの?」

「あぁ。俺が家出して、嫌がられているのわかってからは止めたみたいだけど」

「そう」

「だから今ではかなり強めなアプローチはしてきても、結婚の強要はしてこないよ」

「ふぅん」


 まあ、だから今でこそ義姉さんとも会って話せるのだが。

 昔の義姉さんはちょっと怖かったなぁ。


「ついでだけれど、アイネもユウキの兄妹よね?」

「そうだぞ?」

「アイネとはどういう間柄なんですの?」

「兄妹」

「いえ、だからこう、もっと詳しく」

「ん? 詳しくか……」


 そう言われてもな。アイネとの関係性は割とシンプルなんだが。


「アイネは野良猫で、親が居なかったんだよ」

「あら、大変ですわね」

「あぁ。だから俺が家に連れてきて、妹として大事にしていたって感じ」

「それ、ちゃんとご両親には許可は取ってたんですの?」

「お前俺をなんだと思ってやがる」

「将来の婿養子として引き取られながら他の女連れ込んでハーレムまで作っている屑かしら」

「ひでぇ言われようだな!」


 後半はコイツの所為でもあるんだけど?!


「ちゃんと義父さんに許可は貰ったさ」

「よく許可でましたわねぇ……」

「なんなら、義姉さんとの結婚を俺の判断に委ねてくれたのも義父さんだ」

「あらまあ。心が広い方なんですのね?」

「まあな。厳格だが理不尽じゃなく、とても人柄に優れた人だよ」


 まあ、義姉さんにはだだ甘な部分があるが、それでも俺が義姉さんに好き勝手されていないのは義父さんのおかげである。


「それじゃ、アイネはちゃんと兄妹なのね、勝手に言ってるだけじゃなくて」

「アイネだって俺を兄さまって呼んでるだろ」

「そうよねぇ。あれ不思議だったのよね、猫が人を兄と慕っている辺りが特に」

「猫と人にだって兄妹の絆くらい結ばれるっての」

「でましたわね、猫バカ発言」


 そう言って「やれやれ」と首を振るシュエリア。

 そんな変な事言ってないと思うんだが。


「まあユウキのそういうところ、嫌いではないですわよ」

「猫好きがか?」

「いえ、なんていうか、綺麗ごとを信じている辺りかしら」

「なんだろう、褒められてない気がする」

「素直に褒めてますわよ」


 んー、そうは思えないんだが……。


「さてユウキ」

「ん?」

「最後に一つ質問ですわ」

「お?」


最後にということはこの話はこれで終わりか……うーん、なんだろうな。


「この話のオチ、どうやって付けたらいいかしら」

「まさかの質問!!」


 これじゃいつも通りただの無駄話じゃねぇか。

 こうして、俺とシュエリアの下談義はすこぶる無駄に終わったのであった。


ご読了ありがとうございました!

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次回更新は火曜日18時です。

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