新しい命、ですわ?
「兄さま兄さまっ赤ちゃんの名前、何にしましょうっ!」
「……できたのか?」
「うっ?」
いつも通りの休日、昼過ぎにシュエリアの部屋を訪れると、アイネにいきなりすごいことを言われた。
「なにがでしょうっ?」
「いや、だから」
できたんだよな、今の話。
視界にも、その、なあ。
俺が助けを求めるようにシュエリアを見ていたと思われたのか、何かに気づいたように口を開くシュエリア。
「違いますわよ? 猫の赤ちゃんの話ですわ?」
「やっぱりできたのか?」
「うにゃっ?」
アイネは首をかしげる。
いやでも、アイネの腕の中に……。
「違うわよ? 子猫よ。ほら」
そうアシェが言うと、アシェの腕の中。そこにも……。
「双子か。アイネに似て可愛いな」
「ちが……くないけど、なんて言ったら伝わるのかしら」
アシェが微妙な顔をしてトモリさんを見て……?
なんだ、まさか……三つ子?!
「ゆっくん~?」
「は、はい」
そうか……まあ、覚悟はしていた。そういうことにもなる覚悟は。
「アイにゃん~の~子ではなく~、野良猫~の子~ですよ~?」
「…………は?」
今、なんと。
「野良猫の?」
「はい~」
「……最初から言えよ」
めちゃめちゃビックリしたじゃねぇか。
「最初からアイネのじゃないって言ってましたわ」
「そうよ」
「いや。まあ、そうかもしれんが」
でもあれでは勘違いしても仕方ないと思う。
だってアイネも猫だし。
「それで、兄さまっ」
「ん、おう、名前か」
っていうか何、飼うのか?
「アイネが母性に目覚めたみたいで、飼いたい、というよりは、養いたいみたいですわ」
「マジか」
そ、そうか……じゃあ猫のアイネが、俺の妹で、嫁の一人のアイネが子として養うなら、俺の子でもある……のか?
「違いますっ、ただちょっと哀れなので匿うだけですっ」
「アイネ、多分言葉の使い方が悪い」
あわれて。可哀そうとかにしとけばいいのに。
「でもそうか、名前な」
うーん、俺はネーミングセンスないしなぁ。
「というかもう決定なのか、その、匿うのは」
「はいっ」
「そ、そうか」
やたら自信ありげに、堂々と言われるとダメと言えないな。
まあ、可愛いからいいか。あ、もちろんアイネがな?
「じゃあ名前……考えるか」
「はいっ」
こうして我が家に新しい家族が増えた。
役2匹ほどの話だが。
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