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娯楽の国とエルフの暇  作者: ヒロミネ
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癖の話ですわ?

「ねぇ、ユウキ」

「ん?」

「わたくしってどの辺がエロいかしら」

「…………は?」


 いつもとちょっと違う休日に、いきなり頭のオカシイ発言をぶっこむシュエリアに、俺はついに馬鹿が限界突破したと悟り、頭痛がした。

 ちなみにちょっと違うというのは俺とシュエリアの関係性の変化であり、今の『ソファで並んで座りながら互いに腕を組んでいる状況』だ。見た目だけならラブラブな感じだが実際はそこまででもない。どこらへんかもわからないが。


「……頭いてぇ」

「頭が痛い所がエロい……? 痛い所、わたくしって痛いヒロインですの?」

「ある意味正しいけど間違ってるから、それ」

「どういう意味かしら……」


 シュエリアは俺の言葉に混乱したのか顎に手を当て首をかしげている。


「お前は痛い奴だが別にエロくは無いということだ」

「あーなるほど……殴りますわね?」

「ただでさえ痛い上に痛くするヒロインとかすげぇ嫌だ……」

「痛くないですわ? ユウキはドМだから気持ちいいはずですわ」

「んなわけあるかっ! 俺はMじゃねぇよ!」

「はいはいですわですわ」

「何だその『ここまでテンプレ』みたいな適当な感じ!」

「実際テンプレでしょう?」

「いや……まあ」


 確かにそうなんだけど、なんだろう、そういうことでもなく、単にお前そろそろ本気で俺をMっていうの止めなさいよっていう。

 そのせいでこの前義姉さんに「ゆうく~ん踏んであげるからこっちおいで~わんわん見たいに四つん這いでおいで~」って結構人がいる場所で言われてしまった。

 アレはかなり精神に来た。SAN値ガリガリ削れる音が聞こえたくらいだ。


「とりあえずM発言は止めろ」

「Sならいいと」

「何お前、今日はどんだけ下方面のトークしたいんだよ」


 のっけからして「何処がエロいか」とか聞いてきたわけだが、今日はどうしたというのか。


「いえ、なんていうか、ほら、ユウキって大人でしょう?」

「……ん? まあな」

「わたくしも一応エルフでは成人ですわ」

「というかお前俺の年齢の100倍あるじゃん」

「ねぇですわよ!! わたくしはまだ163歳ですわ!」

「それでも俺の23からしたら5倍以上あるんだが」

「あのねぇ……エルフと言えど年齢の話はそれなりに気にするんですのよ?」

「そうなのか……? ふむ。それはすまん」

「素直に謝るのは美徳ですわね。で、話し戻しても?」

「おう」


 まあ正直、謝らないと確実に転がされるので素直に謝るだけで、美徳と言われる程清々しいものでもないのだが。


「それで、ですわね。いい大人同士だし、こ、恋人にもなったのだから。互いの性癖について話すのも楽しいのかなぁと」

「……また随分とんでもない発想をしてしまったものだな」

「で、だから、わたくしのエロい所をね?」

「って言われてもな……」


 俺はシュエリアを美少女だと思っているし、仮の嫁から恋人になり、このまま俺の嫁になってくれたりしないかなぁと思ったりもしているが、よく考えるとコイツをエロい目で見たことが全くない。


 いや、ホントに、驚くほどないのだ。


「……胸のせいか?」

「よくわからないけど許しませんわ。ぶん殴るからそこに正座なさい」

「よくわからないなら殴らないでくれないか?!」

「胸の話って時点で既にもうセクハラですわ」

「おい待てお前がエロい話するっていったんだよなぁ?!」

「あぁ……そういえばそうでしたわね?」

「おま……」


 コイツ自分で話題提供しておいて忘れんなよ……。


「で、胸が何かしら?」

「あぁ……いや。俺ってお前の事エロい目でみたことないんだよ、驚く位に」

「へぇ……そう」

「だから、お前の胸が男らしい所為で関節がいたたたあたたあああぁああああああああ?!」

「誰の胸が男らしいですって? え? この胸のどこが?」

「すまん! 誤解でした! シュエリアが着やせするタイプだってすっかり忘れてた!」


 俺はシュエリアの胸に顔を押し付けられながらも関節を極められ、兎に角謝り倒すことにした。

 というかコイツ、この力加減だと俺以外だったらあっさりポキっと行ってしまいそうだぞ……相手を選んで力加減するとはなんとも手慣れた暴力である。


「そうですわ! 着やせするんですの!!」

「いたたたたたっ今思い出した! 思い出したから!!」

「……ふんっ。まったく、次に失言したら失明しますわよ」

「なんでそんなどこぞの自称ツンデレのツンドラみたいな恐ろしいことを……」


 俺はシュエリアの関節技から解放されるとホッとすると同時にちょっともったいないなと思ってしまった。

 何故って、ほら、シュエリアが俺に胸を意識させるためにわざわざ胸を押し付けてきていたから、あれはあれで結構よかったのである。

 別にMだから痛いのがよかったとかではない。


 実際なぜかは知らんが見ると小さく見えるシュエリアの胸だがなぜか触ると結構あるのだ。

 本当に不思議だが大分着やせするタイプのようである。


「はぁ……まったく。それじゃあ聞き方を変えますわね。ユウキって女性のどういう所がエロいなって思いますの?」

「……うーん、体?」

「ゲス発言過ぎますわね……そうじゃなくてもっと、細かく、特徴的に」

「んーー。脇と太ももは好きだな」

「そうそう、そんな感じですわ。脇と太ももね……どういうところがいいんですの?」

「太股は膝枕して貰った時に寝心地良いと最高だな。脇は腕上げた時とかに処理の行き届いた滑らかな窪みを見るとなんかこう、いいなぁって」


 俺がシュエリアの質問に真面目に答えると、シュエリアに「うわっ」とドン引きした顔をされた。


「……凄まじく変態趣向ですわね」

「お前がこういう話するって言ったんだろうが……」

「エロい話はするけれど、変態の話はしないですわよ」

「それ難しくね?」

「……そうですわね?」


 俺の返しに思ったよりあっさり同意すると「じゃあ変態っぽいのもありでいいですわ」と素直に承諾してくれた。

 いや、まあ、別に変態みたいな話がしたいというわけでもないんだが。


「他に無いんですの?」

「他って言われてもなぁ……」

「胸は大きいのと小さいのどちらがいいのかしら」

「どっちも」

「どっちもって……」

「俺は好きになった人の胸が好きなんだよ。だから今のところどちらに極端に寄っているってことはないよ。小さいのがいいなぁって思う日もあるし、大きいのって素敵だなぁって思う日もある」

「……なるほど。じゃあ、性癖は?」

「ちょっとまて、さっきから俺ばっかり話してないか? お前はどうなんだよ」

「……わたくし?」


 シュエリアは首をかしげると、俺をジトーっと見つめてきた。


「セクハラですの?」

「お前さっきまでさんざん俺に話させてたよな?!」

「はぁ、仕方ないですわねぇ」

「なんで俺が無理言っているみたいになってんだ……」


 この話ってコイツからし始めたはずなんだけどな……?


「わたくしは、そうですわね、髪とか好きですわね」

「髪?」

「えぇ。こう、頭を撫でた時とかにふわっとしてサラサラっとしてたらいいですわね」

「男の髪の話だよな……?」

「ですわ?」

「うーん、あんまりいないんじゃないか? そういうの」

「そういうものかしら」

「そういうもんだろ」


 俺は別に男の髪質事情に詳しいわけではないが……シュエリアの言ったような特徴って女の子っぽい気がする。


「他は無いのか?」

「……そうですわね、他だと……腕かしら」

「腕か」

「腕に抱き着いたときに抱き心地がいいと嬉しいですわ」

「ふーん」

「聞いてきた割に興味無さそうな反応するの止めてくれないかしら?」

「いや、興味なくはないが」

「……無くはないが、なんですの?」


 俺の反応を見てなんとなくでもこの会話が不毛なことに気づいてもらえたらよかったんだが。

 俺は手を振って「話続けて」と促すと、若干不満そうな顔をしながらもシュエリアは続けた。


「あとは……頑丈だといいですわね? ほら、わたくしって強いから」

「もはや性癖というか、好みの男性の話になってないか?」

「まあ実際似たようなものですわよ。それこそ女性が男性に対してエロで要求するのなんてテクニックと物でしょう?」

「ド偏見だけど、まあ、そうなるのかもな……」


 よくわからないが、女性からして男のエロいところって、何なんだろうな。ってなった時にそこくらいしか思い当たらないのは俺も同じではある。


「で、総合するとお前は髪の手ざわりがよくて腕の抱き着き心地がよく、頑丈な男がいいわけだ」

「後はエルフ可の人ですわね」

「それは……うん、まあ……」


 最後の条件が結構難しい気がするのは俺の気のせいだろうか。

 二次元文化に理解のある相手ならともかく、そうでない人とかは厳しいのではなかろうか。


「で、そうなるとですわ」

「ん?」

「わたくし、一人だけ心当たりがあるんですの」

「…………は!?」


 今コイツなんていった? 心当たりがある? 理想の男性にか?!


「そんな危篤なヤツ居るのか……こいつの暴力に耐えられるエルフ好きが……」

「わたくしの理想の人物は危篤扱いですの……? というか、自分のことよくそんな風に言えますわねぇ」

「……はい?」


 なんだろう、今ツッコミの最後にサラっと何か、聞き流せないことを言われた気がした。


「自分の事?」

「えぇ。だってエルフ可で暴力耐性あって、髪の毛ふわさらで抱き着き心地いいのって、ユウキくらいしか知らないですわ」

「…………俺の髪にいつ触れたよ」

「この間公園で撫でたでしょう?」

「…………腕は」

「今」

「…………」


 そういって俺の腕に触れるシュエリア。

 うーん、なるほど?


「他に何かされてる? 俺」

「他? 膝枕を試してみたり、肌を撫でまわしてみたり、顔をジッと観察したりしかしてないですわ?」

「お、おう……」


 思ったより変なことはされていないようだ……。

 まあコイツの場合良い悪いではなくて、面白い面白くないが行動基準だし、ほかに変なことといっても、する理由もない……のか?


「ということでユウキ」

「……ん?」

「わたくしと付き合わないかしら?」

「…………」


 なんだろう、今聞こえちゃいけない発言があった気がする。


「突き合う?」

「何かしら、今セクハラを受けた気がしますわ」

「いや、今日はもうセクハラがどうとか言うレベルじゃないだろ」

「んまあ、そうですわね」

「で、何。何をするって?」

「いえ、するというか、なるのよ」

「何に」

「恋人に」

「Person coming」

「パーソンカミング……って、来い人、じゃねぇですわ。なんですの? そんな下らない事言ってごまかすくらい嫌なんですの?」

「うーん……」


 別に嫌ということは無い。

 むしろ俺はシュエリアに対して好意的であり、いざ恋人になるとなれば嬉しくもある。

 しかしなんだろう。


「あのさ、この前公園で付き合うって話しなかった?」

「しましたわね?」

「なぜ今この話になった」

「……ノリ?」

「ノリで再度交際の話するのってどうなんだよ……」

「どうなのかしら……」


 そういって二人して軽く黙る。

 その後、ふっ、と笑いがこぼれる。


「なんかホント、お前といると飽きないわ」

「こっちのセリフですわ」


 言って、笑いあう俺達。


 そして……。


 そんな俺達を傍目に見ていた、アイネとトモリさん。

 その二人から急にツッコミが来た。


『違和感すごいですっ!!』

「??」


 違和感? 何の話だろうか。


「なんで、何言ってるのかわからないって顔なんですかっ」

「いや、事実としてわからないからな」

「わかりませんわね?」


 アイネの言葉に俺とシュエリアは顔を見合わせて首を傾げた。

 そしてそれをみたトモリさんが口を開く。


「その~恰好が~」

「恰好?」

「それがどうしたのかしら」


 今度はお互いに相手の姿を確認していつもと違うところはないかと調べるが特に異変はないように感じた。


「格好も変じゃないですわよ?」

「だな」

「いえ~その~……」


 トモリさんがとても言いにくそうに口を開く。


「腕組がおかしく~ないです~か~?」

『腕組?』


 俺とシュエリアは声をそろえて首を傾げた。

 腕組がおかしいとはなんだろう。


「兄さまとシュエリアさん、お付き合い……始めたんですよねっ?」

「そうだな、説明すると長くなるけど」

「かくかくしかじかって感じですわ」

「うぅ……それで通じるのは創作だけですが……それ以上に、恋人同士が隣り合って『別々』に腕を組んでるのっておかしくないですかっ?!」

『えっ!?』


 アイネの言葉に衝撃を受けた俺とシュエリアは互いの顔を見やった。


「そんなに―」

「―おかしいかしら?」

「すごく息の合った会話を仕掛けてくる割には恋人らしさゼロですよその腕組はっ!」

「です~です~」


 恋人らしさゼロ発言をしたアイネとそれに追従するトモリさん。

 相変わらず仲いいな俺の妹と魔王。


「シュエリア~さんは~まだしも~なぜ~ユウキさ~んも~」

「そうですよっ。兄さままでオカシイのはおかしいですっ!」

「サラっと俺の恋人ディスられたな」

「ユウキだけまともな扱いは心外ですわ」


 俺だけまとも扱いだったのが心外だったらしいシュエリアさんだが。

 それは俺がまともじゃない枠という意味なのかシュエリアもまともという意味なのか……どっちにしても無いな。


「いやいや、まあこれはちょっとした冗談で」

「まあ正直ツッコミ待ちでしたわよね?」

『ハハハハハハハ』


 顔を見合わせて笑う俺達とそれを変なものを見るような目で見るアイネとトモリさん。

 なんだろう、また何か変だったのだろうか。


「う、うざいですっ」

「あらぁ~」


 おいおい、最愛の妹に「うざい」とか言われちゃったぞ、ついにアイネも反抗期なのか……。


「それで、何の話していたのだったかしら?」

「ん。性癖の話だろ?」

「そうそう、それですわ!」

『それもおかしいですけどね!』

「え」

「へ?」


 俺とシュエリアは互いを見合うとまたも首をかしげる。

 はて、これはさっきから話していた話題で、変なことはないはずなのだが。


「なんで性癖の話を男女二人でしているんですかっ」

「今はアイネとトモリさんも入って四人だけど?」

「そういう問題じゃないですっ」

「お付き合い~している~とはいえ~男女で~そういう~話は~どうかと~」

「ふむ?」


 まあ確かに、俺も若干どうかとは思っていたが。

 でも話してみると案外楽しいので、いいのではないかと思わないでもない。

 などと思いながら楽しい楽しくないが動機の時点でシュエリアに大分毒されてるなぁとか考えつつ、そんな事実が若干嬉しかったりして。


「楽しければいいんじゃないか?」

「ですわね?」

「兄さまがおかしくなってしまいましたっ?!」

「おいシュエリア、お前みたいなこと言ったら変人扱いされたぞ」

「ユウキも今まであんな感じでしたわ?」


 確かに、言われてみればそうかもしれない。

 シュエリアって変な奴だからなぁ。そこが可愛いんだけど。


「そんなことより、アイネはどうですの? 異性の好きなところとか」

「え……私も混ざるんですか……? うーん。強いて言うなら。兄さまみたいな方ですね」


 そういって俺をジィっと見つめて来るアイネ。

 なんだろう、圧が凄い。


「相変わらずブラコンですわね……。トモリはどうですの?」

「私~は~精気が~おいしい方~ですね~」

「そういえばサキュバスでしたわね……すっかり忘れてましたわ。それって精気を吸わないとわからないものなのかしら?」

「見た感じ~で~わかりま~す~」

「へぇ……ユウキはおいしいのかしら?」

「えぇ~まぁ~。シュエリアさんのもの~なので~食べませんが~」

「そ、そう」


 シュエリア「精気を吸う」という表現に対してトモリさんの「食べる」という表現が妙に生々しく、若干怖い。

 俺、ホントに食われたりしてないよな?


「フェチとかはないんですの? あ、この場合は無機物じゃなくていいですわよ」

「それなら私は手が好きですっ!」

「あら、意外と乗り気ですわね」

「あ……そ、そういうわけではないんですがっ。でも、撫でられたときに気持ちのいい手が好きですっ、兄さまがいいですねっ」

「結局ユウキじゃない……」


 そういって呆れた様子をみせるシュエリア。

 というか……なんだろうこの流れは。妙に違和感が……。


「トモリはどうですの?」

「……顔ですね~」

「面食いですわね。まあ大事よね、ルックス」

「はい~ユウキさん~のような~方が~理想です~ね~」


 ……ああ、ようやくわかった気がする。


「トモリもユウキですの? アイネとトモリは気が合いますわね?」


 そう言って笑うシュエリア。


 しかしそれよりも気になることがある。

 さっきからこの二人、割とダイレクトに俺が好きって言ってるようなものだぞ。

 これは修羅場だったりするのか?


「シュエリア、笑ってる場合と違うぞ、これ」

「シュエリアさん気づかないんですねっ」

「へ?」

「あらぁ~」


 シュエリアがこの状況に気づかないのは想定外。

 こいつ結構鈍いな……。

 そしてそれにツッコむアイネと呆れて困った様子のトモリさん。


「私とトモリさんは兄さまが好きなんですよっ」

「はい~」

「……えぇ、そういう話でしたわね?」

「う? 異性としてですよ?! 気にならないんですかっ?」

「いえ、だって――」


 アイネの追及に、シュエリアはかなり落ち着いた様子で口を開いた。


「知ってるもの」

『えっ』

「えって……見てたらわかりますわよ?」

「じゃあなんで平気そうなんですか?」

「平気っていうか、気分いいですわよ? 自分の男がモテるのって、鼻が高いっていうか」

「……マジか」

「マジですわ。それにユウキって浮気するタイプじゃないもの」


 つまりこの女、俺が浮気するとはみじんも思わず、みんなが俺を好きな状態を喜んでいたということだろうか。


「それにユウキが他の子も好きなら、ハーレムなりなんにでもすればいいのよ。わたくしが一番じゃなければ許さないけれどね?」

「そ、そうですかっ」

「あらぁ~チャンス~ですね~」

「いやいやいやいや!!」


 なんで俺がハーレム作るような流れになっているんだ。


「無理だからな?! 日本はハーレムとか駄目だから!」

「あら、でも結婚はわたくしとするとして、他にも女の子を侍らせるだけですわよ? 重婚でもないし、いいんじゃないかしら?」

「お前寛容過ぎない?!」

「ユウキの一番なのはわかってるから、それで十分ですわよ?」

「マジか……」

「マジですわ」


 そういって俺に抱き着いてくるシュエリア。

 そしてそれを見てむくれるアイネと目を細めて威圧してくるトモリさん。

 ナニコレ、思ったより嬉しくない。

 別にその気はなかったが、ハーレムってもっと楽しい感じを想像してたんだけど。


「でもほら、アイネとトモリさんはそういう扱い嫌じゃないか?」

「兄さまの傍に入れるなら問題ないですっ」

「わたしも~精気さえ~いただければ~」

「そういうもんですか……」


 この分だと一旦は諦めた義姉さんまでこのメンツに入りかねないんじゃないか?


「ユウキに異論は?」

「……。無い、な……」

「ならいいですわね、周りの女の子全員侍らせるってことで」

「なんでそうなる?!」

「冗談ですわ。冗談。でも、ユウキを好きって子がいたら寛容に接してあげるべきですわ?」

「そうなのか……?」

「ええ、そういうユウキを見て笑ってるのがわたくしですわ」

「えぇ……」


 そして。


 その日、癖の話から一転、ハーレム云々の話になった後、シュエリア達女子組は仲良く俺の好きなところを話し徹夜した、らしい……。

ご読了ありがとうございます。

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