マスコットですの?
「暇ですわ」
「久しぶりに聞いた気がする」
いつも通り過ぎていく昼下がり、食休みと言わんばかりにだらだらと過ごしているとシュエリアが暇と訴えてきた。
「なんかないですの?」
「そうなあ」
なんかとか言われてもすぐには出てこない。
「できたわ!」
「ん?」
俺がシュエリアに何をさせるか、一緒に何をするか考えていると、アシェがいきなり大声を出した。
「なんだ?」
「オリキャラができたのよ」
「ほう」
オリキャラ。なあ。
さっきから何か描いてるなとは、思っていたんだが。そうか、オリキャラか。
「で、どんな仕上がりですの?」
「ふふん、これよ!」
そういって見せてきたのは……え。オリキャラ……?
「これは」
「もりもっこりよ」
「うん……」
それは、盛大に一部が盛られた、いやらしい顔をしたモ〇ゾーだった。
「アシェ、これはパクリでは」
「いいえ、人気なキャラの良いところを足して作り出した、全く新しいマスコットよ」
「えぇ……」
物は言いようというか、なんというか。
これはダメだろ。
「なるほど、でも、いいですわね、オリキャラ作成」
「お」
シュエリアが興味を持ったようで、紙とペンを用意する。
「シュエリアも描くのか」
「えぇ、わたくしこんなの得意ですわよ」
そういってシュエリアはペンを走らせる。
そして、十数分。
「できましたわ!」
「早いな」
書き始めたまだそんなに時間が経ってない。
キャラを考えるのもそうだが、描くのも早い。
「で、完成品は?」
「これですわ!」
そこに描かれていたのは……おぉ。
「きもいな」
「キス顔ね」
キスしてきそうな顔をしている、ネズミだった。
なぜか二足歩行で、Tシャツを着ており、そこには『己第一』と書かれている。意味不明だ。
「これは?」
「わたくし作『ジコチュー』ですわ」
「ほう」
なるほど……?
「自己中心的かつ、キスをやたらとしてくる、ネズミですわ」
「シルエットが某夢の国のネズミに似てるんだが」
「同じネズミだし仕方ないですわ」
「そ、そうか」
そうか?
「いやあ、楽しいですわね、これ、もう何キャラか描いてみようかしら」
「いいわね。私も考えてみるわ」
「パクリ以外で書けよ?」
なんか、此奴らにやらせてたら、パクリっぽいのばっかりできそうだ。
とはいえ、楽しく時間を過ごすいい暇つぶしにはなったようで。
この後おやつの3時まで、シュエリアとアシェは楽しくお絵かきをしていたのであった。
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