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娯楽の国とエルフの暇  作者: ヒロミネ
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突然湧く奴ですわ

「暇ですわ」

「ふうむ」


 いつも通りの休日、シュエリアの部屋でまったりと過ごしていると、シュエリアは暇になってしまったらしい。


「なんかイベント発生しないかしら」

「そうそうイベント事発生しないだろ」


 そんな都合のいい話、あってたまるか。そう思っていると……。


「お母さん。お母さん」

「ん。久しぶりにこの呼ばれ方ですわ」

「そんなこともないだろ」


 俺たちの娘、シュキが母であるシュエリアを呼ぶ。それをメタいことに久しぶりとかいってしまうシュエリア。


「そういや一応、毎日呼ばれてますわね?」

「そうだろ? あんまメタいこというなよ」

「? 何の話」

「こっちの話ですわ」


 さて、それで、どうしたというのだろうか。


「それで、シュキはシュエリアに何の用だ?」

「うん、お父さん。お母さんに話があって」

「まあ、そうでしょうね」

「それで、どんな話なんだ?」

「うん。魔王が湧いたみたい」

「うん?」


 魔王が、湧いた?


「トモリさんじゃなくて?」

「トモリさんはいつもいるよ。この世界に魔王が出現したみたい」

「面白そうですわね」

「あちゃあ」


 暇人が食いついてしまった。どうすんだこれ。


「それで、魔王が出現して、どうしたんですの?」

「うん。魔王を討伐するパーティに私とシキが選ばれた」

「マジですの?!」


 それはなんというか、お目が高い。多分この世界でも最高峰の戦力だろう。

 まあ、シュエリア達親組を除けば、だが。


「それで、どうするんですの」

「冒険の旅に出ることになった」

「おぉ」


 つまり、パーティに加入する話を受けたということだ。


「大変な道のりだと思う。でも頑張る」

「いいですわねぇ、楽しそうで」

「……大変かもしれないけど、頑張れよ」


 なんか一人、場違いな感想を漏らしている阿保がいる。


「ちょっと行ってきますわ」

「待て。どこに行く気だ」

「魔王のところ?」

「やっぱりか……」


 この阿保、このイベントに介入する気だろうとは思っていたが、まさかいきなり魔王に殴り込み掛けるとはな。やっぱり空気とかは読めないようだ。


「これはシュキ達のイベントだから、お前はハウスだ」

「えー、ちょっと顔見に行って『今度娘がこちらにお邪魔します』って挨拶に行くだけですわ」

「嘘つけ」


 まったく、本当に信じられんほど自分本位な奴だ。


「じゃあ暇ですわ」

「じゃあってなんだ」


 魔王のイベントに口も顔も出すなと言われれば、じゃあ……なのか?


「暇ですわねえ」

「お母さん、魔王に会いたいの?」

「そうですわねえ。暇だから」

「そんな理由で魔王に会いたがるの、絶対お前だけだわ」


 まったく、どうしようもない暇人阿保エルフだ。


「一応、国からパーティ参加の招集があったときに、できれば優秀な親も同伴して欲しいって話があったの」

「マジですの?」

「あぁ、もう、本当に……」


 まあでも、普通に考えて子供だけで行かせるのも変だし、いや、新世界的には普通かもしれないけど、親も強いなら、親にも行ってもらった方がいいのはそうだろう。


「まさかそれでシュエリアに話を?」

「うん。お母さん世界最強だから」

「母は強しですわね」

「意味が違うけどな」


 強いの意味が違う。チート無双系の強さだ。


「だから、お父さんは来れない」

「あ、俺弱いからね」


 うん、よかった、俺はいかなくていいみたいだ。

 そうなれば必然……。


「え、じゃあわたくしもいかないですわ」

「なんで?!」

「いや、うん」


 コイツの性格というか、特性的にそうなるだろうとは思った。


「一緒に遊ぶ相手がいないんじゃ楽しくないですわ」

「お母さん? 一応この世界の命運がかかってるんだけど……」

「最悪わたくしとユウキは別行動で魔王を叩くからいいですわよ」

「えぇ……」


 まあ、シュエリアが遊撃しようと、魔王も国王も誰も口出しはできまい。

 何せこの阿保、これで世界最強だ。


「ってわけでユウキ、後で魔王を討伐する旅に出るから、準備しておくんですわ」

「マジかよ」


 こうして、俺とシュエリア……あと多分いつもンメンバーは魔王討伐の旅に出ることになった。

 ついに動き出した物語、一体いつまで動き続けることができるのか……。


ご読了ありがとうございました!

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次回更新は次回日曜日の21:00までを予定しております。

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