丁寧ですの?
「ねえ、提出ってエロくない?」
「何言ってんだお前は」
いつも通りの休日。例のごとくシュエリアの部屋で過ごしていると、アシェが唐突に意味が分からないことを言い出した。
提出がエロい……?
「だって提出って出すってことでしょ? エロいじゃない」
「そうか、さては馬鹿だなお前」
「ばっ?!」
俺の言葉にアシェがショックを受けたようにこちらを見る。
いや、馬鹿だろ此奴。
「まず出すイコールでエロってのがもう、中学生か」
「そんなに若く見える?」
「見えるけど。めんどくせぇな」
エルフだから年齢より遥かに若く見えるわけだが。今はそんな話ではない。どんな話かと聞かれると困る話だ。
「で、お前は何で出すって意味だからエロいと思った」
「そんな浅はかな考えじゃないわよ。まあ聞きなさい」
そういうと、アシェは全員が自分の言葉を傾聴する姿勢が整っているかを確認するようにあたりを見渡してから語り始めた。
「まずね、提出、この言葉を聞くだけで、オフィス、または学校を連想できるわけ」
「はあ」
「でね? そこに来て出すって意味もあり、なおかつこれがただ出すより畏まったような言い方に感じるのよ。でね? そうなると……例を先にあげるのだけれど、ま〇こをお〇んこというのと同じくらい丁寧なエロスを感じるわけ。わかる?」
「わからん、そして思ってた通り浅かった」
「なっ?!」
俺の評価に再び驚くアシェ。うん、そんなにか?
「この深い思考の……あ、深いってエロくない?」
「そういうところだよ」
もうね、色々中学生。コイツ。
「お前には浅慮の二つ名をやろう」
「誰が浅い女よ! 浅いのはアイネみたなロリでしょ!」
「にゃ?! 妙なところで傷つけられましたっ?!」
もうなんだ、この阿保どうにかしねぇとダメなんじゃねぇかな。
「アシェ、お前がエロ脳の阿保だと言うことはよくわかった」
「わかられたくない天才のプライドってあるのよ」
「なんの天才だよ」
「エロのスペシャリスト」
「…………さいですか」
「さようよ!」
まあ、もういいか。
「で、なんでそんな話を急にし始めたんですの」
「あぁ、それ。いや、なんでも丁寧ならいいってもんでもないなと思ったのよ」
「というと、なんですの?」
「例えばだけど、出してっていうじゃない」
「うん、何をとは聞きませんわよ」
シュエリアが、まあ何をとは察したが、あえて言わぬという体で話を進める。
「でもね、いくらお〇んこがエロいからと言って、お出ししてとか言ってもエロくないのよ」
「……聞いた方が馬鹿だったというオチですの?」
「違うわよ、オチなしよ。むしろね、ここは丁寧じゃなくて、馬鹿っぽく音で表現した方がエロいのよ」
「……というと?」
シュエリアがもう既に展開は読めたという感じで、それでも優しさからか続けさせてあげることにしたようだ。
「出して、ではなく、かといってお出ししては論外。ならばここは『びゅーってして』が正解のエロだと思うわけ」
「…………誰かこの阿保つまみ出してほしいですわ」
「シュエリア、出してじゃなくてびゅーよ」
「…………」
アシェの止まらぬ下トークに、ついにシュエリアが疲れたといわんばかりに黙り込む。
「というわけで、こういうこの表現は丁寧な方がエロい、こっちは馬鹿な表現のほうがエロいって話をしたいんだけど」
「今日は閉店で」
「なんでっ?!」
俺の言葉にアシェが驚く。でもなあ。
「お前の前置きが長くなったのと、お前のせいでシュエリアが疲れたし、アイネがいじけてるから」
「そんな……せっかくいい暇つぶしだと思ったのに」
「これがいい案とか……」
此奴大丈夫かなあ……。
「ま、まあいいわ。今度はもっといいネタ仕入れてくるわね」
「下以外で頼むわ」
「無理」
「いいきったなぁ」
というわけで。
こんな感じで今日もアシェの下ネタトークが繰り広げられ。一日が始まるのであった。
朝っぱらから勘弁してくれ……。
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