忘れがちな事ですわ
「最近私達の事を忘れられている気がしますっ」
「何の話ですの」
いつも通りに過ごす休日の午後。
俺の妹が急に謎の発言をしだした。
「シュエリアさんと兄さまの二人だけの回多く無いですかっ」
「そんなことないと思うぞ?」
「ですわね?」
「そんなことありますっ」
いや、見返してみてもそんなことは無いハズだが……。
「そもそもこれだけ登場人物がいる作品で、メイン級のはずのキャラが欠席の場合がある段階で多いのですっ」
「うん?」
「何言ってるんですのこの子」
ええっと、つまり、なんだ?
「キャラが多い云々はアレとして、要はヒロインがこれだけ居るのにそのヒロインが出ないことがある時点でもう既に忘れられてるってことか?」
「そうですっ」
「うーん」
別にそんなことないと思うけどなあ。今現にここに居るし。
「アシェはどう思う」
「私はスライムじゃないわ」
「それ先週の話じゃん」
アシェに話を振ったら先週の話を持ち出された。
「どうせシュエリアの事だからクソ雑魚スライムだとでも思ってるんでしょう」
「そんなことないですわよ。ちゃんと強いスライムですわ」
「スライムじゃないのよ、そもそも」
あぁ、話が凄い勢いで脱線してるなあ。
まあいつもの事だからその内元の位置に……もといもとの話に戻るだろう。
「そんな冗談はさておき、アシェはどうなんですの」
「何? 忘れられてるって話?」
「そうですわ」
「そうね。考えた事ないわね?」
「ですわよねえ」
「アシェさんはシュエリアさんに次いで出番が多いからそう思うんですっ」
「そう?」
「なんでちょっと嬉しそうなんですかっ」
アイネに出番が多いと言われて嬉しそうなアシェ。
別に褒めたわけではないと思うんだが。
「んじゃあトモリはどうなんですの」
「ん~そう~で~すね~」
トモリさんはシュエリアからのパスを受けて考え込む。
「画風~は~ジョ~ジョ~に~できま~すか~?」
「トモリ、イラストの話じゃないですわ」
相変わらずマイペースというか、天然な人だ。まだそのくだりにいるらしい。
「トモリは忘れられてるなって感じたりしなさそうですわよね」
「そ~ですね~」
「にゃんとっ」
この感じだとやはり忘れられていると感じているのはアイネだけのようだ。
「私~は~そうで~も~ないです~が~。シュキとシキ~は~忘れられ~てそ~うです~」
「あ、それはありそうですわね」
「確かに」
それはちょっとありそうだ。
何せ娘が居る設定になるまで三年近くこのメンバーでやってきた。
この作品は新キャラ出てきてもサブもサブの扱いなので、余り出現頻度が高くない。
「私達、忘れられてる?」
「そうみたいね」
「シキとシュキは空気キャラだったんですのね……」
そうしみじみと語るシュエリアを見て、自分の娘を空気とか言っちゃえる凄さに驚いた。
「これが嫁だったらこれが本当の空気嫁でしたのにね」
「そういう意味ではアイネは自称空気嫁ってことになるのか?」
「凄く嫌な自称じゃないですかっ?!」
まあ確かに、自称空気嫁って嫌な称号でしかないな。
「でもそういう意味で行ったら空気なのってどっちかというとアイネよりシオンですわね」
「ふむ?」
「空気読めないし」
「誰が空気読めないのかな?」
「シオンですわ」
「堂々と真正面から言える勇気に負けそうなんだけど」
いきなり出て来た義姉さんにも動じず、サラッと空気読めないレッテルを張り付けていくシュエリア。
「シオンは割と空気読まずにどの場面でも出て来る印象ですわ」
「逆に? 出て来ちゃうの?」
「そうですわね」
「それじゃあ空気は読めなくても空気ではないよね」
「ですわねえ」
でもまあ、確かに義姉さんはいつでも現れるしいつでも居ない印象だ。
居ない時に名前を出せば現れるけど、名前を出さないと出てこないみたいな。
複雑だが、そんな印象だ。
「で、結局今日の話って何だったんですの」
「画風はジョジョ風が良いって話だろ」
「違いますっ、作者が私達ヒロインを忘れがちだということですっ」
「ああ」
そう言えばそんな話だった気もする。
「登場シーンをもっと増やして欲しいですっ」
「じゃあ次回辺りから増えますわよ」
「なんでそう思うんですっ?」
「だってこの話をしている時点で作者も『なんかシュエリア以外のヒロインあんまり使ってないな』って思ってますわ」
「言われ様っ」
使ってないなって、酷い言われ様だな……。
「そんなわけで今日のまとめですわ」
「うん?」
今日のまとめ、なんだろう。
「作者は今後もうちょっとヒロインの扱いに気を付けるから好きなキャラとか居たら教えて欲しい作者ですわ」
「あぁ、出番を増やすからって?」
「ですわ」
まあ、そうな。好きなキャラなあ。
「でないとわたくしとアシェが優遇されてる謎の環境が続きかねないですわ」
「いやそこは作者が努力しろよ」
「……ですわね?」
というわけで……。
「そろそろおやつの時間だな」
「! ですねっ」
俺がおやつの時間だと告げるとアイネがテンション上がった。
チャオ〇ュールの出番かな。
「それじゃ、一旦この辺でお喋りは中断ってことで」
「ですねっ」
「なーんにも解決してないのに、おやつ一つで釣られて行くアイネ、なんか可愛いですわねえ」
俺はアイネをチュールで釣り上げると、皆の分のおやつを準備しに、厨房に行くのであった。
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