皆で騒ぎたい、ですわ
「皆で騒ぎたい、そんな気分ですわ」
「ほう」
いつも通りの休日に、シュエリアと一緒にだらだらと過ごしていると、シュエリアが騒ぎたいとか言い出した。
騒ぐって具体的に何だろうか。
「で、何をして騒ぐんだ? 酒か?」
「それもいいですわね」
「それもッてことは他にあるのか」
一体シュエリアは何をしたいんだろう。
「カラオケでも行きたいですわ」
「久しぶりだなあ」
以前はアシェと出会う前だったから、アシェを含めてのカラオケは初めてだ。
「でもあれだぞ、曲名とか歌詞は法に触れるから載せられないぞ?」
「急にメタい拒否してきますわね……大丈夫ですわ、全部ピー音出すから」
「何処が大丈夫なのか」
全然大丈夫な要素が無い。
「まあまあ、いいから、行きますわよ」
「はあ、仕方ないな」
まあ言い出したら聞かない奴なのは知っているので、もうこの辺りで抵抗は止めておく。
「何処集合にする?」
「家集合でいいでしょう。シオンの持ってるカラオケ店に転移すれば早いですわ」
「またそうやってどうでもいいところで魔法を使う……」
いつものことだが、せっかくの魔法が使い道が日常の面倒を解決するためっていうのが、なんだか微妙な気持ちになるのは俺が魔法に夢を見過ぎているからだろうか?
「それじゃあ、連絡して後は待機ですわね」
「なんか音楽でも聴いて待ってるよ、せっかく行くならなんかしか歌うわけだし」
そんなこんなで1時間程待ち、いつものメンバーが揃ってから義姉さんの経営しているカラオケ店に転移した。
もちろん最初は受付の人に驚かれた、でもまあ、そこは義姉さんの経営している店ってこともあって、転移魔法です、って答えたら、なるほど、と解釈された。
「さて、大部屋ですわね」
「まあ人数多いからな」
実際大部屋って何人くらいから通されるものなのかは知らないが、まあ8人出来たらそりゃ大部屋にもなるか。
「シキとシュキも初めてだったりするか?」
「カラオケ? 初めて」
「うん、私も」
まあ基本的に新世界で暮らしていたシキとシュキだ、こればっかりは仕方ない。
「いやあ楽しみだな、皆で歌って飲んで、騒ぐの」
「うん、楽しみ」
「シキは未成年だから飲んじゃダメだよ」
「シュキは飲むの?」
「私は未成年じゃないもの」
「むう」
そうか、この中で未成年はシキだけか。
ちょっと可哀そうだな……色んな意味で。
「俺も飲まないようにするから大丈夫だよ」
「大丈夫、って?」
「あぁ、1人だけシラフだと色んな意味でキツイからな、まあ、その時になったらわかるよ」
コイツ等の酒癖はまあ悪い。なので色々気を付けないといかん。
「それじゃ、誰から歌う?」
部屋に着くと早速皆で席に着き、デンモクから楽曲を選ぶ。
ただまあ、大部屋とは言えデンモクは2つ。
誰から歌うか決めておくべきだろう。
「トップバッター行きますわ!」
「早速お前かよ」
コイツ歌上手過ぎて周りが引くレベルなんだよなあ。
いきなりコイツが歌ってしまうと後のハードルはかなり高い。
「大丈夫ですわ、手加減するためにもう酒は注文済ですわ!」
「酒飲んだ勢いで歌う気なのか」
まあそういう目的出来てるんだし、いいんだけどさ。
「あ、注文届きましたわね」
「早いな」
注文通したのも早いが、来るのも早い。
いつの間にって奴だ。
「ゴクゴクっ、ふはー。よし、行きますわ!」
「ほどほどにしろよー」
歌の手加減もそうだが、酒癖悪いから酒の量も程々にしてほしいものだ。
「ララララーララ、ラーラーラー!」
「飲んでても普通に上手いな……」
度数強めな酒を一気に行った所為かもう既に若干ほろ酔いテンションのようで、歌に勢いが付きまくってる。
いつものシュエリアならもっと繊細に緻密な歌い上げをするので違いはハッキリとしていた。
「他のメンツは酒とか頼んだのか?」
「ミルクですが気分で酔えますっ」
「酔わなくていいぞ」
アイネはミルクを頼んだようだ。可愛い。
「他は?」
「お酒~好きで~すから~?」
「お姉ちゃんも飲んでるよー」
「私も今回は飲むわ。シュエリアの阿保より飲んでやるわ」
「私もちょっとだけ飲む」
「私、ミルクティー」
「そっかそっか」
皆殆ど酒を飲む様だ。アイネとシキ、あと俺だけが飲まない。
三人もシラフが居れば酔い切った阿保共が居てもなんとかなるだろう。
「ラララー、ラララー」
「お。そろそろ終わりか」
「ふう、歌い切りましたわー」
皆の酒の周り具合とを見ている間にシュエリアの一回目の曲が終わった。
そして。
「酒、飲まずにはいられない! ですわ!」
「ほどほどにな?」
シュエリアは追加で酒を注文していた。
「次誰だ?」
「私よ」
「アシェか……」
アシェって歌はどうなんだろう、シュエリアと同じで上手いんだろうか。
「ピーピーピピーピーピーピ。ピー」
「お前なんて曲歌ってやがる」
内容はもう、うん、ピー音確定の下ネタソングだった。
「ピピーピーピピー」
「予想はしてたけどアシェだな、ホント」
いや、歌は上手いのだ。驚くことにシュエリアと同じか、まさかそれ以上も考えられる程に上手い。
アシェにこんな取りえがあったとは知らなかったが、うん、いかんせん歌の内容がひでぇ。
「いやあ、歌うのって楽しいわね?」
「お前の歌が上手いのは分った。ただ内容は最低だったな?」
何するにしても下ネタじゃないと気が済まないのかこの駄エロフは。
「さあさあ、どんどん行きますわよ!」
「はいはいっと」
そんなこんなで、俺達のカラオケ騒ぎは、まだ始まったばかりであった。
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