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娯楽の国とエルフの暇  作者: ヒロミネ
211/266

合言葉ですわ

「山!!!!」

「は?」


 昼。いつも通りシュエリアと過ごそうと部屋を訪れるといきなり山とか言い出した。

 なんだコイツ。


「合言葉が違いますわ! 出直しやがれですわ!」

「えぇ……」


 どうやらこれは合言葉だったようだ、まあよくわからんノリだが、仕方ない、もう一度入室からやり直そう。


「入るぞー」

「山!!」

「川?」

「違いますわ!!」

「えぇ……」


 山と言ったら川とかが無難かと思ったんだが、違ったようだ。


「じゃあ海?」

「違いますわ!」

「じゃあなんだよ……」


 なんてメンドクサイ嫁だろう。合言葉って普通あらかじめ決めておくものだから正直いきなり言われてもわからん。


「山でもどこでも美しいシュエリア、ですわ」

「なんつう合言葉だよ」


 相手に言わせる合言葉に自分への賛美を加えるとはなんという自信家か。


「山でもどこでも美しいシュエリア」

「入室していいですわよ」

「はあ」


 こうしてようやく俺は入室を許された。

 面倒な……。これ毎日やるのか?


「シュエリア、これ毎日やんの?」

「いえ、今日だけ防犯強化ですわ」

「なぜに」


 一日だけ、しかも防犯強化? 一体何の意味があるのだろう。


「実はこの前地球の方で過ごしてたら迷惑電話が来ましたの」

「ほう」

「内容的には振り込め詐欺だったのだけれど、まあ相手にしなかったですわ」

「ふむ?」

「でも、他の誰かが……アイネとか騙されそうでしょう。だから合言葉ですわ」

「いや、アイネはあれでしっかりしてるから大丈夫だと思うが……」


 むしろ怖いのは天然のトモリさんだ、うっかりやりかねない。


「とにかく、家族で決めよう合言葉、ですわ」

「どっかで聞いたなあそれ」


 どこで聞いたかまでは覚えてないが聞き覚えのあるフレーズだった。


「で、具体的にはどんな合言葉を?」

「さっきので良いと思いますわよ?」

「山でもどこでも美しいシュエリア、か」

「ですわ」


 まあ確かに、山と言われてこの発想は中々出て来るものではない。


「そういうことなら家族全員に周知しないとな」

「そうですわね、知らないとユウキみたいになりますものね」

「分かってるならあのくだりなんだったんだ」


 無意味に時間取られ過ぎて意味もわからん。

 まあ別にいいんだけど……。


「それじゃあ全員呼びますわよ」


 そう言ってシュエリアは結城家のグループラ〇ンにメッセージを残した。

 既読は一気に付き、皆来るとの返事だった。

 そして待つこと十数分。


「来たわよ」

「アシェに皆も、わざわざ悪いな」

「いいわよ別に、暇だったし」

「丁度兄様に会いたかったのでっ」

「お気~に~なさら~ず~」


 みんなそれぞれ暇だった? のか?

 アシェは暇だと言ったが他のメンツは分らない。まあ来てくれたってことは特に大事な用とかはなかったのだろう。


「それで今回はどんなお話しですかっ?」

「山ですわ」

「川ですかっ?」

「アイネ、流石ですわね、でも違いますわ」


 アイネは一瞬で合言葉の事だと理解したようだが、流石にあの合言葉は出てこないようだ。


「どうせ『どこでも美しい私』みたいなワードでしょ」

「アシェお前すげぇな」


 シュエリアに対する理解度が高すぎる。ビックリするわ。


「正確には『山でもどこでも美しいシュエリア』ですわ」

「それ合言葉にするの凄いね、シュエちゃん」

「流石母さん、天才的な発想」

「そうか?」


 シュキは何だか褒めてるけど、良いのだろうかコレで。


「というわけで、何かあったらまず合言葉ですわよ」

「分かりましたっ」

「防~犯意~識~?」

「そうですね、防犯の一環です」


 そんなわけで防犯の為の合言葉の周知は終わったわけだが。


「さて、必要な話はここまでですわ。で、暇ですわ」

「言うと思ったよ」


 これは俺でも想像できた。やることやったら暇なのだ。


「じゃあ何するか……この人数だし悩むな」

「パーティゲームなんかが良いと思いますわ」

「なるほどなあ」


 こうして、俺達の防犯対策、合言葉の件は終わり。

 暇になったシュエリアを皆で構うように、遊び始めるのであった。


ご読了ありがとうございました!

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次回更新は次回日曜日の21:00までを予定しております。

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