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娯楽の国とエルフの暇  作者: ヒロミネ
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プラモデル作成ですわ

「暇ですわ」

「知ってる」


 もう季節は6月の梅雨入りした頃。

 いつも通り休日にシュエリアの部屋でだらだらとしているといつも通りに暇だと宣言された。


「知ってるなら何とかして欲しいですわ」

「うーん、何とかなぁ」


 そう言いながらもシュエリアは俺に抱き着いているので身動きが取れない。

 なんとかって言われてもな。


「出来た」

「ん?」


 俺とシュエリアが暇していると、シキが何か出来たらしく、宣言した。

 何が出来たって?


「魔法学院のプラモデル」

「こっちの世界にプラモデルの概念があるのに驚きを隠せないわ」


 どう考えてもやったのは日本人……つまり義姉さんだろうけど、あの人本当に色んなことに手を出すなぁ。


「へぇ、いい出来ですわね」

「ふふん、自信作」


 シキの作ったプラモを純粋に褒めるシュエリア。

 ……そうかプラモデルか。


「シュエリアも作ってみたらどうだ、プラモ」

「わたくしが?」


 どうせ暇なのだ、プラモを作るのも悪くないだろう。


「暇なんだろ? 時間潰れると思うけどな」

「まあ、そうですわねえ」


 そう言うとシュエリアは俺から一旦離れた。

 どうやらやる気になったようだ。


「シオンに相談していいプラモを作りますわ」

「そうだな、義姉さんなら色々持ってるだろうし」


 何せこの世界にプラモを持ってきた義姉さんだ、商品化してるだろうし、無かったらおかしいくらいだ。


「あ、シオンですの? わたくしですわ、えぇ。プラモをやりたいから、そう、いいのを見繕って欲しいですわ」

「人が電話してる時になんだけど、この世界にも電波来てんのね」


 異世界で平然とスマホで通話しているのをみて不思議なもんだなぁと思ってしまう。


「――ふう、とりあえずシオンがプラモ持ってきてくれますわ」

「そうか、よかったな」

「そうですわね、暇が潰れそうで何よりですわ」


 そう言いながら、待つ間暇だからか俺に再度抱き着くシュエリア。

 冷房効いているとは言え蒸し暑い6月だ、抱き着かれると暑苦しい。

 まあ、嫁だし、なんか可愛いからいいけどさ。

 とまあ、そんなこんなで1時間後、義姉さんがやって来た。


「ごめんねー、日本の方に出てたんだけど、仕事抜け出すのに時間掛かっちゃった」

「誰にこっちに送ってもらったんですの」

「アイちゃんにだよー」

「アイネはまたスタバですの?」

「そうそう」


 こちらの世界にスタバは無いので、アイネとトモリさんはよくこちらとあちらを行き来している。


「で、頼まれたプラモがこれね」

「ガン〇ラじゃねぇか」


 持ってきたプラモはどう見てもガ〇プラだった。


「カッコ良くない?」

「カッコいいけれど」

「腕がなりますわね」


 カッコいいけど、これ義姉さんの自社製品では無いよな。

 なんでガン〇ラをストックしてるんだろう。


「こんなこともあろうかと思って前々から収集してた甲斐があったよー」

「用意良すぎて怖いわ」

「わたくしの行動が理解され過ぎてますわね……」


 まあ別に楽しくやれれば、問題は無いのだが。


「それじゃ、どれ作る?」

「そうですわね、バ〇シーにしますわ」

「それノ〇ンだけどな」


 シュエリアはバ〇シーを作ることにしたようだ。じゃあ俺は……。


「フルアー〇ーユニ〇ーンにしよう」

「合わせてきましたわね」

「せっかくだから並べたらカッコいいかなと」


 とまあ、お互い作るものも決まったところで、義姉さんからプラモ作成用の道具を借りて作業を始める。


「綺麗にカットするコツとかあるんですの?」

「それはねえ、ニッパーを使って切るんだけど、それだけじゃなくてヤスリとかを使ってねえ……」


 横では初めてのプラモ作成に色々考えが浮かぶシュエリアの問いに答えている義姉さんがいる。

 で、俺はと言えば実はこんなんは得意であり、サクサクと作業を進めていく。


「ユウキ、慣れてますわね」

「まあ日本人ですから」

「日本人なら誰でも出来るみたいな発言止めた方が良いですわ」

「そうだな、でもまあ、そうだな、こういうの好きだからさ」


 俺の部屋にも少ないがガン〇ラが飾ってあったりするし。

 熟練という訳には行かないが、それでもそこそこ作れる方ではある。


「つなぎ目はパテで消して、っと」

「本格的ですわね……」

「まあ、義姉さんが道具用意してくれてるからな」


 義姉さんもそれなりに作るのだろう、必要そうな素材は結構揃ってる。

 それから三時間、ついにプラモが完成した。

 とはいえ、塗装とか諸々、色々やること省いて簡略的な完成品だ。


「HGだと塗装しなくても見映えいいですわね」

「そうだな、綺麗に出来てると思うぞ」


 シュエリアのバ〇シーと俺のユニ〇ーンを並べながら感想をこぼす。


「これでもっと凝った物をってなると時間が溶けますわね?」

「そうだな、一ヵ月とか掛かることもあるんじゃないかな」

「かなり楽しめますわね?」

「だなあ」


 プラモの作成は拘りだしたらキリがない、そのくらい奥深いものだ。


「今日の記念に写真撮っときますわ」

「お、おう」


 そう言ってプラモの写真撮影に入るシュエリア。


「シュエちゃん楽しそうだね」

「まあエルフだしな、手先も器用で、こんなん好きなんだろ」


 楽しい趣味が新しくできたことはいいことだ。

 と、思っていたのだが。

 後日大量のプラモがネット通販で送られてきてシュエリアの阿保を叱ったのは、まあよくある話である。


ご読了ありがとうございました!

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次回更新は次回日曜日の21:00までを予定しております。

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