表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
娯楽の国とエルフの暇  作者: ヒロミネ
206/266

おやつの定義、ですわ

「バナナはおやつに入りませんわ!」

「急に何を叫んでいるのだろう俺の嫁は」


 いつも通りシュエリアの部屋でだらだらと過ごす昼下がり。

 漫画を読んでいたシュエリアが急に叫び出した。いつものことだがコイツ大丈夫だろうか。


「バナナは食事、主食ですわ。断じておやつではないですわ」

「はあ」


 だから何だというのか。


「テンション低いですわねえ」

「この話題でテンション上がる奴よ」


 どうでもよすぎて聞き流してもいいレベルだ。


「今日はおやつの定義について語りあかそうと思いますわ」

「おやつの定義ねぇ」


 それで一体どれだけ喋れるだろう。そんな話すことも無いように感じる。


「というわけで、アイネ。チャオ〇ュールはおやつですわよね」

「みゃ?」


 猫の姿で俺の膝上に丸まっているアイネに問いかけるシュエリア。

 まあ、アレはおやつだわな。

 俺がそう思っていると、アイネが人の姿に戻って(?)口を開く。


「チュールは間違いなくおやつですが正直主食でもいいくらい好きですっ!」

「いや、太るから」

「にゃっ?!」


 あれはおやつだ。塩分もそれなりにあるし、与えすぎれば太ってしまう。気がする。


「ユウキ、デリカシー0ですの?」

「え?」


 そう言われて見ると、アイネがしょぼんとしていた。


「いや、アイネは華奢で可愛いぞ?」

「でも太ったら可愛く無いですっ」

「いや、猫は丸くても可愛いけどな……」


 それはそれで可愛いもんだ。ふかふかしてて触り心地もいいし。


「っていうかおやつの話だろ?」

「あ、逃げましたわね」

「兄様なら逃げるの可ですっ」

「アイネは優しいなあ」


 逃げられてると分かってても見逃してくれる優しい妹を撫でまわしておく。


「ふみゃ」

「さて、他におやつって言うと?」

「きび~だ~んご~?」

「トモリさん、それは……」


 昔々の桃太郎さんがお腰に付けていたヤツだ。

 あれは…………え、何。


「そもそもきびだんごってなんだ」

「そこからですの?」


 俺はネットで早速きびだんごとググると……出るわ出るわ、きびだんご。


「これは……おやつだろ」

「でもそれだと桃太郎はおやつだけ持たされて旅に出たことになりますわね?」

「そうだな。せっかくならおにぎりとかでも良かったかもな」


 まあでも、犬猿雉を仲間にするのにおにぎりもないか。


「どっちかというと桃太郎の為というより、ペットの為ですわよね」

「仲間をペットと言い換えるな」


 犬と猿と雉に失礼である。


「でもまあ、動物に団子を上げるのもどうなんですの。のどに詰まらせてしまったら大変ですわ?」

「まあ、確かに」


 確かにそうなんだけど、まあ、喋れるくらいだし知能は結構あるだろうから、そこら辺は大丈夫だったのだろう、多分。


「っていうか桃太郎じゃなくておやつの話だろ」

「また脱線してましたわね」


 そんなわけで今度こそおやつの話に戻る俺達。


「アシェはなんか思い付かないんですの、おやつと主食の間みたいなの」

「ん? そーね。カロリー〇イト?」

「主食かどうかも怪しい上におやつではないだろ……」


 アレは何て言う分類だろう。カロリーかな。


「アレはご飯の代わりだから主食ですわよ」

「そう? チョコ味とかもはやおやつの味してるわよ?」

「確かにな」


 味で考えるとおやつっぽくはあるか。チーズケーキ味とかあるもんなあ。


「じゃあカロリーメ〇トはおやつでいいですわ」

「いいんだ」


 適当だな、おやつの定義。


「後は何かないかしら?」

「お母さん、あんぱんはおやつ?」

「む、難しい事言いますわね」

「いや、主食でいいだろ」


 パンだぞ、主食でいいだろう。


「いやでも、菓子パンですわよ? お菓子みたいなもんですわよ?」

「まあ、そうだが」


 じゃああんぱんはおやつなのか。と言われると……。


「ヤヤコシイな、おやつかそうじゃないかって」

「だから定義について語っているんですわ」

「いや、定義については語ってねえけどな」


 定義についてっていうか、1個1個主食かおやつか別けているだけだ。


「じゃあおやつの定義について決を採りますわ」

「まさかの」


 多数決で決めんのこれ。っていうか選択肢はなんだ。


「味がおやつならおやつか、カロリーが一定以上なら主食か、ですわ」

「またすごい選択肢だな」


 メンドクサイというかヤヤコシイというか。


「それでは味がおやつならおやつ派は挙手を」


 これにはアイネ、アシェ、シュキ、あとこっそりいたシキが手を挙げた。


「ってことは必然、カロリー派はトモリ、ユウキ、わたくしですわね」

「だなあ」


 まあでも、カロリー高けりゃ主食かと言われたらケーキなんかは違う気がするけど。

 一般的には主食かおかずだろう、多分。


「それでは今回の話し合いでは味がおやつならおやつという事で決定ですわね」

「はあ、まあどうでもいいが」


 ぶっちゃけ凄くどうでもいい。


「という訳でユウキ、おやつタイムですわ」

「うん?」


 時間を見ると3時だった。

 おやつ、おやつねえ。


「バナナは味がおやつだからおやつで」

「バナナは駄目ですわ!」

「何でだよ……」


 こうして、結局俺達の話し合いは全く意味のないものとして終わってしまったのだった。


ご読了ありがとうございました!

感想、評価、ブックマーク等頂けますと励みになります!!

次回更新は次回日曜日の21:00までを予定しております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ