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娯楽の国とエルフの暇  作者: ヒロミネ
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授業参観ですわ

「――であるから、ここではルナの花を使うのよ」

「へぇ」


 今俺達は新世界の学園、その教室の内の一室にいる。


「先生、ルナの花は他の薬にも使えると以前お聞きしましたが、万能薬にも使用されるのでしょうか?」

「そうね、確かに万能薬にも――」


 何故かといえば、俺達は今日、シュキとシキの授業参観に来ているからだ。

 ちなみに教鞭を取っているのはアシェ。

 科目は錬金術薬学だそうだ。


「――とこのように、複数の薬に仕えることから万能花とも呼ばれているわね」

「アシェがまともに授業している」

「ですわねぇ」


 アシェの事だから下ネタ満載の授業かと思いきや、無茶苦茶真面目に錬金術を教えていた。


「さて、今日の錬金術薬学は終わりね。次は魔法実技のテストを行うから練習場に行くように」

「「「はい!」」」


 生徒たちはアシェの言葉に素直に従う。とても真面目な生徒ばかりだ。

 このうちの一体どれだけが普段の駄目なアシェを知っているだろう。

 きっと誰も知るまい……。

 

「さてそれじゃあご家族の方々も練習場へどうぞ。生徒たちの日頃の成果が見られますよ」

「アイツ誰」

「アシェですわ」


 アシェが真面目だとなんか調子がおかしいのではないかと思ってしまう。

 とはいえまあ、真面目にやってるのは良いことだ。うん、良いことのハズだ。


「さて、それでは試験を始めます」

「「「はい!」」」


 練習場に着くと早速、試験が始まった。

 生徒一人づつやるようだ。


「まずはリオンから」

「はい、先生」


 おっと、彼はこの前絡んできた……リオン君じゃないか。

 何リオン君だったかはロリの印象が強かった割に忘れたが。


「我が敵を屠れ、炎の鉄槌よ! ファイアボルト!!」


 リオン君が魔法を詠唱し、放つと練習場にあった的に当たる。

 当たった的は粉々に吹き飛んだ。

 おぉ、リアルな魔法だ。


「ふむ、威力は良いけど、詠唱に気を取られ過ぎているわね。もっと自然と詠唱できるように訓練なさい」

「はい、先生!」


 そして真面目な指摘とそれを真摯に受け止める生徒リオン。

 凄いぞ、今回誰かがボケる雰囲気が全く無い!


「次は――」


 その後もアシェに呼ばれた生徒が次々と得意な魔法を披露する。

 水、風、土、雷、様々な属性の魔法を見る。

 そして思う。これこそファンタジーの定番だなと。

 シュエリアみたいな何でもありのインチキ魔法はちょっと王道ファンタジーとは違う気がする。


「ところでここの学生って魔法のレベルは高いのかな」

「そうですわね。他の同年代に比べたら高い部類の生徒が多いのではないかしら」

「へぇ、シュキとシキの魔法も楽しみだな」

「ま、そうですわね」


 なんかシュエリアはそうでもないと言った様子だが、何故だろう。


「次は、シキね」

「はい」


 ついに義姉さんの娘、シキの番だ。

 シキはどんな魔法を使うのだろう。


「炎よ、我が仇敵を穿て! フレイムバレット!!」


 シキが魔法を放つと、複数の的が同時に消し炭となった。

 おぉ、これは素人目に見ても分かる、シキは他の子よりずば抜けて強い魔法を使っていると。


「悪くないわね、でもシキなら詠唱の短縮とかも考えていいと思うわ」

「はい、先生」


 詠唱の短縮か……難しそうだな。

 でもシキならきっと出来る、そんな気がする。


「最後に、シュキよ」

「はい」


 最後に残ったのはシュキだった。シュエリアの娘ともなれば規格外の魔法を放つだろう。

 大丈夫なんだろうか。学園が崩壊しないか心配だ。


「すべての物を凍てつかせる風よ、ここに来たれ……永劫の時を告げよ……エターナルフォースブリザード!!」

「すっげぇ中二病感」


 そして長め詠唱と名前の割に、シュキの魔法はいくつかの的を凍らせるだけに終わった。

 あれ? これだとシキの方がまだ強いような……。


「ん。よく手加減出来ているわね。流石学年主席ね」

「ありがとうございます」


 シュキって学年主席だったのか。そりゃ凄い。

 そしてちゃんと手加減出来ているかどうか、今回はそこを見られていたようだ。


「ま、わたくしの娘なら当然ですわね」

「って言ってる割に嬉しそうじゃん」


 顔がニヨニヨしてる。絶対内心喜んでるよこれ。


「まあ、帰ったらしっかり褒めてあげると良いですわ?」

「お前もな」


 確かに頑張った子にはご褒美と誉め言葉の一つも必要だろう。


「さて、この後は夜の課外授業についての講義を行います」

「「「はい、アシェ先生!!」」」

「おい」


 アイツが「夜の」とかいうと下にしか聞こえないんだけど。

 そう思いつつ俺達親もまた、授業を見る為に教室へ付いて行く。


「大丈夫だと良いんだが……」

「そうですわねぇ。夜の、ですものねぇ」


 俺とシュエリアは不安に思いつつもアシェの授業をしっかりと見届け……。


「であるから、女子は男子の夜這いや告白シーンに気を付ける様に」

「「「はい、アシェ先生」」」

「はあ」


 結局若干の下ネタを挟んで、シュキとシキの授業参観は終わったのだった。



ご読了ありがとうございました!

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次回更新は次回日曜日の21:00までを予定しております。

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