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娯楽の国とエルフの暇  作者: ヒロミネ
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働く意思……ですわ

「働く意欲が無い者をニートって言うらしいわよ」

「急にどうした」


 いつも通り、シュエリアと共に部屋でだらだらと過ごしていると、アシェが急に変な事を言い出した。

 ニートの話だが、だから何だというのか。


「つまり働いていても働く意欲が無ければニートといえるのではないかしら」

「つまりシュエリアはニートだと」

「そういうことよ」

「はあ?!」


 俺とアシェの結論に半ギレのシュエリア。

 いや、まああんだけ働いて稼いでて、ニート呼ばわりされたらキレるとは思ってた。


「シュエリア、冗談だ」

「シュエリア、本気よ」

「アシェぶっ転がしますわよ」


 シュエリアに魔法で転がされているアシェが脳裏に浮かぶ。

 うん、やるだろうなそのくらい。平然と。


「じょ、冗談よ。でも働く意欲がないとニートっていう定義はあるらしいわよ?」

「へえ、そうなんですの」


 でもそれで行くと、俺も割とやる気ないからニートじゃね。


「働く意欲が無くても、働いてるから、なんだかんだニートじゃないですわ」

「ま、まあそうだな」

「そういうことにしておこうかしら」


 ていうか俺らニート談義してるけど、アシェはどうなんだろう。

 コイツ……働いて無くね。


「アシェはニートじゃないのか?」

「私? 私を誰だと思っているのよ」

「ニート」

「……私は天才錬金術師にして悪徳令嬢よ?」


 なんか久し振りにこの設定聞いた気がするな。

 なんか悪いことでもしてるんだろうか。


「なんか悪いことで稼いでるのか?」

「よく聞いてくれたわね! えぇ。もちろん悪い女アシェは薬を捌いて稼いでいるわ!」


 マジかコイツ、落ちるとこまで落ちたというか、もとからそこ出身というか……。


「実際は万能薬とか売って稼いでるだけですわよ」

「ちょっ、シュエリア!」

「なんだ、ただの良い奴じゃん」


 シュエリアの暴露に慌てるアシェ。

 まあコイツの悪徳っぷりは飾りだからな……根は良い奴というかなんというか。


「んで、ニートの話だけど、これで終わりか?」

「あ、そうよ、私ニートじゃないわ。ちゃんと教師とかの仕事もしてるんだから」

「……は?」


 教師。それは人にモノを教え、尊敬され、先生とか呼ばれちゃう奴だ。

 一瞬ググりたくなるのを抑えながら、俺はアシェに問いかける。


「教師? お前が?」

「えぇ。錬金術の教師をやっているわ」

「どこで」

「勿論新世界の学校でよ」

「それは……」


 まあそりゃあ日本で錬金術の教師なんていう胡散臭い真似はしてないとは思ったが。

 どこで、新世界のどこでそんな仕事をしているのだろう。


「もちろん、シュキとシキの居る学校の教員よ?」

「マジかよ……」


 じゃああの時義姉さんの顔パスで入ったけど、コイツでも良かったんじゃね。

 なんであの時に言わなかったんだろう。


「こういうの、後だしの方が驚くと思って」

「サラっと人の思考に返事するな。でも、なんでまたこっちで働いてるんだ?」


 こっちの通貨は日本というか、地球では使えない。なのに何故。


「そりゃまあ、シキもシュキも居るし、こっちでお金が必要でしょう? だからシオンと一緒になってこっちで稼いでるのよ」

「じゃあシキとシュキの学費とか出してるのって」

「私よ?」

「ニートとか言ってすみませんでした!」


 アシェの奴、自分の娘でもないのにそこまでしてくれていたなんて。

 本当にいい奴だな、アシェって。


「まあ分かればいいのよ。ふふん」

「アシェの態度がウザいのはさておき、まあ娘がお世話になっているのは事実ですわね」

「一言多いわよシュエリア」


 まあでも、事実娘がお世話になっているわけで、文句の言いようもない。


「それに私に子供が出来た時にもこっちで暮らしてもらうことになるだろうし、うん、蓄えはあった方がいいでしょう」

「そうだな……」


 アシェって意外と色々考えてるんだな。伊達に天才ではない。


「ちなみにアシェはどのくらい働いてるんだ?」

「どのくらいって……まあ担当してるクラスがあるから、ほぼ毎日ね」

「マジかよ」


 アシェさん社畜ばりに働いてらっしゃった。


「あ、担当しているクラスっていうのは?」

「シキとシュキのクラスよ。いいでしょう」

「何が良いのかはわからんが、そうか」


 それならなんか安心だな。下ネタ女王とはいえ、他は比較的まともなアシェだ。

 教師としての適性は知らんけども、まあやって行けているというのはそういうことだろう。


「シキとシュキを頼むわ」

「もとよりそのつもりよ。今度の授業参観にはちゃんと来てあげなさいよ?」

「わかってる」


 二人の成長、それを感じられる貴重な機会なんだろうからな。

 それにアシェの教師っぷりも確認できる。


「ところでその授業参観って前にも聞いたけどいつなんだ?」

「ん、あ……」


 俺の問いに少し考えて硬直するアシェ。どうした?


「どうしたんだ?」

「あ、あはは。アレね、うん。明日ね」

「は?」


 明日? 急すぎねぇ?


「ちゃんと来なさいよ?」

「ま、まあ仕事ねぇけどさ」


 そういうのは事前告知が必要だと思うんだけど。


「シュエリアは」

「行けますわ、楽しそうだし」


 仕事はどうなのだろう。楽しそうだからサボるとかだったらアカンのだが。


「ま、そんなわけだから」

「あ、ああ」


 そんなこんなで、俺達は明日。シキとシュキの授業参観に参加することになったのだった。



ご読了ありがとうございました!

感想、評価、ブックマーク等頂けますと励みになります!!

次回更新は次回日曜日の21:00までを予定しております。

後書きを忘れてました……ちゃんと更新はしますのでご安心ください。

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